6/7(水) 2日目
1日目の慣れない旅路での疲れがあったぼくらは、明日こそマクヌドゥリゾートでと思いをはせ、
不安ながらも夜中1:30に就寝した。その中でぼくは夢を見た。いやな夢で、
首都マーレ中に聞こえるような非常警報のようなアナウンスで「ケンゴさ〜ん、ケンゴさ〜ん!
いらっしゃいましたら大至急港まで来てくださ〜い!」などと呼ばれてるのだ。やばい、寝過ごした!
と思って飛び起きるように目を覚ましたぼくに、夢より驚くべき現実が待っていた。
それこそ、マーレ中に聞こえるように、なんだか分からない呪文のようなアナウンスが街中鳴り響いて
いるのだった!そう、半分夢ではなかったのだ。時計を見るとまた明け方の4:30。あゆちゃんも目を覚まし
おびえていた。もう、なんだよ、この国は。ラジオ体操にしても早過ぎるぞ。ともかく、布団をもう一度かぶって
もう一度寝た。(あれは、どうやらイスラム教ならではのお祈りタイムなのだそうだ。)
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シティホテルから撮影した首都マーレの風景。
この街中にお祈りアナウンスが・・ |
待ち合わせ通り朝6:45にホテルのロビーに下りると、また昨日のアリさんと港へ向かう。また例のメータのない
タクシーに乗り、明るくなった町並みをよく見ると、別にあやしさなどまるでなく、現地の小学生の
通学風景なども目にして微笑ましいくらいであった。アリさんもあらためて見ると、いい笑顔をしている。
ごめんアリさん、勝手に悪者扱いしてしまった事に反省したので、港に着いて別れる時にはチップをはずんで
おいた。「スマイル」も金になることがあるのだ。ちょうどぼくらが港に着くと同時くらいにモーターボートが来た。
結構しっかりした感じのボートで、これにはあゆちゃんもひと安心といった所であった。
実際、出発してマクヌドゥにつくまでの1時間は特に揺れもせず、快適であった。二人でボーっと海を眺めていると
ついにマクヌドゥへ到着。日焼けした日本人女性とショートカットでとてもきれいな白人の二人に「ようこそ」
と言われ、涙が出そうになった。たかがリゾートにたどり着いただけで何を浸っている、おれ。
案内がてら朝食を取ることになりレストランへ向かう。ウェイターはみな真っ黒な顔をした男たちで、
ぼくらを見るとにんまりして「オハヨウサン」とか「ハラペコ?」とか話しかけてくれた。いいところへ来た。
ゴハンはビュフェ形式(バイキング)で早速皿を持って何があるか見る。おいしそうなパン、チーズ、
ハムなどの中に、見たことのないフルーツが並んでいた。ウェイターに「あれ何?」ときくと、なんだか舌の
噛みそうな名前を教えてくれた。とりあえず皿に乗せた。タマゴが沢山置いてあり、近づくとコックが来て
「何スル?オムレツ?メダマヤキ?何デモOK。」という。オムレツを作ってもらいテーブルへ戻った。
マクヌドゥ初の食事、いただきま〜す。うまいっ。オムレツはちと辛いが出来たてあつあつだし、ハムと
チーズがまたうまい。二人とも軽く平らげた。問題の変な名前のフルーツだが、食べたらめちゃくちゃ酸っぱい。
キウィの何倍もビタミンCがありそうだ。顔を火照らせて食べるぼくに、黒いウェイターが
「バリバリオイシイ?」と聞いてきた。
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これがレストラン。リゾートっぽいでしょ。 |
朝食を済ませると今度は寝泊りするコテージに案内された。パンフレットで見た通り南国ムード漂う
天井の高いきれいな部屋だ。そればかりか、ハネムーナーのために果物の盛合せと白ワインがサービスで
置いてあった。トイレも水洗で普通だし、なによりシャワールームが面白い。部屋の天井の一角が空いているのだ。
とはいえ、雨が降っても別に降り込むような物ではないし、開放感があって楽しい。
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これがぼくらの部屋。いい感じでしょ |
外人サイズの大きなベッドに寝転がり昼ご飯まで何をしようか考えた。昼ご飯の後にアクティビティ(無人島
ツアー、体験ダイビング、ナイトフィッシング等リゾートで用意されている。費用はほとんど無料!)の説明が
あると言ってたから、今のところはまだ何も出来ない。結局10分歩けば一周まわれるこの小さい島内
を散歩することにした。3分も歩き、ぼくらが最初に感動の上陸をはたした桟橋に辿り着くと、現地の若いスタッフ
が声をかけてきた。結構格好よい好青年と言った感じで、早速あゆちゃんと写真をとってあげた。彼は、
他の現地人スタッフと違い、全く日本語が分からなかったので、お互いカタコトの英語とジェスチャーで
コミュニケーションを取り合った。彼曰く、シュノーケリングをやらないかという事だったのだが、
まだアクティビティの説明を受けてないので困った。だが、無料だとはっきりいってくれたし、
「困る」とかそういう単語を知らないし、何よりすぐその桟橋から下を覗くと魚が沢山見えるのである。
彼は魚のエサ用にパンを持ってくると言うので、ぼくらは水着に着替え、シュノーケルセットを借りに
行った(無料)。ちなみにあゆちゃんは水が苦手で深いところでは泳げない。やはり、セットを借りて、
さあ着替えようという時に、なんだか複雑な顔をしていた。(そんな泳げないなら、モルディブなんて行くなよ、
等とは言わないで欲しい。)大丈夫、あゆちゃん。おれが守る!というか、深いところなんてぼくも行きたくない。
準備を整えて桟橋へふたたび向かうと、さっきの彼がレストランで余ったパンを沢山抱えて待っててくれた。
早速水の中に入る。腰の高さくらいの水深で浜辺から20mと離れていないのに、まわりは魚だらけだ。
アジのような銀色の魚、黄色い魚、緑で「大介・花子」の大介のような魚、イシダイなど、こんなに間近で
見たのはハワイのハナウマ湾以来だ。パンを投げるとすごい勢いで魚達が食べにくるのが楽しい。
あゆちゃんもこれは平気そうだ。しかし、パンをぼくに向かって投げてくるので、ぼくの体に魚のひれやらが
ぴちぴちとあたって困らされた。
小一時間もすると昼食になった。例の彼に「またね」と言って着替え、レストランへ。
他の客を見ると、半分以上外人、それもヨーロッパ系白人の様だ。日本人も少々いるが、後で話しかけることにし、
昼食を取る。またもビュッフェ形式で、さらに今回は外のバーベキューで魚とチキンを焼いていた。この魚がめちゃ
くちゃうまかった。さっきと同じウェイターが「バリバリオイシイ?」とまた聞いてきた。他にも「メチャクチャオイシイ?」
とかけっこう知ってるみたい。気分よくビールなど飲んで、ごちそうさまをし、待ち合わせ通り日本人スタッフのリツさん
に会い、詳しく説明を聞く。シュノーケルについてはもう借りたので問題はなく、それよりさまざまなアクティビティが
最近海が荒れてるため中止になっているらしく、それが心配になった。説明の後、宿泊カードに名前や住所などを
書いていると、「え、浜松?」とリツさんがつぶやいた。どうかしたかと聞くと、実は昨日来た新婚さんも
浜松の人だというのだ。レストランに行って見に行ったら、知ってる人ではなかった。そりゃそうか、と思いながらも、
声をかけてみる。浜松の篠原町に住んでるそうだ。さらに、結婚式はぼくらが挙げたグランドホテルから目と鼻の先の
呉竹荘だそうだ。もしかして打ち合せなどですれ違ってるかもしれない。なんという偶然だろう。だんなさんは背が高く
奥さんはとてもきれいな人で、うちらの同い年くらいかなという印象を持って別れた。
また部屋に戻ったが、なぜかもう疲れた。部屋でワインなどを飲むとまた眠くなり、本能のまま再び眠る。
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気付くと眠っていた、おれ。あゆちゃん撮影 |
起きたらもう外は暗かった。なんと一日を贅沢に過ごしたことだろう。
昨日までの服を洗濯して、ぐうたらしてると、もう夕食だ。寝てるだけでも腹は減る。
またレストランへ。海は午後から荒れ出していて、テラスはたまに波しぶきがかかって大きな蟹が現れたりしてる。
夕食はビュッフェではなく、魚、肉、パスタの3種から選ぶ形式だった。ぼくは魚、あゆちゃんは肉を選ぶ。魚のほう
のメニューには「プラウン」という単語があり、ウェイター達が、しきりに「バリバリオイシイネ」と薦めてくる。
なんだろ、プラウンて。料理が出てくると、それは10cmくらいのエビであった。う、うまいぃ!味付けもいいが、
素材のよさを活かし、プリプリッとした歯ざわりに仕上げている!(などとグルメッた振りをして見たが、どうか)
海外で3食全部上手いと思ったのはここが初めてだ。また、現地スタッフがいちいち日本語で話し掛けてくれるのも
楽しいし。おなかいっぱいそうな顔をすると、「ポンポコリーン?」と聞いてくるのだ。
また部屋に戻って、10時半にもなると、また眠くなった。今日一日何時間寝てるんだろオレら、と思いながらも、
広く快適なベッド、薄暗い照明、そして静かに聞こえる波の音がどうしても僕らをまた、眠りに誘うのだった。
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