1073「「宇宙は何でできているのか」を読む」(5月26日(土)晴れ)
(通信1069参照)
著者村山斉は素粒子物理学の専門家。東京大学数物連携宇宙研究機構初代機構長。
書店でこんな先の見えぬ世の中、自分を解放する気分で買ってきた。
難しいことを易しく説明するのはものすごく大変なことだと思う。著者は随分その辺に留意しており、前半は分かりやすいが後半はかなり難しい。私は二度読み、さらに次の本を参考にした。
佐藤勝彦 「ニュートリノと宇宙創生の謎」 実業の日本社
以下、ポイントの説明。
日本が打ち上げた人工衛星「ハヤブサ」は5年の歳月を費やして、小惑星「イトカワ」に到達し、戻ってきた。アメリカの1977年に打ち上げられたボイジャーは冥王星近くまで行った。
しかそこまで往かなくても到達する光を分析すれば、例えば太陽の構成物質がわかる。しかも宇宙から到達するのは光だけではない。ニュートリノという粒子が無数に降り注いでいる。それを補足しようとカミオカンデが岐阜県の鉱山跡に設置された。内部には、超純水がためられており、ニュートリノが水の中の電子に衝突したあとに、高速で移動する電子より放出されるチェレンコフ光は青白く発光し、壁面に備え付けられた光電子増倍菅で検出する。1987年カミオカンデは偶然に大マゼラン星雲で起きた超新星爆発で生じたニュートリノをとらえ、この功績により小柴昌俊東大教授がノーベル物理学賞を受賞した。
宇宙に或る全エネルギーは、星と銀河 0.5%、ニュートリノ0.1-0.5%、普通の物質(原子)4.4%、暗黒物質23%、暗黒エネルギー73%、反物質0%・・・全エネルギーと言い、重量と言わないのはアインシュタインの例の法則E=mc2により、エネルギーと質量が変換できるためらしい。
私たちの周りには目下114種類の元素がある。そのうち自然界には92、これらの元素が結合して万物ができている。その原子は陽子と中性子、それをとりまく電子より成り立っている。この辺までが我我の習った科学であった。しかし今は陽子や中性子、さらにこれらをくっつける中間子もクオークからなることが分かった。さらにレプトンの存在も明らかになった。
地球は実は秒速30キロメートルの速さで太陽の周りをまわっている。あらぬ方向に飛び去ってゆかないのは太陽の力に引っ張られて「落ちて」いるから。それだけでなく太陽系自体も秒速220キロメートルで動いている。妙な方向に飛んでゆかないのは太陽系が天の川銀河全体の重力に引っ張られているから。どのような重力が太陽系をここに引き留めているのか。実はこれが暗黒物質で宇宙全体に偏在しているのだという。
宇宙は一点から始まった。宇宙は凄まじい高エネルギーの状態の中をさまざまな粒子が飛びかう超超高密の「火の玉」のような時代であった。そこにあるのはばらばらの原子と暗黒物質だけ。「光」というものが一切なかった。やがて少し温度が下がり、原子核が電子をとらえ、次第に見える宇宙になってゆく。最初は原子番号1-3までの元素ができ、次第に複雑なものになってゆく。宇宙は膨張をつづけ、137億年くらい前に大爆発を起こし、何もない四方の空間に散らばった。宇宙内部の元素がばらまかれ、それらの塊が中性子などを吸うことで、地球の様なさまざまな元素を持つ星が生まれた、と言われている。ビッグバンだと呼ばれるものだ。それから40万年後宇宙は摂氏約3000℃になり、そこで初めて光が飛べるようになった。
宇宙誕生後、宇宙は膨張をつづけ、現在に至っている。宇宙がこれからも膨張を続けるのか、それとも収縮に向かうかについては学説が分かれている。
太陽の内部では水素が核融合反応を、起こしてヘリウムに変換され膨大なエネルギーを生んでいる。
1秒間に50億キログラムがエネルギーに変えられ、そのおかげで私たちの生活は成り立っている。しかし水素は無限ではないから45億年後くらいには無くなる。その後は、ヘリウムを燃やすのだそうだ。太陽は軽いから「超新星爆発」はせぬが、無くなる頃には大きく膨張すると言われる。太陽の仲でのこんな現象をとらえたのもカミオカンデだ。太陽の中で作りだされるニュートリノをとらえることに成功したのだ。
以上いろいろ書いてあることを自分なりに解釈し並べたけれども、実のところ理解しているわけではない。宇宙の初めが一点で、それが膨張し続けてきた、残りには何もなかった、という考えが分からぬ。そんなに超高密な物質など想像できぬ。暗黒物質、暗黒エネルギーというのもよくわからぬ。しかも小柴氏同様ノーベル賞を受賞した小林、益川、南部氏などはニュートリノのそのもののさらなる研究しているとか。詳しく知りたい人は本物を読んでください。
しかしその間にも、金星が太陽と地球の間を通過し、金星日食が見られた。ニュートリノが光より速く動くかもしれない、という測定結果は間違いと確認された、との報道もあった。しかし、やたらに人間臭さばかりが目立つ現在、こういう問題に夢をはせてみるのも良いかもしれぬ。
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