今日から9月。爽やかな秋、野田新内閣発足、少しは景気もよくなりますように・・・・。
キリスト教は私になかなか考えさせる宗教である。
現に西欧社会を根本的に支配している思想であるし、マザーテレサの話など聞くとその考え方はそうあるべきだ、と感じる。しかしやたらな奇跡話や宗教が政治を支配するような話を聞かされると間違っている、と感じる。通信は1週間に2本出している。最近読んだキリスト教の理解に深く関係する2冊を読んだ。
書店で「キリスト教は邪教です」なる本を見つけた。センセーショナルなタイトルで気になった。しかし実のところはニーチェの「アンチ・クリスト」の訳(適菜収)である。ただし現代人に分かりやすくするため、相当工夫しているとのこと。
フリードリッヒ・ニーチェ:1844年ドイツザクセン州ルター派の裕福な牧師の子として生まれる。哲学者、古典文献学者。実存主義の先駆者として、其のニヒリズムの到来を説いた哲学が、大きな影響を与えた。あの超人思想を説いた「ツアラツストラかく語りき」(私の読んだ関係する読み物:413)は、ナチスドイツの基本的考えになった、とも聞く。ニーチェが考えているキリストについて抜粋・引用する。
「イエス(自身)の教えの中には「罪と罰」や「報い」といった考え方がない。神と人間との距離関係はすでに取り払われている。」
「イエスにとって「信仰によって受けることの出来る幸福」とは、約束事ではなく、もっと現実的なものでした。それは信仰ではなく、行動する過程で決まるのです。」
「イエスの教えはこうです。自分の悪意を持っている人に対して、言葉でも心のうちでも決してはむかわない。ユダヤ人と非ユダヤ人を区別しない。誰に対しても腹を立てない、軽蔑しない。法廷に訴えることもなく、誰の弁護も引き受けない。・・・・・。」
しかしイエスの死は弟子たちをあわてさせた。
「「あの死は、自分たちの存在を否定することになるのではないか。彼らは、イエスを殺したのは誰か、と考え「世の中を支配しているユダヤ人の上流階級がイエスを殺した敵である」と結論を出したのです。つまりユダヤ人の社会秩序を敵と考えたわけです。」
「弟子たちはイエスの言葉を理解できなかったので、「復讐」「罪」「審判」などという言葉を使い、終には「神の国」がやってきて、敵を裁いてくれると考えたのです。・・・・イエスをもちあげるふりをし、実はイエスを遠ざけたのです。」
そしてイエスの教えを自分たちの都合のいいように体系化させたのがパウロである。
「・・・・・彼はキリスト教の歴史を、イスラエルの歴史をでっちあげたのです。・・・・・
しまいにはイエスが復活したというデマを流しました。十字架上の死を利用しただけなのです。・・・・・デマはあくまで自分の目的を実現させるためでした。パウロはただ権力がほしかっただけです。・・・・」
「キリスト教は人々の恨み、つらみを利用し、地上にあるすべての高貴なもの、喜ばしい物に反抗し、私たちの幸せを破壊する武器を作ってきました。・・・・其のキリスト教は、今では政治にまで食い込んでいます。」
断っておくが、ここでいう今は19世紀のニーチェの生きた時代のことをさす。さらに彼はキリスト教を含め宗教の人を操る論理をつぎのように要約する
第一段階::何が真理であるか考えると人間では解決できない問題があることに気づく。
第二段階:神が人間に教えをたれるのは、人間は何が善であり、悪であるか分からないから、「神の意思」を示すのだ。
第三段階:僧侶はウソをつかない。なぜなら僧侶の言葉にはもともと「真理」「非真理」の問題が存在しないからだ。そこで僧侶は神の代理人となって「真理」を語るのだ。
最初、キリスト教はローマ社会の中、下層民の支持を得、破壊のみをめざして成長した。そしてついには一夜のうちにあの素晴らしいローマを飲み込んでしまった。
其の支配が後世に及ぶ。十字軍はキリスト教徒が自分の権利を広げようとする、海賊のようなものであった。ルネッサンス運動は反キリスト教運動であったが、ルターによって阻まれた。彼はキリスト教を都合よく利用し、「堕落していた」教会を復活させてしまった。
最後に著者は「被告キリスト教は有罪です。あらゆる価値から無価値を、あらゆる真理からウソを、あらゆる正直さから卑怯な心をでっちあげた。・・・・・キリスト教は呪いです。キリスト教は退廃です。」
**********激しい口調ではあるが、なかなか考えさせるところがあり、現代にも通じるところがあるように感じた。しかしキリスト教を邪教と断じる気分にはならない。多かれ、少なかれ、宗教は成長するために、神話を作ったり、妙な理論を作ったり、戦いを続けた。キリスト教も同じである。しかし「精神として教えるところには多くの正しいものが」含まれていると感じる。ただキリスト教をこのような歴史的な事実を理解したうえで、信じたり、研究しようとすることが肝要ではないか、と感じる。
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