1055「消費税・・・・「日本の税金」を読んで」(3月28日(水)晴れ)
三木義一の「日本の税金」(岩波新書)なる本を読んだ。著者は税法の専門家、政府税制調査会専門家委員会委員でもあり、著作も多いようだ。
なかなかよく書けている。なぜよく書けているか、というとこういうタイトルの本であるとつい逐条的に解説するなどして表面をおさらいするような感じになりがちだが、どのような点が問題でどう考えるか、と自身の立場も明快にしている。知的好奇心を満足させる読み物としても面白いように思う。税金を一歩踏み込んで理解するためにぜひお勧めしたい。
税には、ずいぶん矛盾がある。所得税は収入でなく所得に課されるから、同じ1000万の収入でも必要以経費で税金は大きく違う。法人税は結局誰が負担しているのかわからないし、軽減するどころか廃止すべきだ、との意見がある一方、累進税率をかすべきだという者がいる。相続税は同じ3000万円を相続しても、全体で5億の資産を相続した場合と、全体で3000万だった場合ではまるっきり違う。酒税に至ってはめちゃくちゃで悪税が新しい種類の酒を造りだしている。
地方税は収入面で三割自治、四割自治の現状が変わらない。日本は今税金に見合った政治を行わず、差額分を国債に頼っているが、地方はその点で先輩格。家屋の固定資産税がいつまでたっても減らぬ原因をご存知か?また地方は法定外税を地方独自で課すことができる。
最後に大きな金額を脱税しようと考えるなら、国際課税の章を読むとよい。たとえば法人については「本店所在地」を基準にしている。ならば外国にもう一つ会社を作り、そこを通して多くの利益を上げればどうなるか。税金を払わないで国外に逃亡したらどうなるか?国境を越えて移動する資本金に課税することはできないか。興味は尽きぬ。
今日はそこに書かれている消費税論議を少し取り上げてみたい。消費税を10%にすることがようやく民主党の中でまとまろうとしている。
*内税方式と言うのは税の痛みを感じさせないための謀略。350円のコーヒーに消費税を入れて367円払うと消費税の重さを実感する。もしビールを買うとき表示通り190円払うと「別に酒税と消費税155円、合計345円払ってください。」と言われるとしたら、消費者はどう感じるか。納税義務者は業者であるから、あくまで367円、345円の商品と考えるべきである。
*簡易課税方式が広く使われている。正確に課税仕入を計算するのが大変であるから簡易課税制度というのがある。課税仕入れを課税売上の一定割合とみなして税額を算出する制度で小売業については80%となっている。しかし3000円で買ったものを5000円で売ると客からは5000*0.05=250円もらう、小売業者は税金を50円払い、卸業者は3000*0.05で150円支払う。客の払った250円のうち50円は誰の懐に入ってしまったのだろう?
*消費税はシンプルで公平と考えられているが実はいづれも当っていない。消費税には非課税としているものがある。わたしに関係のありそうなものをあげてみると土地の譲渡、有価証券の譲渡、貸付金の利子、郵便切手、学校の授業料、入学金、埋葬料、住宅の貸付・・・・。すると5万円のものを売ってそのうち1万円これに該当する場合、納税者は通常の物は差額に消費税を払うが、非課税商品は売価そのものに消費税率をかけねばならぬ。業者によって大変この上ない。
*消費税の逆進性、つまり国民の比較的貧困な階層から調達されていることのようだ。ただしここのところは私は十分に理解できなかった。対策として、たとえば生活必需品を非課税にした場合、例えばレストランなどは高くなってしまうかもしれない。なぜなら非課税部分について売上価格そのものに消費税がかかってしまう。
*上述の対抗策として給付付消費税控除方式が進められる。たとえば生活保護基準額の5%を所得税額から控除する方式である。しかし民主党政権下では、子ども手当が問題になり、財政赤字の中、所得税の税収を減らすわけにもゆかぬなどの議論があって進んでいない。
*最後に派遣労働者の活用につながりかねない。なぜなら派遣労働者の給与は仕入れ税控除ができるが、正規社員の給与はそれができないのである。
最後の消費税の増税に対してどう考えるか。この書にははっきり書かれていない。私も基本的には増税せざるを得ないと感じてはいる。しかしこのような細かい問題は一体どうなるのだろうか。
また増税賛成とはいうものの「その前にやることがあるだろう。」という小沢氏などの意見にもうなづけるところを感じる。日本の金融バランスを正常な状態に戻すために、議員定数の削減、公務員の給与削減などと言う範囲にとどめるべきでない。社会福祉はどこまで行うべきなのか。弱者救済はどこまですべきなのか。収入についても後記で示す宗教法人の課税など取り上げるべき問題が多くあるように思う。
(後記)その前にやることは何か、議員定数の削減くらいでは収まらぬ。友人は次のような大きなテーマも議論してほしいと思う、と主張する。でも公明党が頑張ってできないのだろうなあ。橋下さんでさえ言っていないのでないか?
「読者からのメール」
貴兄の通信に一度取り上げてほしいと思うのは仏教のからみの欲の問題です。
小生は京都の各寺社の僧侶神官はあげて腐敗堕落していると思います。一人の仏教信徒として許せない問題だと思います。
平清盛のドラマで来週あたりは比叡山の悪僧が都に強訴に及んだときの清盛の果敢な処置が出ると思います。この時代から堕落した僧侶の強欲が問題になっています。信長に征伐されたのですが、いつの間にかまた復活していますね。強い生命力ですね。宗教人としての生命力ではなく、欲と二人連れ・・・同行二人の生命力です。
今から30年前に京都市で寺社の拝観料に課税しようとして、大騒ぎになりました。それまで拝観料は宗教行為だということで無税だったのですが、税収に不足を生じた京都市が課税しようとしたのです。
すると寺社側は「拝観停止」の措置で対抗しました。
これに一番音を上げたのは寺社でも市でもなく、観光客相手に生計を立てている市民でした。それで市民側の猛烈なブーイング、さらには裁判で市はあきらめたのでした。
京都の有名寺院はこの拝観料の収入が天文学的な数字となり、無税でいまだとり放題です。消費税すら払っていません。喜捨は消費ではないという理屈です。商社員が外国の客を観光案内したときの拝観料はこれは商社の交際費だそうです。そこには課税されますね。
昨年金閣寺の管長が揮毫の礼金2億円を申告していないことも発覚しました。東北の地震にさいして、一年間くらい拝観料を復興に寄付することを言い出した寺社があることは寡聞にして知りません。
この強欲な坊主どもから金を取り上げることを課税夫のノダは考えても居ないのでしょうか。弱い民から絞ることしか考えませんね。
註 ご意見をお待ちしています。
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