コンピュータの身代金    三好 徹

光文社文庫

東西銀行のワンマン社長野山がゴルフ場で倒れ、再起には時間がかかると考えられた。
その後をそって狙って副社長の稲取と専務の元井が動きだす。
野山の家庭では、妻の高子があいかわらず威張り散らし、娘婿の計算機会社に勤める菊田は影が薄い。
一方野山の女だった圭子は、何時高級バーのマダムの座を追われるか分からない。
後は秘書の藤川を巻き込んだ君枝が狙っているらしい。
そんな中、菊田、高子を仲間に引き入れた二人組がコンピュータ管理室に侵入。
「10億円を用意しろ。さもなければコンピュータを破壊する。」
破壊されれば莫大な被害、しかも捕まっても人を誘拐したわけではないから大した罪にはならない、うまい所に目をつけたものだ。
稲取を中心とする幹部は、銀行の信用失墜を恐れて、警察にも届けず右往左往するばかり。
しかし10億円と言えば150キロの札束、どうやって運ぶつもりか。
答えが次第に明らかになる。彼らはそれを航空券に変えさせ、軽量化し、海外で払い戻しさせようと言うのだ。
予備データ格納所の爆破、二人と見せながらいつの間にか一人等の作戦が効を奏し、ついに犯人は航空券を奪っての脱出に成功する。
しかし、リーダー泉も、犯罪が成功した後のメンバーの心の動きまでは読みとれなかった。
ひょっとしたら、あいつが獲物を独り占めするのではないか・・・・・

犯人と銀行、警察の息詰まる攻防が見物。
ただ現代の目でみると、銀行の対応がやや甘すぎるというか常識的でないようにも考えられた。

・刑法222条脅迫の罪・・・・2年以下の懲役、または10万円以下の罰金(79p)
・彼は、出しゃばる女、目立ちたがる女、わがままな女、贅沢な女、金を粗末にする女は、どんな美人でも決して手を出すことはしない。(98p)
・この事件では無理ですね。なぜならば、マスコミが協力するのは、人間が人質に取られた場合だけです。人命尊重という大義名分の前では・・・。コンピュータが人質では・・・・。(269p)
・ニューヨークで、ある航空会社の営業所に、泥棒が入りました。そして、未使用の航空券の綴り込みを盗まれたんです。 ・・・・それを航空会社は、シンジケートを通じて、その賊から300万ドルで買い戻したんです。・・・・・ 他社のラインにエンドースされたらどうしようもない。 他社から来る請求を断るわけには行かないんです。 つまり、手形をパクられたのと同じなのです。(299p)
・ガソリンに砂糖をまぜる。(257p)
・切符を届ける・・・郵便配達が一番安全(356p)