1017「清武氏の反乱」(11月13日(日)晴れ)
読売巨人軍から重大な発表がある、というから、何かと思えば清武氏の渡辺会長への人事介入に対する不満話であった。具体的には、岡崎ヘッドコーチを変えて江川氏を据えようというもの。頭越しに決定されたらしい。覚悟の上のくせに涙まで流して見せるとは大した演技だ。さすがに辣腕新聞記者?あえてこういうことを、するとは、会社の中ではこういうことは言えぬ、無視されるだけだ、と見越して、己の身の犠牲覚悟の上でやっているのであろう。
しかしこのような不満話は企業社会では日常茶飯事であるように思う。誰かの歌ではないが「よくある話じゃないか。」それをサラリーマンはいつもぐっと耐える。そしてピラミッド型構造が維持されているのである。清武氏は、いづれ共感を得られずつぶされるものと思う。世論を味方にするというがあてになるまい。
清武氏は、なぜ事前には他人に相談しなかったのかと思う。サラリーマン社会であっても、これらの行動が実ることがある。皆で組んで反抗する時だ。発覚を恐れていたのだろうか。そうだとすればそれだけ彼の周囲には彼を支持するものが少なかったということで不徳の致すところとなろう。
この事件を調べながら、一方で同時に起こっているオリンパス事件を思い出した。財テクに失敗した話は、報道等から推測すると80年代後半であろうか。損がはっきりしても、そのころは何時か相場が盛り返すだろう、そのときに取り返せばいい、位に考えていたのではないだろうか。ところがバブルも崩壊し、相場の盛り返しなどあり得ないことがわかると何とかしなければならぬ。歴代社長は自分を社長にしてくれた人たちを追及するわけにもゆかず悩んだに違いない。
投資コンサルタントなどの助言を求めた。2005、6年ころのことであろうか。元証券会社のプロがやることであるから手が込んでいる。
ケイマン諸島に実体のない会社まで作り上げて、外国の会社を買収したように見せかけ、その金をキックバックさせ穴埋めにする。もう完全な犯罪である。しかし誰も反対できなかった。不正を発見した会計事務所まで首にしてしまった。それが発覚したのである。このままでは上場廃止、株価が下がれば他企業に買収されるというケースも想定されよう。まことに一流技術を開発した技術陣など会社を育ててきた者たちは怒り心頭であろう。だまされた株主も同様であろう。そして一方で会社に全く自浄作用というものがない、と評論家が嘆いて見せる。
しかもこの事件を友人と話し合ったとき「あのころはたぶん多くの会社がオリンパスのようなことをやったのだろうなあ。」・・・・とすれば、ある日突然こんなことが発覚する会社が今後出るのかもしれぬ。恐ろしい!
ただ、ふと思うのは、はたして自分がその役員の立場にいたらどうふるまっていたか。最近は企業が苦しくなったり、世間の目が厳しくなって、減っているようだが、社長になった者を退いた後も厚遇するなどの例も多い。人間の能力の差などよくわからぬ。最後は上に気に入られるか、否かである。気に入られて社長にしてくれた恩人を、そう簡単に首になどできぬ。清武氏のように元気の良い行動をとれたか?そのオリンパスでは最初に不正経理を摘発したマイケルウッドフォード元社長の復権を求める声が投資家等の間から起こっているという。
最後に、物事を、渦中にいるときと、そこから離れて見るのと大きく違うように思う。たとえば現役で働いていると、引退したものの考えなど問題外。常に周囲や会社のことのみ考えて物を見る。しかし外部の者や引退したものは門外に置かれるけれども、それだけに公正に、常識的に正しく物を見ることができるのではないか、と考える。ウッドフォード氏のように・・・・。
(考えるための情報)
渡邉恒雄 1926年生まれ85歳、読売新聞グループ会長。東京大学文学部卒。新聞記者として活躍し、正力松太郎、大野伴睦等にかわいがられ、政財界に勢力を大きな勢力を持つ。
清武英利 1950年生まれ62歳、読売巨人軍球団代表。立命館大学経済学部卒。読売新聞記者として山一證券事件などスクープし活躍。2004年に読売巨人軍球団代表。
(11月18日)読売新聞グループは、清武氏が「独断で記者会見を強行し、読売新聞の名誉、信用を傷つけた。」として解任を発表した。清武氏は、不当な処分として、弁護士団を結成し法的処分をとることを表明した。
会社としては当然のことと思う。法に訴えて何らかの権利が認められたところで、清武氏が戻れることはない、辣腕新聞記者も組織を離れればタダノヒト?
註 ご意見をお待ちしています。
e-mail
address agatha@ivory.plala.or.jp
ホームページ http://www4.plala.or.jp/agatha/