1012「1005についての反響」(11月3日(木)晴れ)
1005はニーチェの書の感想で、いくつかの意見をいただいた。いろいろな考え方があり参考になったので紹介したい。いづれも私と同年代のひとたちである。以下、長いので省略したり、若干編集したりしたところも若干あるがお許しを。
(A氏) 小生は仏教の信者でありますが、キリスト教は邪教だとは思いません。多かれ少なかれ、宗教なんてものは内在する矛盾を含んで居るのです。キリスト教には詳しくありませんので素朴な疑問を持っています。つまらないけど素朴な疑問とおもいます。
その1 神が万物の創造主なら悪魔は誰が何の目的で作ったのか。神の使途つまり末端の組織が悪魔と戦うのはそもそも不必要なことではないのか。
その2 輪廻の思想の無い宗教の天国はもう満員ではないのか。聖書に書いてある広さだと16世紀で満員のはずという計算もある。・・・・・・・
(B氏)・・・・・キリスト教は「神と人との契約」であって、「完全である神が人を善導し、不完全である人は神に従う」が基本精神だと思います。
これは権力者には実に都合の良い思想であって、現実には存在しない神の代理人である神父(支配者)が庶民を完全支配して、善導する代償として兵役や種々の税金を強制する。庶民がそれに従わなければ神の名の下に罰することができる。私はこれが、ヨーロッパの支配者がキリスト教を信奉した最大の理由だと思います。
産業革命が起こって商工業者の財力が増すと、カトリック教会はその富を狙って「免罪符」なるものを売り出した。富を奪われたくない商工業者はカトリックから脱退してプロテスタントを起こし、イギリスはイギリス国教会を創ってカトリック支配から独立した。しかしキリスト教は支配者側にとって都合の良い教義なので、その精神を継承するように、教皇や神父は否定して聖書のみを信じるとした。プロテスタントもイギリスも経済的実力が備わってきたので、カトリック側が武力で攻めて来ても負けないと判断しての行動なのであろう。
ところで日本には人口の約1%のキリスト教徒がいて、カトリックとプロテスタントは約半数ずつだそうです。彼等がキリスト教の何に惹かれるのか。キリスト教徒である曽野綾子が「キリスト教徒になると、一般の人達とより少し高い位置から世の中を見られる」と書いていた。なんとなく分かったような気がする。
一方、仏教の基本は、「色即是空、因果応報」であって、要は「周りを気にせず、努力しなさい。果実はその人の努力に応じて与えられる。」ということだと思います。この仏教思想は支配者にとっては魅力がなかったでしょう。したがって中国やインドでは、支配者は朱子学やバラモン教を利用して、血統や長幼の序によって王権支配を正当化した、と考えられる。
どうも宗教は、支配者が一般庶民に対して支配権を行使するための大義名分として使われているような気がします。
(C氏)・・・・・・権力と天(神)との結びつきは、コンスタンティヌスだけでなく(システィーナの戴冠式の絵は強烈ですネ)、過去の権力者は自分の地位を正当化するのに常に利用しているではないですか!
(浅田次郎の「蒼穹の昴」では中国の皇帝が「天子」であることの証明に苦労します)・・・・・・
(D氏)・・・・・人は「性善」に居たいと思っていても、「衣食住足りて礼節を知る」のごとく、平穏の時はいいが、環境の変化によってやむを得ず「悪」に走る動物です。
・・・・・・そもそも、キリストの教えや孔子の教えは、本人が直接認めたものではなく、弟子や回りの関係者が聴いたとして、弟子等が書いたもの。大半は合っているとは思いますが、歪曲もあるのではないか思っています。
それに比べ空海の教えは自身で、書物にしたり、仏像を作らせたり、曼陀羅の絵を描いたりしてます。「仏は各自の心の中にあり、それをもって行動すべし」であり、「神や仏は自分の外に客観的にある」のではないとの考えは、ある意味ではニーチェに近いのではないかと、思っています。私は寺院が好きですが、一番は亡くなった両親や祖先に毎朝頭を下げています。
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いろいろな考え方がると思うけれども、これらのメールから感ぜられる点。
キリスト教は支配する側にとって都合の良い宗教だ、とする考え方。
私は最近中国で孔子が見直されている話を思い出した。あれも支配者にとって都合の良い宗教。絶対に老子や荘子の思想がとりあげられることはないのではないか、と思う。
第二にキリスト教に対し仏教は個人の心の問題としてとらえており、それ故にひかれるところが多い、とする意見。そうあるべきだ、と感じる。信仰は自由であるけれども、其れを他人に強要する考えには同調できぬ。
註 ご意見をお待ちしています。
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