1139「「アメリカは日本経済の復活を知っている」を読む」(24日(月)曇り)

 

先ほどトヨタ単体で5年ぶりに、数百億円の利益が出る、との報道。(従来は200億円赤字の予想)日本の輸出産業を苦しめたのは過度の円高である、との思いを強くする。

昨年の国会解散、自民党の大勝、安倍政権の発足以来、マーケットは様変わりしてしまった。著者は積極財政を推進する安倍政権のブレーンといわれる。

今年喜寿を迎える著者の教え子に日銀の白川総裁がいる。ところが彼はコテンコテンに総裁を非難している。

「友人は「ノーベル経済学賞候補」の一人と持ち上げるが、私にはとてもそんな資格がないように思える。なぜか?友人が言うように教え子である日本銀行総裁白川方明氏を正しく導くことができなかったからである。結論から言おう。二十年もの間デフレに苦しむ日本の不況は、ほぼすべて日銀の金融政策に由来するものである。・・・・・世界孤高の「日銀流理論を振りかざし、円高を招き、マネーの動きを阻害し、株安を作り、失業や倒産を生み出している。・・・・・」

以下、本文を引用しながら自分なりにまとめてみる。

「「金融政策だけではデフレも円高も阻めない。」これが経済学二百年の歴史に背を向けた「日銀流理論」だ。・・・・」

「今までの日銀の政策はデフレ政策の維持。昨年2月のインフ目途を1パーセントにしてとどめたのは努力しているというのは、ジェスチャーに過ぎない。・・・」

「日銀が適切な金融政策を行っていれば、おそらく2パーセント程度のインフレになっていたろう。そうしてデフレを脱却していれば、実質成長率も上乗せされていた。そのことによる税収増はなんと31兆円。・・・・・」

「リーマン危機以来、アメリカは通貨供給量を3倍に増やすなど米、英、中、韓其の他主要国の中央銀行は猛然と紙幣を刷り、景気を刺激した。日銀は微増させただけで静観を決め込んでいる。この3年間で・・・・円が3割から4割も安くなったのはこのせいだ。」

「円高政策は空洞化政策であると同時に、地方切り捨ての政策でもある。」

「「金利が下がると日本銀行が不利になる」あるいは「税金が下がると」財務省の権限が少なくなる」など不純な思惑のもと・・・・経済政策の理論がゆがめられている。」

「変動相場制のもと各国の平価切下げ競争が世界全体の破綻を招くというのは誤解である。・・・・・変動制の下では景気安定のために望ましい為替政策や金融政策を取ることは、自国のために必要であるだけでなく、実は世界経済の安定のためにも有益である。」

「日の丸半導体の没落」として記憶に新しいのはエルピーダメモリの破綻だ。・・・基本的には円高につきる」

「異常なのは日本経済の体質であり、自分たちに責任はない、との理論はなりたたない。」

「ハイパーインフレは起こらない。これが起きる条件は「敗戦」と「革命」だ。・・・インフレが始まり、物価が上がると金利があがり始める傾向がある。日銀がそれを不安視しているのはよくわかる。・・・・しかし金利は予想インフレ率ほど上がらず、実質金利が下がって経済にプラスの効果がある。」

「日本がギリシャのような経済危機を迎えることはない。・・・・日本が破産しそうと思うなら誰も円や円建て資産を持つわけがないのだ。政府にはGDP2倍余りの債務がある。債務を支払うためには将来の税収をあてにしなければならない。ただし日本の国債はその金利が低水準、国債の保有者が日本の将来に不安を感じていないことを意味する。」

「通貨価値は国民全体の資産で決まる。」

「どうしても消費税を上げると言うなら、円相場を下落させ、デフレを治めてからである。」

「法の論理は訴訟に勝つために一定の結論を前提として正当化することだ。・・・・・たとえば日銀が「貨幣供給量を増やしても物価水準は変化しない。」との前提をもうけて理論構築するようなものだ。・・・・経済で重要なのは、物事が実際にどう機能するか、ということである。どれだけうまい理屈がついても「本当にそうなりますか。」と問うのが経済の論理・・・・。」

26日)白川総裁が任期満了前の辞任を発表した。当然のことと思う。円安がさらに加速している。

安倍首相がデフレ脱却政策は今のところうまくいっているように見える。物価目標も輸入品の書かう上昇で達成できるかもしれぬ。しかし本当にうまくゆき続けるか、国民は不安と期待の入り混じった様子で眺めている。

 

 

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