1050「大震災から1年」(312()曇り)

 

昨日はテレビは震災後1年でもちきりであった。早いものである。しかし避難所生活を続けている人や瓦礫の山がその儘だったりするのを見ると、行政の怠慢のようなものを感じる。

菅首相から野田首相に変わった時、言葉は忘れたが気がついたことが一つあり、その通りだ、と思った。菅首相は昔から社会運動をやり原子力の不安など訴えていたから、ここぞとばかり、原子力問題の解決が私の使命みたいにそればかりやっていた。ところが野田首相は「一日も早い復興が私の使命」というような言い方をしていた。

あの災害はまず地震、そして津波、最後に原子力発電の事故というとんでもないことが起こった。しかし根本は最初の二つが重要なのだ。最初の二つで2万人の死者、行方不明者を出した。原子力発電では将来ないとは言えぬが今のところ死者は出ていない。野田政権にもいろいろ問題があると思うが、両者を比較してみれば明らか。ずっと人間的でまっとうな対応に見える。

この大地震は日本人の持っている良い点も明らかにしたが、問題点も徐々に見せ始めている。

前者はたとえば外国人びっくりしたように暴動も何も起こらず秩序が保たれていた、という点である。これは一つには比較的おとなしい、儒教教育の片鱗がまだ残っている日本人の美徳の様に思う。しかし一方で「金があるからね。」との見方も否定できない。個々人が家や財産を失い、避難生活を強いられても、少し余裕があるように見えるのは、多くはすこしはたくわえや頼れるとあてがあり、なんとかなると考えるからではないか。「恒産あって恒心なし。」とはよく言ったものだ。

しかし最近になってエゴをむき出しにする問題点も見られるようになった。

週刊誌にはひどい記事が書いてあった。産業廃棄物を夜陰に紛れてそこに捨てに行く業者がいるのだそうだ。瓦礫問題と言えば、瓦礫処理の受け入れ拒否もその典型のように思う。あれだけ同情するふりを見せながら、自分の隣となるとかたくなな拒否、エゴむき出しではないか。

仮設住宅が正しく使われず、倉庫代わりに使われている例があったり、あるいは借り手がいない者だからボランテイアや市や町の職員の宿舎に転用されている例まであると聞いた。被災者も長引く避難生活の故もあるだろうが、生活保護、失業保険などと比較してその日暮らしを続けた方が得と判断するような人もいると聞く。もちろん特に高齢者はやむをえないのか、知れないけれども。70,80になってそれまで蓄えてきたすべてを失えば、余命の少ないことも考えあわせ、やる気は失せるのはのかもしれぬ・・・・。

時代がまだよく、少し余裕があるためか、悪乗りした運動も多いように思う。たとえば東京電力の国有化であるとか発送分離の様な考え方等もそのような意見に見える。東京電力は民間事業であると同時に皆に必要な電力を供給しているのである。それ故まずは窮地に陥った会社を助けるという視点が大切ではないか。東京都が石原知事殿の音頭のもと瓦礫処理をいち早く決めたのは素晴らしいことと思う。しかし副知事が「東京電力はまだ隠し資産があるはずだ、それが出るまで料金値上げは認められない。」さらには自前の火力発電所ならうなづけるにしても、中部電力から買うことまで考えている、となると頭の構造を疑いたくなる!

今回の災害は、太平洋戦争敗戦から立ち直ったころとの比較で考えることが参考になるとも感じる。あの時は、仮設住宅も各種保証も期待ができる状態ではなかった。我が家も焼け出され、行李一個で親子4人どうしたらいいか、親父はまったく困ったと話していた。原爆の広島では、その恐ろしさは知らされておらず、人々は時間とともに町あるいは自分自身の復興にたちあがった。おかげで後遺症などで苦しむ人がまだ堪えぬというが・・・・。

震災から1年、起こってしまったことはしかたがない。これからのことを考えたい。

今回の災害は大変なものだと思う。しかし隣の中国の四川大地震の時には6万人の死者を出している、そして1年もたたないうちに復興している、と聞く。どうも日本は遅すぎる!

ちらりと四川大地震の時のある人の演説の様なものを聞いた。

「涙を流しているだけでは何も変わらない。」その通りと思う。

ところで、最近はよく揺れる。4年以内に首都圏で東京大学のマグニチュード7クラスの地震が起こるとの予測・・・・・恐ろしい。根本的対策を立てなければならぬ、と言いたいが、実は世の中に絶対安全なんてないと思う。原子力発電などいくら安全に作ったつもりでもミサイルや衛星の落下はどうだ、と言われればそれまでである。しかしだからと言って化石燃料で置き換えることやシリコンパネルで国土を覆う方が正しいか・・・・・難しい判断である。これらをもう少し己の意見の無理強いや利益のためでなく、国民的に考えてもらいたいものだ。

追記 瓦礫を受け入れ処分してやろうと考える自治体が少しづつ増えてきたという。日本人も捨てたものではないかも?喜ばしいことである。

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