1048「慣れと感覚」(38()曇り)

 

「人間あるいは生物には見たくないものを見ない。」と言う感覚が、本能的にあるのではないか。今日はその話をしてみたい。

高校同期の友人A君との会話。A君は若い時に相当の資産を運用して大きな損を出した。そこで決心して一時は、株などは一切しまいと決めた。しかし最近少しづつ、またはじめている。彼に言わせると、貯金などばかばかしくて出来ぬという。大きな金が動いているのを見ると、ちまちましたことなどできぬという感覚らしい。減っても株は儲けるときには大きい、だからそのうちかかればあっという間に今の損など帳消しだ、と言う感覚になる。少少の損をしてもそれがなんだ、と言う感覚になる。

実はそれが問題なのだ。感覚がないうちに資産が減ってゆく。気が付いたときには身動きが取れない。

AIJ問題を考える。あの問題は、資金を運用する立場の人間になって考えるとよいのではないか。システムは、簡単に言えば個人から集めた資金をデリバテイブなどで運用することだったらしい。デリバテイブは、損得の差額分だけを計算するやり方。実際の株なら100円の株が90円に下がっても10円での損で済む。しかし100円の元手で1000円借り、投資していれば、たちまち元の100円はゼロになってしまう。しかも面白い実質財産ゼロでも借りた金は残るが、当座の利子は入ってくる。

資産は無くなってもとりあえず利子が入ってくるのだから、それを配当すればいいではないか、と言う感覚になる。失敗した投資の方は歯車が逆に回れば一回で取り返せるくらいの感覚になる。実際、部分では大きな成功を収めているところもあるではないか。それが少し大きくなれば・・・・。そのうち利子だけでは配当できなくなる。しかし配当の不足分など、デリバテイブの一気の損得を考えれば大した金額ではないではないか、払っておけと言うことになる。それがだんだん進展してゆき、最後にはにっちもさっちも行かなくなり、ようやく世間に発覚した、と言うことではないか。もちろんそんな事だって予測しなかったわけではない。しかし楽天的に考えていた・・・・。

保険金殺人事件を考える。被告は女性、40から80くらいの男性に近づき、財産をだまし取り、最後は練炭自殺に見せかけ放火し、殺したらしいとされる。裁判員裁判で被告は「セックスをすれば男の人が楽しみを感じるのだから、代価をもらうのは当然と娘時代から考えていた。」と言う。

セックスの代価は、どうとでも考えようがある。お互いに愛し合っての結果であるからそんなものは要求すべきでない、と言うのが一般的だが、そのうちにホテルや食事代くらいは、になり、多くの金銭になり、財産になる。

払う方はとんでもないと考えるから争いになる。「払わない方がいけない。」と独自の論理になり、それなら殺されても当然、と言うような感覚になるのではないのか。

国家の財政を考える。国民に手厚い福祉を施してきた政府は、わずかに金が不足することに気づいた。そこで「今が不況であるから」あるいは「この庶民の苦しみを見よ。」など独自のいいわけで、国債という借金を行う。、その次の年も繰り返す。

人々は「ひとたびバブルが起これば一度にそんなものはなくすことができる」と楽観的。

現実を見ることを嫌う。それがいつの間にか積みあがってかなりな状況になる。それが今の日本なのではないか。国家は収入の倍の金を使い、足りない分は新たな国債を発行して賄う。国債の償還は、決して税金では行わず新しい国債で賄う。こんな状態がどこまで続くというのだ!!ひょっとしたら、国家が破綻するまでこの自転車操業を繰り返すのではあるまいか。その時は・・・・。知らぬ!!

首都圏直下型地震を考える。東京大学がこの4年間でマグニチュード7クラスの地震が起こる確率が70%と発表した。あれは警告であったのか、それとも研究成果の単なる発表であったのか。とにかくそれにマスコミが飛びついた。そして危険、危険とあおり始めた。人々も不安になり始めた。しかしほとんど皆対策は取らないのだろう、とも思う。本当に危険と思えばさっさと関西でも外国でも出ていけばいい。株価も影響をほとんど受けなかった。場合によっては日本経済が壊滅する可能性があるというのに。

あの予知発表の効果はなんであったのか。起こるかもしれない、と人々は気づいている。しかし人々はそれを直視する気にはなれない。大変のふりをするのは、それを行うことによって予算を獲得しようとするお役人と、おこぼれにあずかろうとする関係企業くらいのもの・・・・・。

今朝の新聞で東大の女性助教授が首都圏地震予知に誤解があるとしている、との記事。あれは確率の話で、本当は木の葉を落ちて表裏どちらが出るかわからぬようなものだ、とする。どうなのだろう。・・・・しかしこの助教授さん、美人だなあ!(また余計なこと!!)

カタストロフは起こって初めて認識される。太平洋戦争も、今回の東日本大災害も・・・・。

 

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