103「21号台風」(10月1日 雨)

私の勤めていた会社は、10月1日が創立記念日だった。大抵の職場ではゴルフコンペが企画されたものだった。しかし不思議に雨になることがおおかった。一度など、それでも強行したが、雨ははげしくなるばかり、テイーショットをしたところ、クラブまで飛んでいって見えなくなってしまった。なかなか見つからず、だれかが「ロストクラブというのはスコアをどうつけたらいいんだ。」と真顔でいい、みんなを笑わせた。

今日も大型の台風21号が関東地方に近づいている。東京は一日雨模様だった。

夜、寝床に着いたころ、大分風が強くなったらしい。台所の換気扇の外側フードに雨が大きな音をたてて当たり、トイレや階段の窓ガラスなどをがたぴし言わせる。何が起こるわけでもない、とわかっているが一人でいると気持ちの良いものではない。

台風はかっては颱風といった。中国語の颱とtyphoonの音をとったもので一般につうようするようになったのは大正時代からだという。それ以前は「野分(のわき)」といった。戦後は「颱」の字が当用漢字にないので「台風」と書くようになった。季語は秋。

江戸時代の句に「我庵は下手の建てたる野分かな」という句がある。我が家は鉄筋コンクリート製というのに、なんだかこの句がしのばれる。

野分には、昔から日本人はつき合わされてきた。源氏物語には同名の段があり、夕霧が紫の上をかいまみるシーンに加え、すさまじい嵐の様子や嵐の翌日源氏が女たちを見舞うシーンなどが描かれている。

枕草子にも163段に「野分の又の日こそ、いみじうあはれに覚ゆれ。立蔀・透垣などの伏し並みたるに、前栽なども心くるしげなり。多きなる木ども倒れ、枝など吹き折られたるだに惜しきに、萩、女郎花などの上に、よろぼひ這ひ伏せる、いと思はずなり。・・・・・。」などと記述している。

私の幼いころ経験した台風あけの朝も似たようなものだった。時々瓦が落ちたし、木が倒れることもあったし、板塀が飛んだこともあった。

けれども子供心には翌日は楽しみだった。近くの家の栗の木の実が落ちるからである。銀杏は臭いから興味がなかったが、あれも目をつける人は多いようだ。

台風はどうも上陸してから大分速度を速めたらしい。夜半、寝付かれなくて玄関の戸をあけてみるともう雨も風もやんでいる。「この分ではたいした被害もでなかったのだろう。」とタカをくくって寝床にもどった。

朝、我が家は二階ベランダの物干し台が倒れたくらいでたいした被害なし。

もう台風は北海道あたりに行ってしまったらしい。今日は久しぶりに気温が上がるらしい。TVで被害の様子ををみてびっくりした。茨城県で電気の高圧線がひしゃげて倒れている。新宿では西武新宿近くで街路樹が何本も倒れた。ラジオ体操にでかけると指導員のOさんがどこやらで銀杏を拾った話をしていた。

台風の翌日は、昔も今も余り変わりはないようだねえ

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