文芸春秋 ハードカバー
ルイ13世に双子が生まれた。しかし世継ぎは一人でよいから、後にうまれたジェームスは、イギリス・ジャージー島のカータレット家に預けられた。お付きとしてペロネッタ夫人が送り込まれるが、夫人は、無実の裁判で没落したピカルデイ家の娘、マリエールを伴っていた。そして彼女には、マノンが生まれる。やがてジェームスは立派な若者に成長し、二人の娘は、彼を争う様になる。これがこの物語の主題。
フランスでは、最初に生まれたルイ14世が王位についたが、実質的にはリシュリウをついで宰相となったマザランが支配していた。彼は、後継にニコラ・フーケを指名した。成人したジェームスをフランスに連れ戻し、仮面をかぶせ、禍を絶とうとする。
マリエールは、ピカルデイ家が没落した真の原因を知ろうとする内、ジェームスとそっくりなルイ14世に見初められる。マノンは、マリエールを愛するジェームスを何とか自分のものにしたい、とジェームス探索の仕事を引き受ける。
ルイ14世は、マザランの支配を脱し、自分の力でフランスを支配したいと考え始めた。一方フランス官憲の手を脱出したジェームスは、自分の身分を知り、フランス国王になることを考え始めた。
やがて、宰相マザリンが死に、アドリアン・モーリスが知恵を巡らすルイ14世派と、ニコラ・フーケが黒幕のジェームス派が、真のフランス国王を目指して権謀術数の限りをつくして闘いだした。またマリエールは、ピカルデイ家を陥れた犯人がニコラ・フーケであることを知った。
対決の日、近衛兵を使ったルイ14世派は、勝ちを治めたかに見えた。しかしルイ14世はマノンの毒薬に倒れ、一瞬のうちにジェームスが入れ替わってしまった。毒薬で記憶を失った元のルイ14世は、仮面をかぶせられ、北フランスの小島に幽閉されてしまった。人々は彼を鉄仮面と呼んだのである。ニコラ・フーケは逮捕され、マリエールはジェームスとの再びの恋に目覚める。
・愛だ。無償の愛で買う。愛することだ。ただ愛する。何の期待もせずに愛をそそぐ。それで女はものになる。
愛するとはそばにいることだ。見守ることだ。 いつもその幸せを願うことだ。そのために戦うことだ。(233p)