11年2月19日

 日本スキーの発祥は上越高田連隊にオーストリア陸軍のレルヒ少佐が来日して
一本杖スキーを伝授した1911年とされる。レルヒ少佐は日露戦争に勝利した日本
陸軍の研究に来た訳だ。その年は関・燕経由で妙高山へ。翌年は羊蹄山を登頂し
1912年秋に帰国している。
 日本スキー100年の半分以上に当たるスキー歴55年の相棒と燕温泉から妙高
北東斜面の標高差1300mの大斜面滑走を計画した。ちなみに我輩は半分に満
たないスキー歴45年だ。  

【山域】      北信/頸城 妙高・火打
【コース概要】  燕温泉−前山−燕温泉
【メンバー】    Ume Monta
【報告者】    Monta
【日程】      11年2月19日(土)
【装備】      Dynafit170cm, Diamir-FR Garmont-Endrphin
          AtmicC6-18(95Wide)160cm Diamir-EXP Garmont-Adrenalin
【気象】      晴れ 曇り 晴れ −12〜−0℃ 微風
【タイム】     燕温泉(1060)6:35−9:10(1500)9:25−10:35(1723)−11:25前山(1923)
          11:50−12:40燕温泉(1060)

 低温の好天続きの後、金曜は雪、土曜は晴れの予報だ。神奈川大井町を20時
出発、妙高IC24:03割引通過。雪は激しく振り、関温泉から先は少し不安。関温
泉の係員に聞くと「燕?、止まらなければ行けるよ。」では行くか。雪が激しいので
温泉駐車場手前のトンネルの中に駐車仮眠とする。エビスと赤ワインで乾杯。2時
就寝。

 5:15起床、駐車場へ移動する。6:35出発。−12度晴れ無風。妙高北東斜面
を目指す。標高差1300mの大斜面、日当たりが悪く軽い深雪のはずだ。温泉街
を出てすぐに急斜面をトラバースする夏道は無理だと判明。旧スキー場側緩斜面
から沢へ入る方法を模索するが、行けそうな斜面は無い。あっさりルート変更で前
山を目指す。余力が有れば妙高南面シュートへ行こう。

 尾根を忠実に登るが、かなりの痩せ尾根で斜度もきつい。結果的には南側の沢
寄りを登った方が快適だと思われる。天候は晴れ、ガス、曇りと目まぐるしく変わる。
日本海が見える時も有った。1600m辺りからは滑走斜面を残す為に、尾根北側
を詰めてバージンスノーを残しておいた。ラッセルは膝辺り。膝を越す事も有ったが、
苦にならない程度に軽い雪だ。途中からみる妙高北東斜面は、やっぱり良さそう
で、何時か行ってみたい。
 
 1850mで赤倉方面からのトレースに合流。人が途切れる事が無いくらいのラッ
シュになりペースダウン。昼前に前山に到着。先を見渡すとかなりの下り登り。妙高
は遠い。前山から引返し、燕温泉で長湯に目標変更。

 滑走出だしはやや重。日が当たらない斜面は軽い。日が当たる斜面はやや重。
登りトレースからはずれてフォールラインを滑っては斜滑降で戻る。1300m辺りの
旧スキー場に近い辺りからは、いわゆる湿雪になってきた。

 燕温泉は硫黄含有の炭酸泉。一番駐車場に近い温泉宿で湯に浸かる。男性
400円、女性500円だ。かの有名な露天は冬季閉鎖。眺めの良い室内浴場で
長湯を堪能。2時出発で大井町に6時半到着。お疲れ様でした。 

写真:

11年2月11日

 太平洋側は10日夜から天気は下り坂、11日は九州・関西・関東で雪の予報だ。
冬型の気圧配置なのだが、低気圧が本州南部を通過して行く。気象庁の登山天気
では、高妻山は曇りで風も上部で6m/Sの予報だ。恒例の高妻沢右股に体調確認
の試験に行ってこよう。  

【山域】        黒姫/戸隠 高妻・乙妻2297峰
【コース概要】 大橋1140−佐渡山コル1580−高妻沢右股−2297峰
【メンバー】  Ume Monta
【報告者】   Monta
【日程】     11年2月11日(金)
【装備】     Dynafit170cm, Diamir-FR Garmont-Endrphin
          AtmicC6-18(95Wide)160cm Diamir-EXP Garmont-Adrenalin
【気象】        曇り 薄日 小雪 −5〜−12℃ 微風
【タイム】 大橋(1140)05:50−07:20佐渡山コル(1580)−07:50右股出会(1420)08:05
              −10:20(1950)10:35-12:00(2297峰)12:30-13:00右股出会(1420)13:20
              −14:00佐渡山コル(1580)14:10-14:50大橋(1140)
                  登行合計 1480m(440+880+160)

 大井町を10日20時15分スタート、信濃町IC24時05分、土日割引にピタリの到
着。大橋着すぐに車が雪の深みにハマり20分間の悪戦苦闘した。跡を見れば右前
輪は30cmの深みに落ちた様だ。スコップ作業の後はエビスと余市シングルモルト
で脱出祝いと明日に乾杯、2時就寝。他に駐車無し。

 5時起床出発の段取り中に気がつけば他に5台の車有り。気温は−5度で風無
しの曇り。林道は後塵を拝したが、最初の尾根途中からは別コースへ。軽めの靴
上ラッセル。やや先行の二人パーティは乙妻北東斜面へ行くとの事で、高妻沢右
股は貸切コースとなった。雪の様子を見ながら沢を登行。雪は安定で雪崩跡も無
し。沢をつめた後の大斜面は固い層でずれるので、雪が深い場所を捜しながら登
る。脛程度のラッセルで快適。

 気温は−5度から−12度の間で上がったり下がったり。早朝は薄日も差したが
徐々に曇りから小雪に変わる。黒姫の外輪山が辛うじて見えたが、すぐに視界は
不良になる。妙高は見えなかった。気温が低くて風が無いので、何処も濡れず快
適な1日となった。稜線直下で風が出てきたので、中着を着て手袋を耐寒仕様に
替え暖かい紅茶を飲み、準備万端で上がったら稜線は無風だった。クトーの使用
無しで2297峰へ到着した。稜線の向こうの裾花川方面は薄っすら見えるのみ。

 頂上から大斜面、広い沢、V字谷と快適な本州パウダー(湿雪だが軽め)を標高
差900mの間、貸切劇場で堪能した。この間、雪質の変化はほとんど無し。超快
適滑降に相棒と「誰にも会わないのは、皆さん他のコースへ行ったのだろうか。」と
話していると、スノーシューらしきトレース(4〜5人か)が沢西側の尾根に取り付い
ているのが目に入る。佐渡山コルへのトレースは大勢でしっかり踏んだような跡で
楽な登りになった。

 佐渡山コルからの下りも快適な雪質だが、雪面から30cm下に固い底が有る感
じだ。狭い尾根はすでに多数のシュプールで荒れているが、それなりに楽しめた。
調子に乗り過ぎて尾根下部を下り過ぎ、30mの登り返しアルバイトは余計だった。

 池の平温泉で締め、高速長野道へ。帰り道は妙高から御殿場まで雪道で、滑り
止めチェックや低速車のおかげで、豊科辺りから低速道路となり6時間超の道程
となった。

写真:


11年1月29日

 裏日本は雪と低温が続き、降雪は続いている。来週から気温は上がると予報さ
れている。横浜から近めで、北陸ほど天候が荒れていなくて、雪は降り続く北斜面
で大規模雪崩跡があまり無い斜面を捜せば四ツ岳か大崩山しか無いでしょう。
 四ツを選んでみたが、結果的に遭難一歩手前になってしまった。恥を忍んで、原
因の検証と対策を検討してみるしか無いでしょうね。

【山域】 乗鞍御嶽 乗鞍 四つ岳
【コース概要】平湯キャンプ場1310m−四つ岳2744m
【メンバー】 Monta
【報告者】  Monta
【日程】   11年1月29日(土)
【装備】 Atomic 6-18 160cm(wide 95mm) Diamir-EXP Garmont-Adrenalin
【気象】 小雪 後 雪 後 吹雪

タイム CAMP場(1310m)06:30−09:00(渡渉点1590m)迷い1.5H−14:00 2350m
          14:30−14:50(1850m付近)−15:20(1810-1860m不毛の登行)16:30
          −18:40(渡渉点1590m)−CAMP場(1310m)21:00
       
 横浜は金曜19:30発、松本ICに22:15着。高速の土日割引を使うなら、ここで就寝。
翌朝は4:30起床で6:00には出発出来るだろう。ナイトキャップはエビスと1カップ焼酎。

 4:30起床、熱々のミルクコーヒーをテルモスに入れるなど段取りをして、朝食はコ
ンビニで仕入れ運転中に済ます。駐車場にはすでに車が3台いる。さすが人気の
四ツ岳と思って出発仕掛けたら、どうも変だ。此処はスキー場の駐車場だ。あわて
てキャンプ場の駐車場に入れ直す。30分をロスした。

 いきなりの太股ラッセルが厳しい。しかし先週にウォーミングアップを済ませてある
ので快調だ。違いは登行支柱をギリギリまで上げなくて済む。よって歩幅も延びる。
ラッセルの割りに1550mまで50分で登った。さらに時間短縮にと、うんと手前で渡
渉可能な処を捜す。帰りに登れそうな斜面は結局見つからず、かえって1時間半の
ロスになった。この時GPSは衛星探査不足で機能していない。約7〜8年前のタイ
プで樹林帯で衛星補足能力が低い。高度計は電池切れになっている。不安も有る
が9時渡渉。

 雪は軽く降っている。パウダーに似た重い雪が深い。腰ラッセルになってきた。帰
りの期待感で単独の登りを楽しむ。しかし進まない。FATタイプのスキーなら、かなり
違うだろうね。登りでスキートップが雪面へ上がらない。パウダーと言うより重雪だ。
早く帰って片付けをしてからサッカーアジア杯の優勝戦をビールを楽しみながら見る
為に、14時に情けなく2350mで登行を中止とする。

 下りは、パウダー部分と戦車と云うかブルドーザーと云うか直滑降で雪を押すよう
な雪が部分的に出て来る。下りながら少し左に反れたらしいので右へ舵を取り直す。
登りのトレースを捜しながら滑るが見つからない。降雪が登りのトレースを消してい
るとは、考えもしなかったので右往左往。結局大滝川右股に出てしまったようだ。し
かし今一現在位置が不明で不安だ。この降雪・低温の中でビバークはしたくない。
どんなに遅くなっても降りるぞ。不安な時は引返す。50度近い雪面を斜めにツボ登
行、シール登行で50mを1時間掛けて登った。登ったおかげでGPSは機能し、帰り
の方角も判明した。

 暗くなって、GPSとヘッドランプ・コンパスで進む。旧タイプのGPSは、停止中はコ
ンパス機能が働かない。でも渡渉点を探すのは容易では無い。GPSとヘッデンで
歩く様な速度で降りる。1650mあたりで、何故か登りトレースがうっすらと見えた。
おかげで計器飛行が視界飛行になり時間も短縮できた。

 渡渉点対岸ではツボ足で登ろうとしたが、最後の2mを登れず苦労した。トレース
は全く見えない。最後の200mも沢へ降りすぎて雪が深く進むのに苦労した。渡渉
点から1時間の予測だったが2時間20分掛かった。

 駐車場に付いたのは21時。車には25cmの積雪。上部では2〜3倍の降雪だっ
たのだろう。疲れからか帰りの高速は1時間毎の仮眠で、24時開始のサッカーア
ジア杯のTVには間に合わず、2時の帰還。かろうじて延長戦を観戦出来た。
長友・李、最高。

教訓1)高度計の電池は1年で交換しておく。
教訓2)GPSは新しいほど感度が良い。
教訓3)GPSは停止中もコンパス機能が働く機種が良い。。
教訓4)トレースは当てにしない。(間違いトレースもある)
今更ながら、山の基本を怠ってはならない。
 
写真 

11年1月22日

 昨夏の猛暑中から、今シーズンは厳冬で雪も多いとの長期予報だった。ラニー
ニャの動きと日本海の海水温が高いのが理由だそうだ。正月のニセコは30数年
間で初めて経験した東風が毎日吹いて雪は期待はずれだったが、その直後から
全国的に西高東低の気圧配置で日本海側は低温・多雪の冬となっている様だ。
低温が続く限りは深雪が楽しめそうだ。
 
【山域】  北信/頸城 黒姫山 
【コース概要】 高沢発電所725m−林道1200m−黒姫山外輪山1900m折返し
【メンバー】  Ume Monta
【報告者】   Monta
【日程】    2011年1月22日(土)
【装備】    ダイナフィット170cm, ディアミールFR, ガルモント-エンドルフィン
        アトミックC6-18 160cm ディアミールEXP ガルモント‐アドレナリン
【気象】   小雪 視界は良好(妙高が見えたり隠れたり) 弱風 −5〜−10度
【タイム】   高沢発電所(725m)06:50−08:50林道CUT点(1185m)−
        10:35(1640m)11:20−12:30外輪山(1900m)13:05−
        13:45林道分岐(1185m)−14:10高沢発電所(725m)
 
 神奈川の大井町は19:40発。道中は晴天で車中からはオリオン座が良く見える。
昨年のような高速の事故閉鎖も無く、順調に妙高高原ICに23:15着。高速料金の土
日割引待ちはサッカーアジア杯準々決勝を観戦。後半開始から劇的な幕切れまで、
時間の経つのも忘れて楽しめた。エッセン買出して、車中宴会は24:40スタート。ビ
ール・ハイボール・黒霧島と馬タン・おでん。就寝は2時?

 5時起床・5時45分発(予定)、が寝過して6時の起床、ヘッドランプで準備をした
ら6時50分出発になった。もう薄明るくヘッデン不要。小雪が舞うも視界は良好、
気温は−5度。雪は軽めで靴程度のラッセル。気温が上がらなければ雪質は変ら
ないだろう。

 水源地を西から回り込み、林道のヘアピンカーブから尾根に入り込む。1400m
辺りまでは濃い杉の植林帯になっている。間伐も下枝払いもしていないようだ。
1500m辺りから雪は深くなり膝程度のラッセル。トップが浮き難い重めの深雪。
でもきっと「激パウとか書く人がいるだろうな。」と相棒と笑いあう。新調のG3のシ
ールは特に不可も無し。外輪山へは昼過ぎの到着になってしまった。尾根上はや
はり風が出ている。1900mから頂上まで地形図上では良い斜面だが実際は濃い
樹林と雪庇なのでパスする。

 下りは登行した尾根の西側の沢の左岸を選ぶ。木立は少し五月蝿いが、フェイス
ショットの深雪が楽しめた。湿り雪で少し重めだが、北海道と比べなければ上々の
雪だ。1400m辺りから杉林に入るが、ボーゲンでも良く滑るし、多少開けた場所も
有り快適に林道へ出た。林道から下も雪は良く滑る。最後の急斜面に掛かる頃は
少し気温が上がったか湿雪気味になって来た。

 山行の仕上げは、杉野沢温泉の公営温泉苗名の湯。くたびれた腰の辺りが伸び
る感じで心地良い。3時半出発で大井町7時着。

写真:


 

10年12月30日-11年1月2日
 
ニセコ オフピステ行かず

 青森フェリーターミナルのラーメンコーナーで、「もつ煮とビール」
で前途の安全を願い乾杯。
ニセコには30日9時頃到着。

 風流士亭からは東山スキー場(ニセコビレッジに改称)が一番近いが
アンヌプリ国際スキー場へ向う。ニセコローカルルールの中では東山か
らオフピステへ入るゲートは無い。アンヌプリにはG1・2・7が有る
ので必然的にこちらへ行く。昔から馴染みが深いので習慣的に此処へ向
うと云うのも有る。比羅夫(グランヒラフに改称)に行くのは「比羅夫
に行くぞ。」と宣言した日になる。

 今年の風は、東から吹いている。リフトに乗ると左ほほが痛いのだが、
今年は右ほほだ。そんな馬鹿な。低気圧がはるか南側を通過するので、
低気圧の南側は西風で日本海の水蒸気を雪に変えている。低気圧の北側
では東風が吹き、北海道では雪の少ないはずの道東に毎日雪が降ってい
る。アンヌプリの最上部の第4リフトは雪不足で休止が続き、30日に
初めて運転開始したそうだ。

 3日間ゲレンデスキーをしたが、ゲートが開く可能性は無い。スキー
リフトを利用してオフピステへ行こうとするからには、ゲートが開かな
ければ、深雪断念だ。山世界からすればローカルルールは関係が無い。
五色から入山した単独山スキーヤーが遭難したと言うニュースが有った
が、これはスキー場とは関係が無いので正解とはいえ遭難はお気の毒。

 30数年間でオフピステの深雪無しの正月は初めてだ。いよいよ地球
の異常気象が顕著になって来ましたな。

 写真は有りません。