1014TPP参加の是非を考える」(1111()曇り)

 

肌寒い一日。冬がだんだん迫ってくる。

野田首相は、反対派に考慮して1日意見表明を伸ばしたものの、夜8時になって記者会見を開き、参加することで各国と交渉に入ると表明した。

ひとまずこれでよかったのではないか、と感じる。

昼間、少しだが国会の議論を聞いていた。自民党議員がNAFTAで実際に起こった水問題の例を取り上げ、政府を追及していた。一企業が政府を訴え、その国の法律が通らなくなる時がある、その時どうするのだ、というものであった。政府の答弁はしどろもどろであった。政府の説明不足を説くものもいた。アンケートでは国民の七割が政府の説明不足を非難している。議論も国会での議論は僅かで民主党内部での議論にばかり時間が割かれた。そういう状況で国際公約をしようというのである。米やこんにゃくの生産者とのインタビューがあった。これも「これから先どうしていいかわからぬ。」との話があった。

しかしそれでも長い目で見れば十分内容を確かめたうえで参加し、そこで日本の主張を展開してゆけばいいのではないか、と感じる。

少し復習を兼ねてTPP問題の整理をしておこう。TPPとは「環太平洋戦略的経済連携協定(TransPacificPartnership)の略称。太平洋周辺の広い地域の国、例えば日本、中国、東南アジア、オセアニア諸国、アメリカなどが参加して自由貿易圏をつくろうという構想のこと。アメリカ大陸にはすでにNAFTA(北米自由貿易協定)がある。アメリカ、カナダ、メキシコだけの参加であるが、この範囲では関税などなしに自由に貿易をおこなうことができる。

20065月にチリ、シンガポール、ブルネイ、ニュージランドで発効したのがはじまりだが ,その後、アメリカ、オーストラリア、ペルー、ヴェトナムが参加の意向を示し交渉に入っている。最近マレーシアも参加の意向を表明した。特に2010年以降アメリカが積極的である。オバマ政権が次期選挙のために得点をあげたいらしい。

加盟国・交渉国に日本を加えた10か国で見ると、GDP(国内総生産)ベースで91%をアメリカと日本で占めるから実質は日米貿易協定との見方もある。

自由化は具体的には「工業品、農業品を含む全品目の関税を撤廃し、政府調達、知的財産権、労働規制、金融・医療サービス、などにおける非関税障壁を撤廃し自由化する協定」

非関税障壁とは輸入に対して数量制限、課徴金を課す、輸入時に煩瑣な手続きを要求する、また国内生産に助成金などの保護を与えて行うものである。

東京新聞を引用すると「推進派は経済成長を維持し、国際社会で生き残ってゆくには自由貿易を進めることが不可欠である。」特に工業関係者などは円高に加えて、関税障壁等で他国に差をつけられてはかなわぬ、と考えるのは当然だ。

「反対派は「TPPはすべての関税撤廃、ルールの統一を議題に乗せる特異な経済連携」と批判。医療や食の安全、労働の規制緩和など、影響が懸念される具体例を述べる。」

また対米交渉への不安も強く、過去の自由化交渉で米国に押し切られてきた経験を踏まえ「多国間議論の中で、あらゆる面で米国の求める基準を飲まされる。」と強調する。

特に強力に反対するのが農業団体である。農産物全体の平均の関税率は案外低く12%と聞く。問題になるのは特定農産物。米に778%をはじめ、小麦252%、乳製品360%、砂糖328%、牛肉38.5%などである。しかし小麦や砂糖は生産量は非常に少ない。問題は米と乳製品に限られるのではないか。食料自給率が大きく下がるとの話もある。

ほかに食の安全は遺伝子組み換え食品やBSE汚染牛肉問題なども絡んで来よう。

医療関係者も反対する声が多い。混合医療は保険医療とそうでないものが一緒に受けられる制度だが、原則禁止になっている。受ける医療に格差が出る、などという理由。

これらの議論があるにも関わらず進めたほうがいい、と考える理由。

長い目で見れば日本はやはりアメリカやアジアの国々と連携してゆかざるを得ない。今のところ中国経済圏に入るわけにはゆかぬ。その場合国家が妥協しなければならぬ時もあるかも知れぬがやむをえぬ。反対論の多くが直接の利害関係ゆえの反対に見える。大局的な長い流れの中で判断すべきである。制度等を変更しなければならぬ、安全基準が違う、押し付けられる等の議論も、そもそも日本人だけがこの国際化が進展する世の中で特殊な基準で守られるべきなのか、との疑問が残る。

最後に農業団体等の言う逸失利益の補償は必要ないのではないか。安い外国製品が入ってきて日本の国内産業が被害を受け政府が保証した例などないと思う。そんなものに税金を払えぬ!

 

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