2003年GW 雨飾山・火打山
 
                        森川 記

参加者:風流士亭所属  平田和男・森川孝雄

日程 :5/2 − 5/3 予備日無し


  諸般の事情で、人出が少なく快適山行が望めるGW前半には出動出来ず、

後半に出かける事になった。大糸線沿線で、日帰りコース二本。雨飾と鹿島槍を

予定した。雨飾終了時点で急遽計画は変更。雨飾と火打。頸城山塊を西の隆起

山脈、東の噴火山脈と両面攻略となった。

5月1日

仕事は、早々に済ませ、エッセン・地図の買出し後、相棒を迎えに虎ノ門へ

向かう。官庁街の横道は思いの外、駐停車がし易い。19:50虎ノ門発。中央高

速経由で、宿泊予定地の中土駅へ急ぐ。今夜の宴会ビールは開いてる店が無く

なる前に、大町のコンビニで仕入れた。実際は、中土直前に最終の酒有コンビ

ニは有ったが。23:30駅着。水とトイレが有る事で、駅泊まりにしたが、ベス

トかどうかは判らない。恒例に拠り前夜祭宴会は、延々と続く・・・・・

5月2日

村営雨飾荘駐車場(980)7:10−7:55登山口駐車場(1130)8:10−8:25高巻P(1160)−
8:55(1350)9:05−10:00(1580)10:15-11:00P2(1838)11:40−12:10登山口駐車場(1130)

起床は6時前で元気だが、何故か頭が重い。朝食を済ませ、村営雨飾荘駐車

場を出たのは7時を過ぎていた。北アルプスと違って、今日の行程は、900

mの登り一本と短いので気も楽だ。気温12℃。

 第1ピッチは車道をたどる。除雪された車道の最後に駐車場が!数台の駐車

有り。がっくり。帰りは、どちらかが空身で車を取りに歩き下る事に決定。

 登山口からシールで、大海川のほとりをのんびりと歩く。15分程度で、川

岸が険しくなると、夏道も雨飾の尾根に向かうので、スキーをザックに括り付

けて登る。ブナ林の急斜面を1ピッチ上がれば、尾根に出た。天気は上々だが、

高曇りの感じ。尾根道は、途中から無木立の急斜面になる。最後の急登をしの

ぐと雨飾P2だ。頂上へは70度の岸壁で登攀不可能。大海川の高巻きポイン

トからの登りは、オールつぼ足。シールではちょっときつい。

案内書で「双翼を広げた」と形容されるシンメトリーのピークは中々美しい。

白馬方面の後立山の眺望も見事。高妻山も見事。東側には、滑走記録はあまり

見受けられないが、金山(2245m)から標高差700mの茂倉尾根が伸び

ている。木立も少なく快適そうに見える。もう少し早い時期なら、大海川、大

倉沢を滑って戻れるかも。この時期では沢沿いには帰れそうもない。本日のP

2登頂者は、我々の他に単独歩行者1名、山スキー2名。駐車場の数台の人達

は、我々より先行で、雨飾北側の笹平方面から頂上を目指していると思われる。

気温は、出発時と同じ12℃。

 缶ビールと行動食の後は、標高差670mをゆっくり降りた。前半の1/3

は無木立の斜面。残りのぶな林もある程度の斜度が有り、快適。あっと言う間

に、高巻きポイントへ。登山口駐車場までは、ほぼスケーティングで到着。

 半日行程の行動なので、早速反省会と明日の行動会議の会場を探す。まずは、

村営雨飾荘にてビールで乾杯。小腹を満たすそばを注文。もりそばは、風味・

歯ごたえ、茹で加減とも合格。「村営」と思えない手間が掛かっている事を感

じさせる。山菜そば用の山菜類も出来合いのパック袋から出すのでなく、採れ

たらしき山菜をざるの上で洗ったり、次の仕込をしていた。さて、次はあまり

疲れていない体を癒す温泉。車道の向かい側に案内が有った露天に行こうと、

料金を聞いたら、脱衣場に料金箱があるのでそこへ「寸志」を入れるのだと言

う。露天風呂は、車道から少し上がった所で、山並みの中、中土方面の谷合い

方向だけ眺望が開けている。ちょっと、高曇りで霞んでいるが、白馬槍から不

帰方面の眺望が美しい。脱衣場は露天に簡易屋根程度。浴槽は十人程度が入れ

る規模。開放的な明るい感じの風呂。鉄泉だ。先客の話では、頭上の若葉は昨

日は無かったとか、春は日々進んでいるとか。

 さて、そば・風呂の間に、明日の行動予定が決定。金山でもなく、鹿島槍で

も無く、頸城の反対側の火打に決定。移動時間は十分ある。阿倍比羅夫に鬼が

根絶された鬼無里を通り、放り投げられた天の岩戸が飛んできた戸隠では、そ

ば博物館に立ち寄り、中社、奥社、妙高温泉町を経て、買出しを済ませ、今夜

の野営地、笹ヶ峰駐車場へ着いたのは、18時を廻っていた。100Kmを超

える大移動となった。駐車場近辺の積雪は1m弱。便所は有るが、水は無い

ので、雪を沸かして造るしかない。

 宴会は、ビール(発泡酒ではなく)・日本酒。前菜は枝豆・ボイル蟹・ほた

るいか。主菜は、炭火を起こすのにずいぶん時間が掛かったが、味付きカルビ

    鶏肉と砂肝は塩胡椒焼き、をバーベキューでいただく。砂肝が絶品であった。

食った食った。ごみも大量に発生した。

5月3日

笹ヶ峰駐車場(1300)6:00−6:55黒沢渡渉点(1580)7:10−8:05(1880)8:15−9:05
高谷池ヒュッテ手前(2080)9:15−10:10雷鳥平(2340)10:20−10:50火打(2461)11:40−
13:30笹ヶ峰駐車場

  5時起床。今日も好天のようだ。昨夜の宴会の片付けにちょっと手間取る。

コンロの撤収。ごみの分別など。出発は6時。気温4℃。廻りの車は、数十台

有り、もう数十人は先に発っている。渡渉点までは散歩のような緩やかな登り

をシールで楽しむ。木橋を渡ると、つぼ足での急登が待っている。十二曲がり

と呼ばれる辺りを過ぎれば、又シールの出番になる。富士見平(2090m)

へ出れば、やっと今日の目的地、火打が見える。ここから高谷池ヒュッテまで

は、上り下りのトラバースだ。高谷池・天狗の庭から雷鳥平までは延々と続く

登りの片斜面だ。樹林はもう無くなっている。ここで、つぼ足のスキーヤー

(火打には何度も来ているらしい。)に道を譲った。登りで抜かれたのは最近

では記憶が無いが、これも年の証拠か。雷鳥平からは、もう一息だ。僕はつぼ

足。平さんはシールで斜登。

 頂上は、額面とおり360度のパノラマだ。これで空気が澄んでいれば、最

高なのだが贅沢は言うまい。火山に挟まれたのっぺらぼうの山が何故、火打と

云う名を持つのかは知らない。里から見て 火打石の形に見えると云う説も有

るらしい。アルプスの山並み白馬方面良し。足下に鉾ヶ岳を見下ろす日本海方

面良し。岩峰の妙高方面良し。均整のとれた黒姫・高妻良し。気温11℃で風

やや強し。

 頂上からの滑降はオープンで急斜面だ。右へ右へと快適な斜面が続くが、登

り返しが増えるので適当に、高谷池方面へ向かった。帰りの定番らしい黒沢岳

へも登り返さず、往路のトラバース道の下を富士見平に向かった。富士見平で

小休止。ここの眺めもすばらしい。さすがの人気コースだ。ここからは樹林の

中を滑る。雪が切れる事も無く、快適に降りられる。尾根幅は広く、目印の布

が少ないので、登りのトレースを見失うと、渡渉点から遠いところで黒沢に出

てしまう可能性が有る。沢を渡ると快適に登った緩斜面だが、滑るのはつらく

なる。トレースを辿り、樺の細木立を避け、スピード制御するのは40度の急

斜面滑降の数倍疲れる。駐車場へ出ると、詰め掛けた車は駐車場をあふれ、路

上にも延々と車列が続いていた。まずはお疲れ。車の後側の雪の中から隠しビ

ールを取り出し、行程順調完了を祝って、乾杯。北アルプスの果てしない深さ

と、きつさ・長さに比べると、少し物足りない気もする。気温15℃。

 汗は笹ヶ峰から一番近い温泉、妙高杉の原スキー場ふもとの、「苗名の湯」

で流す事に決定。公営で、敷地内の物産館で蕎麦を食す為に、再入場券が付い

ている。料金450円で、貸しタオル付き。浴室は2階に有り、広々としてい

る。窓の下半分はすりガラスだが、立てば妙高の山並みが見える。泉質は、特

徴は無く、単純塩泉かな?かなり人気の温泉のようだ。高速インターは目と鼻

の距離だ。関越方面はもう、渋滞が始まっている。中央方面で帰路、河口湖ほ

うとう不動の「ほうとう」を食して、今回の山行を締めくくる。