1056100ベクレルの新基準に思う」(46日(金)晴れ)

 

4月から食品に含まれる放射性物質セシウムの暫定基準値が改定され厳しくなった。

牛乳、乳児用食品などを除く一般食品であっても、暫定基準値ではkgあたり500ベクレル以下であったものが100ベクレルに下げられた。ただ米や牛肉にあっては今までの経過を踏まえ、今年の秋までは500ベクレルと経過措置が認められている。さっそく生シイタケやふきのとうからこれを超えるセシウムが検出されたと、地元も役所も大騒ぎである。魚に至ってはもはやとっても売れぬと漁にも出ぬ日が続いているという。

ところでワンガリ・マータイさんのことを覚えているか。昨年9月に亡くなったケニアの女性環境保護運動活動家。彼女は日本人の美徳として「もったいない」を取り上げモッタイナイ運動を起こした。世論もそれに飛びついた。マスコミも称揚した。

100ベクレルを超える食品がどの程度危険なのか知らぬ。発がん率がどのくらい上がるのか知らぬ。しかしこれによって廃棄される食品を考えると、もったいない、という感情がどうしてもおこってしまう。少少含まれていたって、影響の出にくい老人ホームや、将来のことなどどうでもいいと考える者に分けてやればいいではないか、と思いたくなる。

考えてみるとある値を越えた放射性物質を含むものを食べた結果どうなるか、はっきりわかっているわけではない。統計的に少々がんにかかる率が高くなるらしいと言ったところで確定した値があるわけではない。もちろん100ベクレル以下ならいいという基準もない。「新基準をどう思いますか。」「政府の言うことなどあてにならぬ。絶対安全なものを・・・・。」などと言い出す。絶対安全なものなど、わからぬのだからあるわけがない。

この100ベクレルという数字を決定するにあたって、いろいろな思惑が働いていたんじゃないか、と思う。厳しくしておけば我が身が非難される心配はない、値を厳しくすればそれをクリアーできない者が出てくるだろう、そうすれば競争が減る等々。しかし生産者にとっては迷惑な話だろうなあ、と思う。

大飯原発の再稼働の安全基準について政府が大筋で了承した。後は地元の理解が得られれば稼働することになるのだ、という。

この背景を考えてみるとやっぱり今年の夏の関西地区の電力不足問題が浮かび上がる。それがなければ私は今の政府なら単純に認めません、と言ったのだと思う。それがどうもひょっとしたら停電が起こるかもしれない、そうすれば責任を追及されるかもしれない、そういう思いが政府を仕方ない、との思いに動かしているのだと思う。予測と言うのは難しい。

しっかり節電をしてあまり暑い日が来なければ無事に通過するのかもしれない。しかし技術屋は彼自身も自分の身を追及されるのは嫌であるから、安全サイドにものを言う。すると情報通が揚水発電所でも、他電力からの受け入れでもなんでも行えば、できるじゃないかと主張し、電力会社の必死の頑張りにより停電を行わずにすめば「やればできるじゃないか。」くらいのことを言う。はっきり主張したいのなら「大飯は再稼働するな。大坂で停電が起これば俺が責任を取る。」くらい言えばいいのだ!!もっとも門外漢の者が責任を取ると言っても笑われるのがオチだろうが。

私の高等学校同期の仲間の通信欄がある。中の一人に原発や代替えエネルギーのことをいろいろ勉強した結果、本人は原発廃止論者になったようだ。彼は通信欄に「不謹慎だがもう一度福島原発事故の様なものが起こればいい、と思う。そうすれば日本人は原発の恐ろしさに目覚める。」ひどいことを書くと思った。それなら私は言いたい。「この夏どんどん暑くなって日本全国で停電が起こればいい。そうすれば国民は改めて安定した電力供給の重要さを認識する。」この夏電力供給医不足に陥る確率ともう一度東海地震が起こる確率とどちらが高いのだろう?

通信の1050で被災地の瓦礫受け入れ問題のことを書いた。あの後政府が全国の自治体に要望したが、まだ昨日時点で受け入れを表明したのは僅かに7都道府県にとどまるとしている。議会等はすこしは良識があるからイエスと言うのだが、住民が納得せぬという。そしてまた定まりの「政府がいくら安全と言っても信用なんかできるか。」とわめく吾人が出てくる。

絶対安全、完全なものを請求することはできる。何も信用できぬと言ってしまえばそれまでだ。しかしそれは今まで持っていた「なあなあ」の合理性などというものも吹き飛ばしてしまう。

人間様だからこんなことをするのだろうが動物の集まりならどうするのだろう、と考えたくなる。公園の池の鯉は、ゴミでもなんでも口に入れる。そうしなければ生きて行けない。水が干上がっても、ヘルペスがはやっても死ぬだけだ。

「絶対安全などというものはない。」「信用できないとなれば誰も信用できない。」その上でどうすることがベストであるのか、もう一度考えてみる気と思う。

 

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