近況報告
定年後は何とも気楽な日々。期限に追われる仕事もなく煩わしい人間関係も皆無。一病息災、趣味三昧に過ごせる健康を与えられて・・・。が、寿賀が近づくにつれて、こんなに自分の楽しみだけでよいのだろうか? 少しは人様のお役に立たねば、と気になっていた。そんな時に新聞の折り込み広告でA大学の生涯学習に「手話講座」があるのを知った。生涯学習ならソコソコの高齢者が集まるだろう。とすれば頭の回転ダウンの私でもついていけるだろう。図書館のボランティアとしても有効かも、と早速申し込みをした。
講座第一日目、教室に入って絶句。なんと50人くらいの受講生の3/4は学生、若者である。聞けば大学の授業の一環で、学生は単位に数えられるとか。一般人の事情を考慮して授業開始時間は午後7時だが。もう一つ、度肝を抜かれたのは講師が一言も発せずに手話と黒板に書くことで授業が進んだこと。4人のアシスタント全員が聴覚障害者。これで一年間受講しても理解できるのか、と不安で一杯。もっとも授業の最後になって講師から「原則として授業は無言で行います」と声に出しての説明があった。
手話の基本の1つは、指を形づくって表現するだけではなく、顔の表情や身体の動作共々で表現するのである。障害者アシスタントの表情のなんと明るく豊かなことか。喜怒哀楽の表情は言葉以上に繊細である。また、型の基本は共通だがそれにジェスチュアを加えることは自由なので、手話は素晴らしい創造力をともなった表現でもある。
手話を一人前に使いこなすには、早くて3〜4年掛かるようだ。しかし全く未知の世界を垣間見て、聴覚障害者の一端にふれ、親切な若者達に囲まれて大満足している。
私の手話は、呼びかけと挨拶だけで、あとは筆談で終わりそうだが・・・。
(M・S)
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