ノースキャロライナ 旅日記
その7
少し腹が減ったのでサイトに帰る事にした。ゲートを出て一人で歩いているとあちこちでジャムの音が聞こえる。全部、フイドルチューンだ。こんな事ってあるんだろうか。ブルーグラスもアイリッシュもケイジャンもない。音楽のユートピアだ。
川のそばのジャムに行く。少し聞いていて弾きたくなったので楽器を出す。だが、あのハンサムボーイが居らずよくないジャムだった。そう思ってしまうとタイミングが合わず、いやになった。すぐ立ち去るのもマナー違反かなと思い20分ぐらい付き合ったが気分が乗らなかった。声もかけられなかったので、適当にスーッと抜けて、サイトに帰ろうと思うが、足はまたもやフイドルの音のする方に向いてしまう。
Air Stream
Photo by Bosco
続く
いいジャムが続く。日中の暑さが消え大分涼しくなってきた。ますます空腹になってきたが、このジャムからは離れたくなかった。
銀色の小さな旧式のエア・ストリーム(キャンピングトレーラー)のそばの暗がりにろうそくを立てただけのフイドル二本とギター二本のジャムがあった。ここはいい感じだった。パンジョーがいないので、そんな曲ばかりを選んでやっているのかなと思い、しばらく聞かせてもらう。これなら入ってもかまわないなと判断し、パンジョーを指さすと、一人がうなずいた。入れてもらう。もちろん始めて見る顔ばかり。センスのいい選曲が続く。数曲すると、ギターの女性がベースを出してくる。ジャムが続く。
一曲終わる毎に少しずつ自己紹介。ギターとベースはアラバマから、フイドルの二人はジョージアから来たという。いつもここで会うのだろう。名前は、全員覚えられなかった。日本から、このフェスの為に来たと自己紹介する。ジョージアの一人は最近仕事で日本を経由してから東南アジアに行ったという。やはり、こんな人がいるんだ。彼らにしてみればその空港のすぐそばに、オールドタイムに惚れ込んでいる人間が住んでいるなんて想像も出来ないことだろう。 もったいないことだ。