1097「中国語で固有名詞をどう読むか」(830()晴れ)

 

久しぶりに中国語のレッスン。久しぶりにというわけは、もともとが2週間に1回であるし、教室はお盆は休み、そんなことで前回の授業から1か月以上。いくらなんでもこれでは身につかぬことは分かっているが・・・・・。

お久しぶり、というのは好久不見・・・ハオチュープーチエンというのだそうだ。英語でいうlong time no see!ということなのだろう。

1時間半というレッスンである。先生もシナリオを考える。最初に「最近何をやったか。」というようなことを聞く。

私はいつもそれなりの準備をしてゆく。

「週末に静岡県の下賀茂温泉に行きました。山と川に囲まれた田舎の静かな温泉です。30年くらい前私はこの温泉近くに弟と別荘地を買いました。それで何度もこの温泉の近くを車で通りました。それでよく知っていたのです。

帰りに下田の開国博物館に行きました。江戸時代日本は鎖国をしていました。しかし1854年アメリカのペリーがやってきました。4艘の蒸気船とともに・・・・・・。黒かったので黒船と呼ばれました。

吉田松陰はこの船に乗ろうとし、失敗、捉えられて殺されました。彼等は日本に開国を要求しました。交渉の結果幕府は下田等を開港しました。2年後にロシアからプチャーチンが来て開国を要求しました。

この時に大地震が起こり、ロシア人が乗ってきた船は壊れてしまいました。そこで彼らは日本人とともに帰りの船を作りました。日本にロシアの造船技術が伝えられました。それにまつわる展示がありました。・・・・・」

前回の通信で書いた下田に下賀茂温泉に入った話だが、こういう時に出す話はだいぶ変わってくる。ここでいう地震とは最近話題になっている安政東海地震である。

できるだけ訳しやすいように簡単に書いたつもりだが、中国語になおすとなるとこれでも苦労する。特に困るのは固有名詞である。賀茂など中国語では「ヘーマオ」になってしまうらしい。漢字を見ると実に優雅な名前に感じるが、こう読まれてしまうと味もそっけもない。

静岡県は「チンカンシエン」という。私の発音は新幹線「シンカンシエン」と聞こえたらしく、通じなかった。県の名前と言えば別の男が三重県の実家に帰った、と言っていた。三重県は「サンチョンシエン」・・・かなわん。なぜ中国人は日本の地名故日本人の読むように合わせないのだろう。三重県を、ミエケンと読めるように中国語で書けばたとえば眯耶?とでも読むべきだ・・・でも中国人はとんでもない感覚を持つかもしれぬ。そこが漢字の面白いところ?いつか日本中の県の名前を中国語で読めるようにしたい、辞書を引いておこうと思うのだが、県の名前になっている漢字には中国の漢字にないものもあるから大変。確か埼玉県の埼がそうであったと記憶している。

プチャーチンもわからない。ペリーはともかくプチャーチンのようなマイナーな名をどうするのか?

別の女性は「友達と御岳山に登った。蓮華しょうまの浅紫色の花が大変綺麗であった。」というような内容。大体こんな花は先生も知らぬし、中国にはあるんだろうか。サンシャインの水族館に行ったという者もいた。サンシャインはやっぱり中国人にもてにおえぬのか、サンシャインだそうである。

固有名詞で最後に出た話。スカイツリーというのは日本は最初「天空樹」と呼ぼうと考えていた。発音は「テイエンコンシュ」でだいぶ違うが、これなら意味が通じそうだ。ところが中国ではいち早くこの名前が他に使われていたらしい。そこで晴空塔「チンコンター」と呼ぶことにしたのだそうだ。中国で目ざとい者が進出しようとする企業の商標などを登録して儲けようとする話をよく聞くがそれもこの伝か。

中国語を始めてみて、その難しさみたいなものに悩まされている。日本人には一番難しい語学であると感じる。

理由は発音である。欧米の語学は少々読み方、言い方を間違えても初歩の会話くらいは通じる。ところが中国の場合はそうはゆかぬ。いつか中国人の若いガイドと話した時、さすがにニーハオは通じたが、ツアオシャンハオ「おはよう」になるともう怪しいのである。「日本人か中国人か判定するのにイーアールサンスーと1から10まで言わせてみればすぐにわかる。」と言われている。麻雀で数える流儀では通じぬらしい。母音と四声であろうか。この静岡県・新幹線論議のように中国人にとっては全然違う発音であっても日本人に同じになってしまったりする。

我我が語学をやる目的は何か。ここのところは実は一番考えなければいけないところ。私の場合は旅行に行き少しは向こうの人間とおしゃべりでもできたらと願う程度である。地名は中国読みが分からなければ、日本読みで押し通し、向こうが怪訝な顔をしたら紙に書いてやろう、くらいに考えたい。苦労した下賀茂温泉(シャーヘイマオウエンチュアン)は先生には通じなかった。大体先生は下賀茂温泉なんて知らなかった。先生も近いうちに土肥(ツーフェイ?)温泉に行くという。彼女はそれをわれわれにわからせようと、結局は黒板に漢字を書いて見せた。

最後に一言。最近、大連と厦門に旅行してきた。この次行ってみたいところ、私の場合、実は西安である。兵馬俑の名を思い浮かべる人もいようが、とにかくあそこはむかしの長安、唐の都であったところ。ロマンを掻き立てる。

しかし最近尖閣列島などをめぐって日中関係は怪しげ、なんとなく行く意欲もしぼみがち、秋田県の竿灯踊りを中国東北部に行って見せる予定であったが、先方から安全が確保できぬと言われ、やめになった、などというニュースが飛び込んできた。仲良くやってもらいたいものである。

 

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