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1028「「金・ドル体制の終わり・・・副島隆彦」を読む」(12月29日(木)晴れ)
冒頭、「2012年、世界は金融恐慌に突入する。」と物騒なタイトル。
10月にベルギー最大の銀行デクシアが破綻し、国有化された。まだまだヨーロッパでは大銀行がつぶれてゆく。著者はつぶれる銀行の名称まで上げている。
今度の世界恐慌が奇妙なのはデフレ「不況」とインフレ(お金の紙切れ化)が合体した形で起こる。この原因を世界中の一流経済学者が予測できない。自分なりの答は「各国政府が当座の必要に迫られて、いいかと思って仕方なくお札と国債を大量にすり散らかして、実体もないのに国民経済をジャブジャブにするからだ。」である。この考えをもとに予測を4つ上げている。
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もうすぐ「1ドル=70円割れ」が出現する。
さらに米国は米ドルが基準通貨であることを放棄する。金とドルの兌換が切断される。その結果2012から2013年にかけて70円割れから60円台で推移する。さらに50円、40円台へ下落してゆく。
A
日経平均は7000円台から6000円台へ向かう。
ただし、5000円台を付けた後急上昇するだろう。底値で買っておくのがよい。NYヨークダウはドレッシングが行われてきたが,その弾もつきよう。危険な投資信託が「強制解約される日」が来る。これは想定上ありえない価格になったとの通知とともに実施される。
B
アメリカで「金の個人取引禁止法」が成立する可能性がある。日本にも影響が出よう。
これを受けて金価格は1グラム8000円を目指す。著者は最終的には12500円まで大高騰する、としている。
C
米国債の暴落と金利の上昇が起こる。2015年には5-6%ぐらいになっているはずだ。
***ギリシャの潜在的損失額が6兆円、スペイン、イタリア等までくわえて20兆円、これに加え金融危機の影響で銀行の保有する資産価格「株、債券、不動産」が下落する。そのことも考慮するとその25倍とか。しかしそれでもこの程度なら傷は軽かった。
しかしここに金融核爆弾ともいうべき怪物商品がある。CDS=クレジットデリバリースワップだ。サラリーマンの君が死んだら1億円下りる生命保険契約があるとする。これを家族が受け取るならいいが第三者が受け取ることになっていたら・・・・。そしてそれが転売されていたとしたら・・・・・。このサラリーマンの君をリーマン・ブラザースやギリシャ国債に置き換えたものがここでいうCDSである。ギリシャ国債を前提に発行されているCDSは100兆円である、と公表された。さらにこのほかにCDO(コンテライズド・デッド・オブリゲーション)というものがある。国債CDSをさらにたくさん組み合わせて作った商品でクラスター爆弾の様な危険と破壊力がある。これらの結果としてヨーロッパの大きな銀行が国有化され、CDS、CDOを発行したらしいアメリカ銀行も危機に陥るものが出る、とするのである。
しかし著者は同時に言う。EUは壊れないと。EUはヨーロッパ知識人たちが先導して出来上がった美しい共同理念であり「ヨーロッパ人同士はもう戦争はしない。」と誓い合った。そしてすでにヨーロッパ人はEUパスポートを握りしめ、ヨーロッパ国内をどこでも自由に行き来し、ユーロで気軽に買い物ができる利益を得てしまった。ヨーロッパ人郵政の党であり、今では中東アラブのイスラム教徒たちと激しい対立関係に或る。そういった状況でちっとやそっとのことでEUの団結は崩れない。
***個人や金融機関の名前を出す、ときどき論理矛盾がある、など私の感覚でいえば少々品のない本である。しかしそういう本に時に自分の本質が含まれるのかもしれぬ。信じるか否かは別にして思考のヒントを与えるものと考えれば大変有益である。
内容について一部は信じ、一部は信じない。信じない理由は人々がリーマンショック等を通じてそれなりの工夫をするようになっていること、一つは、日本の財務状況は欧米に比べてそれほど強いか、という点に疑問を持つこと。また米ドルに対して円が上がったとしても、第三国通貨に対しては同じ様になるとは考えぬ。日経平均についても、企業がそれぞれ自分の生きる道を考え、海外進出等もあって計算通り行かぬ、と思う。金については消費税の値上げが具体化されつつある、円安の方向に進む可能性があることを考えれば、上がるとは考えられる。しかし高騰が進む前、長い期間、金は一定価格であったことを思い出す。金はしょせん資源であり、資源は長い目では実需と大きくかけ離れて伸びることはないのではないか、とも考える。みなさんはどう考えますか。
「参考」981「「通貨」を知れば世界が読める。」・・・浜矩子」
註 ご意見をお待ちしています。
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