52号線
「I−77」は下りになりヴァージニア州に入る。ヴァージニア最初のインターで出る。出口の交差点を左(西)へ行けばゲイラックスだが、今回は右へ。只今居るのはキャロル・カウンティ(郡)。フォークウェイズ・レコード「String Band Music At Grayson and Carroll County」の舞台だ。少し走って、信号が一つだけしかないような小さな町ヒルズヴィル(この町にはノーマン・エドモンズ&ジ・オールドタイマーズという歴史的なバンドがいたな)の、その交差点をもう一度右に折れる。。つまり大きくUターンするかたちを取って、目指すはマウントエアリーの町。
茨城県 美野里フェス と N.C Mt.Airy Fest.を結ぶ道
茨城県美野里の上野牧場で開かれるブルーグラス・フェスやダルシマー&オートハープフェスに行くとき、わたしUncle Gryphon (以下 U.G)はすこしだけ遠回りをして茨城県道52号線を走っていく。
石岡市から小美玉市にかけて国道6号線の西側を平行して走るこの道路に、U.Gは特別の思いを持っている。6号線から2Kmほど西に走って田んぼの中にある交差点から52号線に進入する。すぐに小さな橋を渡り、上り坂になる。何の変哲も無い田舎道だが、U.Gはこの道の名前「52号線」に思い入れがある。
ファンシーギャップから望む ピードモント平野
「I−77」のファンシーギャップ地点(北行き)
美野里フェス会場
フェスの後、日曜日の朝パイロット・マウンテンのビル&ナンシー宅のパーティーに行く。このパーティーは土曜日の深夜に終わってしまうマウント・エアリー・フェスの二次会として名高く、たくさんの人が集まる。会場から直接行くには、同じく“Old52”を南下する。現役のオールドタイムミュージシャンが次々と車を連ねてパイロットマウンテンを目指していく。
“Old52” まさに、その名にふさわしい。
カーラジオのWPAQからはフェスのコマーシャルが流れてくる。
Mount Airy Bluegrass And Oldtime Fidller's
Convention は5月の最後のウィークエンドに開かれる。その前週に50マイルしか離れていないユニオングローブでフェスが開かれるため、この二つをはしごするミュージシャンも多い。こじんまりとしていて、中身の濃い素晴らしいフェスだ。
今回のU.GはOld52を南下してマウントエアリーを目指しているが、トミーやフレッドその他多くのオールドタイムミュージシャンがゲイラックスのフェスを目指したときはこの道を北上したことだろう。 この道は、マウントエアリーとゲイラックスというオールドタイム・ミュージックの二大フェスを結ぶ道でもある。
すれ違う車に、トミーやフレッドやカイル、そしてもっと昔のミュージシャン達の面影を探してしまう、U.Gだった。
こうして入ったのが昔の主要道路“US Highway 52”。通称“Old52”。地元放送局WPAQに合わせたカーラジオからは、ツーフィンガーのバンジョーが聞こえてくる。30〜40年前にはメイン道路だったこの道も、今では交通量も減り気分良く走れる。フリーウェイと違って、道端には民家があり、農場が見える。
農場と言っても、大きくうねる緑の大地が続くだけで何を育てているのかわからない。VAとNCの州境にはアンティークショップや陶器屋がならんでいる。もう一度ファンシーギャップを登って下る。今度は、木が繁り「I−77」の峠よりずっと低いところを通っているようだ。登ったり下ったり起伏の多い道を進んでいく。
その時、U.Gは、友人の運転する車でマウント・エアリーのフェスを目指していた。ノース・キャロライナ州ステイツヴィルから「インターステーツ・ハイウェイ77」(I−77)を北上すること一時間。
ノース・キャロライナ州とヴァージニア州境の峠道にさしかかり、道路には「ファンシー・ギャップ」のプレートが見えた。大きなトラックがゆっくりと隣の車線を登っている。右側の眼下には、地平線まで広がる平野がかすんで見える。ここから東にノース・キャロライナの大西洋岸まで500マイルも続くピードモント平野。この景色こそ、オールドタイムの一つの原点だ。
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2007.04.23 記
主催者 上野夫妻
Photo
Clay Bussinger
茨城県道 52号線を通るとき、僕はいつも“Old 52”を思い出す。何の変哲も無い田舎道だが、その気になってみれば雰囲気十分。アップダウンの多い道。沿道に続く林。たどりつく先は、上野牧場。優しい顔した上野さんと元気の良い奥さんが待っている、の〜んびりしたフェス。ひげおやじやみんなが来るだろう。さあ、今夜も弾きっぱなしだぞ。
Mt.Airy Fest. 会場