「カスバの女」はいい歌だが、日本人がアルジェリアに行くことなく想像だけ膨らませて作った歌とか。「ここは地の果て」とはひどいことを言う。
アルジェリアの天然ガス開発基地がアルカイダに襲われ、人質として取られた日本人多数を含む外国人が殺された事件・・・・痛ましい限りだ。しかし一方で今回の事件は、長い間平和が続き、少しぼけてしまった日本人に世界の現実を思い起こさせたような気もする。まだまだ世界には戦争や紛争が絶えず、それから身を守るには武力に頼らざるを得ない・・・。
この事件を理解するために「ウイキペデイア」を参照し、私の知識補充も、を兼ねてエッセイを書いてみた。
アルジェリアは、北アフリカのマグリブに位置する共和制国家。面積2381万平方キロ、世界10位の広さである。人口約3500万人。公用語はアラビア語で回教徒が多いらしい。
チュニジア、リビア、マリ、モーリタニア、ニジェール、モロッコ、サハラ・アラブ民主共和国に接する。地中海を隔てて北に旧宗主国のフランス。1962年にフランスから独立したが、その時の話を話し出せばきりがないが、フランスとの関係は深い。
この国はアフリカ世界、アラブ世界、地中海世界の三つに属している。アフリカ連合とアラブ連盟と地中海連合とアラブ・マグレブ連合に属している。アフリカ的であり、ヨーロッパ的であり、アラブ的・・・・・。首都はアルジェ。冒頭にひどいことを書いたが北アフリカのパリと呼ばれ、ノートルダム大聖堂があり、フランス風の建物が並ぶとか。しかしアトラス山脈をはさみ国土の大半を占める南部はわずかなステップ地帯とサハラ砂漠である。今回事件が起きたイナメナスはアルジェの南東1300キロ、砂漠の中リビアとの国境近くの天然ガス関連基地。付近は石油、天然ガスなど地下資源が豊富なのだろう。
中世オスマントルコが支配していたが、1830年にフランスが進出し、フランス領となった。第二次世界大戦が終結するころこら、民族独立運動が激化し始めた。1954年には現地人と入植者が争い100万人以上の死傷者を出した。アルジェリア戦争中にフランスはサハラ砂漠で核実験を行った。1962年に独立。混乱ののち軍事政権ができたが、民主化に伴い、1991年の選挙でイスラム原理主義者のイスラム救国戦線が圧勝した。しかし軍部と対立。軍部はクーデターを起こして政権を掌握。其の後混乱が続いたが、1999年にブーフデリカ大統領が選出され現在に至っている。テロは減少したものの、2011-12年にはチュニジアのジャスミン革命の影響を受けて、強権的な現体制に対する反政府デモも行われた。
天然ガス埋蔵量では世界5位、石油も世界第14位の地下資源国である。地下資源、特に化石燃料の採掘は重要な産業で国家予算の52%、GDPの25%、貿易収益の95%をしめている。輸出先はヨーロッパ。ヨーロッパはそのエネルギー源をロシア、北海など、それにアフリカから得ており、今回の事件はヨーロッパのエネルギー事情の不安定さを暴露した、との見方もある。
一方、襲った武装集団の拠点があるという隣国マリは、面積124万平方キロ、人口1310万人、アルジェリアの半分くらい、砂漠の多い内陸国である。1960年にやはりフランスから独立した。1991年にようやく軍事政権時代が終わりをつげ、民主主義政権が誕生したが、北部ではトウアレグ人が過激な分離独立運動を起こしている。2012年に入り、北部三州を制圧する一方、イスラム原理主義者、分離独立主義者、アルカイダ等が支配権をめぐって争っている。この1月にフランスがマリ政府の要請で軍事介入、これらに攻勢をかけている。武装集団は、マリから来たイスラム過激武装勢力とのことで、報道によればアルジェリア人のほか、マリやエジプト、ニジェール、モーリタニア、チュニジア、カナダの出身者がいたそうだ。また武器はあのリビアカダフィ政権崩壊に伴って流出したものが多く使われているとか。
今回の事件で人命重視ではなく早期の軍事力による解決に疑問を呈する声もある。安倍首相は「キャメロン英首相とも人命第一で取り組んでもらおうということで一致し、セラル首相を説得しようとしたが、同首相は「(犯行グループは)重武装していてそういう状況ではない」とのことだった。結果として7人(のちに10人)の尊い命が奪われたのは誠に残念だ」と暗に批判した。
しかしこのような厳しい状況の中では「これが一番な解決策」というブーフデリカ大統領の言は正しいのかもしれない。アルジェリアとしては強硬なやりかたでようやく最近は安定した政権運営を行っている、とも聞く。このことは日本人にも多くを考えさせる。相手は死を覚悟し、人を殺すことなど何とも思っていない連中である。交渉の余地などない。甘く出ればつけ上がり、相手の思うつぼで勢力を増すばかりである。
フランスはアルジェリアサイドで、ファビウス外相は20日のラジオで、アルジェリア南東部での人質事件に関し「テロリストに免責はない。事件はテロに対し容赦なく立ち向かう必要があることを示した」と述べ、軍の突入を強行したアルジェリア当局の判断を支持した。
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