1029「新年に当たりうまいことを言いたくて・・・」(1月2日(月)晴れ)

 

書初めをやってみた。

最初は書道教室で現在練習中のものを書こうと思ったけれども、直前になって「何も正月に…。」という気がして、半切に龍という字を六つ書いてみた。ただし五体字類から拾ったからそれぞれに違った龍という字、龍にも個性があるように見える。

今年の干支は壬辰(みずのえたつ)である。辰や竜でなく龍を書く気になるのは自分でもよくわからぬ。この字が格好良く見える。来年は巳と書くべきか蛇か、どちらを書けばいいのだろう。

ウイキペデイアによれば、龍は中国古来の生物、旧字体は龍だが、字としては竜のほうが古く甲骨文字のころから使われている。荘厳にするため複雑にしたのが龍である。竜は神獣,霊獣であり、麒麟、鳳凰、霊亀とともに四霊の一つとして扱われる。中国では皇帝のシンボルとして扱われ、水中か地中に棲むといわれる。その啼き声によって雷雲や嵐を呼び、また竜巻となって天空に昇り自在に飛翔するとも言われている。年賀状に龍の絵を描こうとして困ったが、角は鹿、頭は駱駝、目は鬼あるいは兎、身体は蛇、腹は蜃、背中の鱗は鯉、爪は鷹、掌は虎、耳は牛に似、長い髭を蓄え、喉下には一尺四方の逆鱗がある、とか。

さて本題、友人のAさんは年賀状をくれない。その代わりにA3判に干支に関すること、趣味の碁に関すること、政治のこと等いろいろ書いたA通信なるものをお年賀として送ってくれる。その中の一編をちょっと拝借して掲げる。

「その昔、大海に流れる大河の河口には鯉の稚魚がうまれ、幾年も幾年も川をさかのぼった。大雨もあり台風もありその都度川の水で押し流され、何回も何回も繰り返して川上にたどり着いた時には大きな鯉に成長していた。なおも上流に向かえばそこには大きな瀧があった。鯉は瀧を昇ろうとするが何回も失敗した。傷つきながらやっと昇りきると、それが龍門であった。「よくぞここまで来た。お前を天に呼んでやろう。」と神の声があり、姿が龍魚になり手足もでて本当の龍に変身したのだ。それで天に昇って行ったのだ。この門が有名な登竜門であり、鯉の瀧のぼりの故事である。瀧はさんずいに龍と書くのもうなづける。」

不動産屋はいつも山岡鉄舟の描く墨絵のカレンダーをくれる。私の書斎に飾っている。絵にいろいろ漢文がかいてあるので読むようにしている。今年の表紙の絵は二人の農夫らしい男が、大きな枝の沢山ある木の根元をほり大判、小判がザクザク出てくる様子が描かれている。説明に

「東照公或時其小姓衆に語りて曰く「汝ら立身木というものをしらずや」と問わせ玉ひけるに、皆存ぜずと申す。公自筆を取らせ給ひ、下の如き図をなし給ふ。皆富貴を得る基なり。時に傍らに細川三斎是を拝見し,如此枝を添え申さば如何にと御申あるに、公感じ給ひ、是至極の教えにて手近の譬えなり。是を皆に知らしめよと御意ありしぞと。此図或る人の秘蔵せるを借りてその儘写す。」

真ん中に「志やうぢ木」(正直)、周囲に、あさおき(朝起き)、よろづ程のよきかせぎ(稼ぎ)、しんぼうのよき(辛抱のよき)、じひふかき(慈悲深き)、ついえのなき(費えのなき)、ゆだんのなき(油断のなき)家ないむつまじきを配置している。

東照公はもちろん徳川家康、泥臭いが彼らしいいい方のように見える。

これから厳しくなり先の見えぬ日本、今年の日本についてAさんは

「(我々は)文民なりと威張れどもスターリンもヒットラーも分類すれば文民なり。これらの輩がこれからの我が日本の運転手、心細くはあるけれど、それを選んだ民草は今更何も打つ手なし、自ら自身を恨めかし、さてどうなるかお立合い」

というが、そういう時こそかえって家康の言が参考になるかもしれぬ。

暮に与謝野馨の「民主党が日本経済を破壊する」を古本屋で見つけ読んだ。私は彼が自分の良心と信念から物を言える数少ない政治家の一人と思っている。彼が好きだ、としている格言。私は昨年から習字でこれを上手に書こうとしている。荀子の「勧学」の一説である。

「冥々の志なき者は昭々の名なく、恨々の事なき者は赫赫の功なし」

(胸に秘めた志を持たない者は名をあげることはできない。同時に地道に一生懸命努力できない者は輝かしい功績は残せない。)

「俺は大臣になるんだ」「俺は首相になるんだ。」冥々の志を持った者が、赤絨毯の上で勝手なことをいいあっている・・・・その結果、Aさんの言のようになるのかもしれぬ。しかし若い時には持ってほしい気概、龍年にふさわしい言葉である。特に最近の若い人には優秀であっても是のないものが多いという。残念なこと。けれど三途の川の見えてきた我々は、この元気のいい言葉はしばらくはわきに置いておくことにしよう。まずは額の上の蠅!

 

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