「じゃあな、バイバイ」
「あれ、誰?」
「フランク・リーやんか」
「どうりで見た顔だなと思った。」
いま(2000年)をときめくフレイト・ホッバーズのメンバーも、フェスではバラバラにすごしているようだ。
ノースキャロライナ 旅日記
その4
7時30分を回っていた。この先は人もろくにいなそうなので戻り道を歩き始めると、 スミオがにこにこしながらこちらに歩いてくる、と思ってよく見たらマサシだった。
「加瀬さ−ん。よくおいでましたね。みなサーん、お一元気ですか」
日本語は、ますます怪しくなっている。
マサシは車を健ちゃんのうちにおいてかんちゃんと、今ついたところだと言う。デビッド・バスの嫁さんが、アクセサリー作りを仕事にしたいとか言って、日本のデザインについてマサシに何かたずねているので、暫くそこにいた。
適当に歩いていくと、健ちゃんの友達が次々と現れる。「ユニオングローブでコンテストの結果は」とか「女と別れた。まだショックから立ち直れない」とか、その度に紹介してもらうが既に 誰が誰だかわからなくなってきた。
するとどこかでみたような、顔の四角い奴が健ちゃんに話しかけてくる。「俺のバンジョー見せようか」とかいうので彼のサイトヘ行く。健ちゃんのフレットレスに良く似た形のバンジョーだった。もちろんフレットレス。しばらくバンジョー談義をする。ダンボールの箱の中からさびついたようなリムやポットをばらばらと出してきて、こうしたいああしたいと話している。こいつもどこかで見た顔だが、結構好きな奴だな−などと思いながら話しに加わる。
帽子をかぶった、背の高いじいさんがふフワーツと立っていた。どこかでみたことがある。
「ベントン・フリッペンや」。「ハーッ」錯乱状態になってくる。近づいていきたいが足が動かない。遠くから拝ませてもらうのみだ。 暫くそちらを拝んでいた。なんたって、ベントン・フリッペン様だ。
デビッド夫婦は、昨年このフェスで結婚式を挙げたんだそうだ。その写真は今朝、穂積に見せてもらった。もうおなかが大きくなっていて、初めは単に太った女の子かとおもったくらいだったがそのおなかがTシャツからはみ出ていて、かんちゃんと二人で「冷えないのかねえ」などと余計な心配をして、これじゃ、じいさん・ばあさんの気分だね大笑い。
デビッド夫婦の結婚式ではポール・ブラウンが司祭を務めたけれど、そのポールは牧師さんの資格をたった20ドルの通信教育で取ったんだそうだ。
健ちゃんがいっもテントを張るという山の方に上っていく。またまた、何人か紹介されるが混乱するばかり。デビッド・バスがいた。あれは、髪が長くて、目が行っちゃってるのですぐ分かった。その脇に日本人のようなのがいた。「あいつがスミオや。後で会うやろ。マサシも来るから。」
かんちゃん達にキャンプサイトを教え、マサシが奥さんのメリー・ルーと8時にハンバーガー屋の前で待ち合わせしているというので、二人で馬小屋の中を通って下へ降りていく。馬小屋といっても、敷きわらはきれいになっていて、中でキャンプしている人も沢山いる。今回のサイトは、マサシ達がいつもキャンプしているところなので、いま会えなくてもきっと来るだろうとのことだった。
サイトに向う途中でメリー・ルーにばったり。再会の挨拶もつかの間彼女が
「バンジョー弾きを探しているバンドがあったから、推薦しておいたわよ」
という。どんなバンドかわからないが、ステージでバンジョーが弾けるならこの際贅沢はいってられない。サイトへ戻る途中にそのバンドがいた。