2001年東北の三峰(百名山に入る)を駆けた

                           森川 記

参加者:風流士亭所属 平田和男・森川孝雄

日程 :4/29 − 5/1 予備日5/2

 

 東北の最高峰鳥海山とサマースキーで有名な月山と2峰を踏破する計画が平田か

ら提案された。鳥海は祓川方面を計画したが、月山への移動ルートが長すぎるの

で、南斜面と云う不安は有るが月山も夏スキーエリアは南斜面と妙に納得し、南斜

面の湯の台温泉ルートに変更した。西吾妻山を踏破したのは30日から崩れるは

ずの天気予報がはずれ、3日間晴天が続き、月山も期待はずれだったので、近

場で足を伸ばしてみた気まぐれに拠る。

4月29日

  前日、横浜平田宅を15時3分に出発し、月山麓を21時30分頃通過、思いの

他多い積雪に胸がわくわく状態。鳥海山麓の湯の台温泉に着いたのは23時頃

か。例に拠って車中で前途の無事を祈って宴会。

  湯の台の少し上の家族旅行村(標高550m)を出発点として、6:20靴で登行開

始。雪・泥の沢筋を寝ている柳を漕ぎながら苦闘。7:50横堂850m、8:40東物見

1050mシール登行に変える。右手はるかに林道が見える。つづら折りの道だがショ

ートカットでかなり下まで降りられそうだ。帰りは大台野道を下る事に決めよう。帰

りに判ったがそちらが本ルートだった。我々は通行止めの看板に従ったのに、看

板無視で奥へ入って駐車している車は約20台位有った。10:00滝の小屋1300m、

滝の小屋からはルートを少し右手に外れて頂上近くへ続いていそうな雪田を登る

事にする。シールに丁度良い傾斜だ。11:15、1650m、12:15、1920m、外輪山のピー

クは13:20着。内側の景観は素晴らしいが、岩場の連続であるし、標高もほとんど

同じなので有名な七高山・新山はパス。千蛇谷は涎の出そうな斜面だが又今度。

  14:00頂上直下20m程度から始めた滑走だが、他のルートから登って来ては、

この良く繋がった雪田を見極めるのは難しいだろう。結局先行の単独行2名と我

々の計4名が今日のご馳走にあずかった訳だ。途中這松で2箇所スキーをはずし

たが、2130mから790m迄1340mの高度差を滑れた訳だ。1200mの車道終点の展

望台(14:25)まではオープンスロープで25度から30度程度の傾斜か。中級者でも快適

に滑れるだろう。ただ春独特の雪うねりは有るけれど。展望台から下は林間の快

適斜面が段段と傾斜が無くなり、林道を漕ぐ様になり、とうとう雪が途絶えた。

15:20、790m。後は550m迄ひたすら歩くのみ。しかも登りと道筋が違うので横への

移動も有る。大台野交差点まで車道を避け、牧場内を歩いたりしたがスキー靴で

舗装路はこたえた。16:15交差点到着で、森川歩行終了。平田が空身で車を取り

に歩くことになった。湯の台温泉鳥海山荘で温泉。生き返る。

  今夜は明日に備え月山麓まで車で移動。月山口は500m程度だが道路以外

は雪で白い。月山志津温泉を越え旧道分岐点では湯殿山方面は積雪で通行止

め。月山姥沢の大駐車場で明日の鋭気を養う宴会に入る。こんな大きな駐車場

が満杯になるのか興味津津。各小屋泊りの客は小屋の駐車場で、この大駐車

場は日帰り客用だ。駐車中の約20台はみんな車中泊なのだろうか。出羽三山は

信仰修行の山。月山1979、湯殿山1500、羽黒山414。一番低い羽黒山が山伏で

一番有名か。

 

4月30日

  来るはずの低気圧は何処かへ行ってしまった。晴れと言うか高曇りと言うか、

天気は上々。1200mの月山リフト乗り場。7時が始発。人は未だ少ない。シールを貼

ったままリフトに乗ったが、乗るのはまだしも降りるのは厄介だった。森林限界は

リフト途中の1300m辺りか。リフト降り場で1530m。姥が岳に向かってTバーリフトは設置

してあるが営業は未だの様だ。姥が岳1670mまではほんの一歩き。頂上から西

は快晴なら日本海が見える筈だ。北に鳥海方面の山が微かに空中に見える。湯

殿山・品倉山方面は山深く面白そうだが、何せ下山後の足を考えると降りてゆく

気にはなれない。行動範囲が限られてしまっている。

  姥が岳の南大斜面を一本降りて、もう一度リフトに乗る。古典ルートの柴灯森・牛

首方面でなく右手急斜面が滑り甲斐が有りそうなので、つぼ足で直登。傾斜がシ

ールでは少しきついとの判断だ。1900mまで75分程度か。この斜面の滑降は最高。

30度から最高35度位か。滑り甲斐有り。リフト乗り場に戻らず西俣沢沿いに降りる。

途中リフト方面の雪庇から巨大な崩壊痕を上を見ながら通過。リフト降り場からは立

ち入り禁止ロープが貼ってあったのに納得。今日は昼前だが終了で二人合意。

  リフト乗り場近辺へ来て、月山の月山たる雰囲気に納得。ボーダーのメッカか。あち

らこちらの数十ヶ所のジャンプ台でグループ毎にお遊び中だ。人が人を呼び人混み

が有るから人気なのだろう。明日月山でもう一コースやるのは止め、天元台西吾妻

山へ遠征する事にする。

  山形市で、蕎麦を食し、磐梯吾妻の地図を買う。天元台麓で温泉にする。山形

駅ビルでは地形図は売っていない。ゼンリンの山の案内図5万図を買い、そば銘店

の案内を立ち読みし、駅から車で約3分の「庄司」に決める。「板そば天婦羅付き」

1800円は最高ののど越し、味。「Theそば」と言う感じ。今年蕎麦屋オープンの木皿さ

んにも食わせてやりたい。木皿さんちで見たような巨大な練り鉢が有った。山形の

勝村ごめん。今度は又ゆっくりきて顔を出すから。米沢のスーパーで今夜の宴会用

つまみを仕入れ、上杉神社の横を通り、天元台白布温泉ホテル深山の露天風呂に

入る。ロープウェイ乗り場は950m。明日の始発は8時だ。車中で明日のルートを酒の肴

に今夜も飲みすぎか。

 

5月1日

  今日は西吾妻山から北北西の尾根を下りロープウェイ乗り場へ戻る。ロープウェイ

始発に乗り、リフト3本乗り継いで1800mに1時間で着いた。夏道を避け西吾妻山

へ一直線にトラバース気味に2035mを目差す。標高差は無いがなだらかで距離は

長い。森川のシールが一本接着力不足でスキーに貼り付かない。平田シール、森川

つぼ足となった。沈みは無いがスピードは大幅にダウンしたようだ。思いの外時間が

掛かり西吾妻山頂に11:00。山頂は平らで山頂の札が無ければ全く判らない。

下りコースも案内札は夏道用であろうか、滅多に見付ける事は出来ない。コンパス

での滑走になった。林間の滑降は少し傾斜を増やし柔雪にすればカナダCMHを

彷彿させる。コースに先行者のシュプールが有るので安心して、西より過ぎると思い

つつ降りて行くが、どうも行き過ぎだ。1250m辺りで平田のGPSで現在位置を確

認する。緯度経度で見ると黒滝上方で、途中目的の若女平へ約500mずれてい

る。50m程登り直しトラバースで本ルートへ戻ると1200mでやせ尾根となり、スキーは諦

める。ザックにスキーをどう着けるかだが、縦で無く横向けに着ける事にした。急斜

面と立木で上と下の引っ掛かりを避け、横は蟹歩きで引っ掛かりを避ける方法だ。

  下り急斜面で遅い人を二人追い抜いた。スキー靴の二人だが一人はスキーを持

っていない。もう一人はスキーを持っているが遅すぎる。変だとは思いつつ追い抜

いて西吾妻スカイラインに出た。13:00。今日は森川が空身で車を取りに歩く。スニーカ

ー持参だ。車を廻して来て、やっと降りて来た先ほどのスキーを持たないスキー靴の

方に話を聞いた。昨日間違いコースを滑り降りすぎてビバーク、遅いのは立木に衝突

した打撲が激しくスキーも捨ててやっと登り返し降りてきたのだと言う。納得。我々

はGPS様様で助かった。それたシュプールの意味も納得。昨年の太郎小屋から黒

部五郎といいGPSの威力は仲仲だ。

  温泉は、新高湯温泉吾妻屋で、炊事場洗濯場の有る湯治宿。外来は露天の

みだ。野趣に溢れた温泉だ。丸太くり貫きの一人用も有る。温泉をたっぷり堪能し

て、15:00一路横浜へ。桧原湖・猪苗代経由で横浜着20:00。今回も怪我無く無事

山行を終えた。歩き眺めた東北はなだらかな山容でシール登行に向いた斜面がと

ても多いが、登行開始地点に戻らなければ、とても交通が不便な処が多いよう

だ。4月上旬頃に集中山行をしてみてはどうだろうか。