噛み合わせ/顎関節について

2011.08.15.


今回は【たかが側彎されど側彎・・・たかが歪みされど歪み】の延長で【噛み合わせの歪み→顎関節症】のお話です。

私たちの「噛み合わせ」を可能にしているのが顎関節です。

下の挿絵をご覧になって下さい。肉食動物は、肉を噛み切り砕いて食べています。鋭い歯と上下に強い力を発揮出来るように、深い顎関節を備えています。一方、牛や馬などは、草などの植物を主食としているため臼歯といわれる平べったい歯を持っています。左右に顎を動かし食べ物を磨り潰して食べています。それらの動きを可能にしているのは、浅い顎関節を備えているからなのです。 

人間はというと、前歯で食べ物を噛み切り、奥歯の臼歯で食べ物を磨り潰して食べています。従って、上下左右の動きに適応出来る中間の深さを持った顎関節を備えていることになります。この顎関節は上顎骨と下顎骨が周囲の咬筋群や顔の筋肉群で支えられて、こういった動きが可能になっています。



右の挿絵をご覧になって下さい。体幹(椎体/背骨)に付着しているのは上顎骨で、下顎骨は、その上顎骨と顎関節で繋がっているだけです。上顎骨に付着している椎体への後方成分は、後頭部から背部にまで広がり、更に肩関節も覆う格好になっています。それらには僧帽筋や広背筋などの様々な筋肉群・靱帯の支持組織が含まれています。側頭部の成分には、上顎骨の耳の後ろにある「こぶ」の様に飛び出た乳様突起といわれる部分から、鎖骨や胸骨にかけて「家の梁」のように繋がっている胸鎖乳突筋群や頸筋群があります。また、この乳様突起部分からは、第3頸椎の高さにある舌骨にかけての舌骨筋群があります。これらの後方成分は、後頭部を後ろの方から地球の重心方向へ、側頭成分・舌骨成分は、それぞれ重心に沿わせるよう下顎を下げる方向に動き、互いに協調運動をしています。更に、頭蓋骨には前頭筋群・側頭筋群があり、これらも顎の動きに合わせて収縮運動をしています。


右下段の挿絵は、今までお話してきた【噛み合わせ運動】の筋肉群の作用方向を示しています。

躰の重心ラインは、下顎頭蓋骨支点と第3頸椎を結ぶラインに沿っています。後頭部からの後方成分の作用方向も、重心のラインに沿う様に後方に収縮運動をしています。一方、側頭部・舌骨・前頸筋群らも重力方向ラインに沿い、前者の後方成分と協調運動をしていることになります。結果、後頭部は後方へ引っ張られ、下顎は側頭筋群/舌骨筋群/前頸筋群に重心方向ラインへ引っ張られることで、上・下顎の開口が可能になります。これらの動きに『歪み』が生じてくると、例えば舌骨の位置のズレが生じてくるだけで、全ての協調運動に狂いや無理が生じてくることになります。

『重い物を持つときに歯を食いしばり歯を左右に動かし』過ぎたり、日頃から『歯を食いしばる癖』があったり、『偏側咬みの癖』があったり、更には一番多いのが『睡眠時の歯の食いしばり・歯ぎしり』などがあることで、長い時間をかけて【顎関節運動の歪み=顎関節症】を引き起こしてきてしまいます。これらの協調運動に関わってきている筋肉群・靱帯には、いうまでもなく緊張を招いてしまい体液の循環を損ねる結果になってきてしまいます。

まとめますと、顎関節の協調運動に【歪み】が生じてくると、その運動に関わってきている筋肉群や周辺の血液やリンパ液・体液の循環動態に【淀み】や【欝滞】が生じてきてしまいます。結果、『懲り・張り・痛み』が生じてきてしまい、終いには神経痛・頭痛/偏頭痛・頭重感・耳鳴り・めまい・肩こり・吐き気などなどの様々な症状が、自覚されてきてしまいます。

以上を参考に、症状に心当たりがあり「相談してみたいなlぁ」と思われる方は、当クリニックに来院されてみて下さい。


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