<溶存酸素濃度の制御結果>


今回の実験では、加藤の報告から溶存酸素ストレスを与えることによりトマト果実の糖度は上がることが示唆されたので、あらかじめ溶存酸素濃度を低めに設定(対照区をDO:5ppm)し、溶存酸素濃度をどの程度制御すれば高糖度トマト栽培に適しているかの調査を試みた。しかし、溶存酸素濃度の影響が植物体および果実に処理区間で差が見られなかったことから、対照区をDO:7ppmに再設定した。溶存酸素濃度は時間帯通気制限区ではどの処理区も通気弁開放時から徐々に上昇し始め、その後数時間で最高点に達し、通気弁閉鎖時を過ぎてから徐々に低下した(第1図)。溶存酸素濃度は対照区およびDO2区ではほぼ設定値にあった(第1図)。時間帯通気制限区は、D区では夜間DO6ppm付近で推移し、午前8時に通気弁を閉じてから徐々に低下して、午後4時に通気弁を開いた頃DO3ppmで最も低く、その後徐々に増加してDO6ppm付近になった(第1図)。N区では夜間DO3ppm付近で推移し、午前8時に通気弁を開いてから徐々に増加し、午後4時に通気弁を閉じる頃DO6ppmで最も高く、その後徐々に減少してDO3ppm付近になった(第1図)。N+M区では、夜間DO1ppm付近で推移し、正午に通気弁を開いてから徐々に増加し、午後4時に通気弁を閉じる頃DO4ppmで最も高く、その後徐々に減少しDO1ppm付近になった(第1図)。N+A区では、夜間DO1ppm付近で推移し、午前8時に通気弁を開いてから徐々に増加し、正午に通気弁を閉じる頃DO3ppmで最も高く、その後徐々に減少してDO1ppm付近になった(第1図)。溶存酸素濃度の制御結果から、ストレス強度としては対照区が当然最も弱く、D区、N区、DO2区、N+M区の順で強くなっていき、N+A区で最も強かったと思われる。溶存酸素濃度はDO7区(対照区)では設定した値付近で安定して推移したが、DO2区では設定値付近で安定せずやや変動が見られたことから、本システムにおいて低い値での溶存酸素濃度の制御は比較的難しいのではないかと考えられる(第1図)。溶存酸素の日変動は天候により多少の変動は認められたものの、栽培期間を通してほぼ同様の傾向であった。溶存酸素濃度は栽培中期以降、ベッド内の循環養液の排水口付近と吐出口付近(ベッドの両端)で差が見られるようになり、その差は特にDO2区で顕著だった。これは、ベッド内の根量が増加してきたことと、DO2区では設定値が低いため1日のうち養液循環ポンプの作動する時間が短いことにより、ベッド内の養液が上手く循環できていない為ではないかと思われた。M式のようなDFT(deep flow technique)では根量の増加により培養液の流れが制限され根が溶存酸素不足をこうむることがあるとの報告がある(橘:1986、今泉:1973)。本実験のシステムでは栽培が長期になると高糖度トマト生産に適した溶存酸素濃度の制御は難しいと思われる。