1044「ザックの会での議論」(225日(土)小雨)

 

ザックの会とは、A君等が中心になって高校同期の仲間で山歩きをする会である。しかし皆古希を迎える年齢、下見一つも苦しくなり、今後どのように進めたらいいか、と新宿に集まった。ほとんどがいつも山歩きに参加する連中。結局幹事を持ち回りでやり、回数も年に4回くらいに減らそう、と言うようなことになった。流れ解散になったが、私はA君等4人で小田急の「さがみ」というビヤホール?に行き歓談した。

最初は皆の身の上の話であった。誰かが両親の介護のために仲の良かった夫婦が離婚するようになった話をした。「夫婦と言ってももとをただせば他人。」と皆からため息が漏れる。「子たちは頼りにならぬ。夫婦はお互いに自分が先に死ぬと思っている。」などの議論が続いた。

然し今日はその先の公企業論や社会のあり方に対する議論の方が激しかった。議論は主として私とA君の間になった。私も酒を飲んだせいで少々言い過ぎたかもしれぬ。しかし議論の要諦はなんであったろうか。家に戻り床に入ってつらつら思い返してみる。

最初は東京電力問題。これは公企業の考え方に違いを感じた。

便利な電気がない。皆が電力を供給してほしいと願っている。

第一の考え方は、供給できる者はいくらでもいる。そのうちの一つに供給して料金を回収できる権利を与える。ただし料金は認可制にする。利益も保証してやる。

第二の考え方はあるものに資本を出してもらい、供給してもらう。資本を出してもらうのだから適正な利益は保証する。料金はこの利益を上乗せし、事業者の案を審査して決める。

似ているようであるが、行き着く先は大きく違う。

前者はそのような権利を取り上げることも、改変することもお役所が自由に決められる。

後者の場合、事業者はその利益を見込んで出資し、安定した供給に努力しているのである。それを何か事があったからと言って急に供給する権利を取り上げるのは信義に反すると考える。A君の考え方は前者である。それ故東京電力など潰してしまえ、国家が管理すればいいのだ、となる。

私は似た会社に勤めていたこともあって、後者の考え方である。電力会社は、自己の希望も、安い電力をほしいという要望も考えあわせ、政府の政策に基づき、電力供給を行ってきた。そして東日本大地震で福島原発の破損と言う大きな打撃を受けた。とすれば一部に電力会社の責任を認めるにしても電力価格に反映させることは仕方がないではないか、と言うことになる。

それをこれで原子力は危険であることが分かったから、火力に変えろ、電力料金はそう簡単にあげるな、事故はお前の責任だから損害分を含めることは認めない、そしてお前の様な不道徳な会社はさっさとつぶれればいい、国有化する、と宣言する。発送電分離はその先に或る。日本全国に或る電力会社は順次このような方式に移行させ、送電部門は国有化する。私には幾らなんでも国家の都合の良すぎる議論に思える。

次の議論は現在の民主党政治に対する考え方についてであった。

第一は、政府の目的は皆の幸福な社会の実現に或る。小泉内閣の時に日本の産業界は企業優先で潤ったが、貧富の差が大きくなった。この間に労働分配率はさがった。皆、金がなくなり資本家だけが悦に入っている。それを元に戻し、手厚い社会保障をすることが責務である。

第二の考え方は企業などの活動で得られた利益は、まずは社会の発展のための資本として使われるべきである。これによって企業収益が向上すれば、労働者の所得も増える。手厚い社会保障も可能となる。

小泉内閣の時に労働分配率が下がった、と言うが、企業環境が厳しくなり、そうしなければ企業が生き残れなくなった結果である。大体労働者、経営者と言う二項対立でものを考えることは間違っている。現代では経営者、つまりは会社の社長は多くは労働者の中の優秀なものが選ばれてなったに過ぎない。資本家も変質している。昔の概念ではなく年金などのファンドも多く名を連ねるようになっている。企業がこの期間儲かっている、と言うのは大間違いだ。株価の指標たる日経平均を見るがいい。半分にも三分の一にも下がっているではないか。大体金持ちから搾り取ればいい、という政策を続ければ、資本家は皆日本から逃げ出し、社会保障などとんでしまう。

最後に気づくのだが、二つの議論は大きな政府がいいか、小さな政府がいいか、議論につながるようにも思う。A君は前者で私は後者なのかもしれぬ。

酒飲みながらの老人の話、行き着くところ「現在ろくな政治家はいない。」・・・・・しかし政治家のみでなくみんなもろくでもないのかもしれぬ。ろくでなしが選んだろくでなしの政治家が、日本を未来に進めて行く。最後にB君が言った。「このような老人の議論は嫌いだ。みな一丁前の政治家の様な事を言うが実際は何もしないし、何もできない。時間の無駄だ。」ところがこれも議論を呼んだ。「ごまめの歯ぎしりのようであっても、このような議論をすることを、日本人はつい逃げてきた。特に現役時代はそうであった。しかし議論をせねば先に進まぬではないか。」

 

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