1154「あれから46年」(3月29日(金)曇り)
ぼくたちは昭和42年、1967年に某ガス会社に入社した。
まだ学歴差別のはっきりしていたころで、大卒グループは41人いた。
誰かが1967と41人を組み合わせて「人生むなしい。我我の会を「6741会(むなしい)会」と命名しようではないか。」と提案、受け入れられた。
其の後定年まで35年、亡くなった者1名、都合で退社したもの3人、残りはすべて勤めあげた。考えてみればそれだけ居心地の良い幸せな会社であった、と言えよう。
会社の同期というのは切ない関係である。
あるときには仲間として生きる一方、出世競争のライバルでもある。社長になったものもいたし、最初から最後までヒラでいた者もいる。出世の具合は、人間関係に微妙な影響を与える。勝った方は得意になることはなくても、それなりの勝者の目でライバルを見る。負けたものは「同じ友達ではないか。」と思いながら、悔しく面白くない。
ある男は、別に出世に遅れたわけではなかったが「今後このような会には呼ばないでほしい」と通知してきてもう何年にもなる。一生独身を通した男で、お母さん子であったらしい。いつもきちんとネクタイをし、女性にも優しい男であったが・・・・。最後のころは、すねて会社にも来なくなったとか。退職金を仕方なく届けたが、お母さんが、出てきて受け取ったそうだ。「彼はひどく繊細で傷つきやすいのだよ。」と誰かが言っていた。「誰かとの関係で、もう会社は嫌だ、と思ったのかもしれないが、我我とは関係のないこと、出てくればいいのに。」と別のものが言っていたが、そう割り切れぬ何かがあるのだろう。
他にも、もう一人連絡しないでほしい、という者がいた。彼の場合はどう間違ったか、認められず最後までヒラであった。逆に入社してすぐやめた男が、今日は来ていた。「家業を継ぐ必要があり、会社をやめた。今は水戸で砂糖のおろしをやっている。」等と言っていた。彼の場合は、昔わずかの期間でも一緒であった仲間が懐かしいのであろうか。
A君も来られなかった。優秀な男である上、合唱部に属し、なかなかの美声。ゴルフが得意、健康そのもので、私は彼と一度町の温泉に行ったが、その肉体の見事さに圧倒された。ところが突然脳こうそくで倒れたという事で、仲間の集まりに来なくなった。今回ある者が彼の見舞いに行ったところ、かなり経過はよいが、半身不随、そして回らぬ口で「なんで俺がこんな目に合わねばならぬ。」と嘆いていたそうだ。考えてみれば定年してしばらくが、人生の一番幸せな時期なのかもしれぬ。解放されて、これからは好きなことがやれる、その矢先・・・・・。
別の者は食道がんで胃まで切った。げっそり痩せ今は自宅療養中、たくさん食えぬ、面白くないと書いてきている。幹事の一人もようやく退院したが、肺炎とやらで、だいぶ入院したらしい。出席者は20人余り、こうしてみると、強いDNAを持ち生き残った者だけが来ているようにも見える。そこに来られる我が身の幸せを喜びたい。
「娘が二人売れずに困っていたが、突然二人とも結婚、相手は共に外国人、すぐに出産、米国やらフランスやらてんてこ舞いだ。」
「植木屋の親方にようやくなれそうである。人間、手に職を持つということがいかに重要で良いことであることが分かった。」
「調停員をやっている。」「某ゴルフ場の審判役で忙しい。」
調停員の男の「男は、離婚はよほど考えないといけない。女はずるいから亭主の預金をすべて自分の口座に移したうえで協議に応じるなどする。」との発言。印象的だった。
皆色々な人生を歩んでいる。しかし全体的にゴルフに夢中になっているものが多かった。私は、一日取られてしまうし、車を自分で運転してゆかねばならぬ、などから敬遠気味。
同期の中で出生頭、B君は社長になったが2年くらい前に引退、今はガス協会のトップを務めているという。「それも6月でおしまい」だが、有能な人はいろいろ忙しいようだ。
私自身は「医者ら「死ぬよ」と言われている。」と皆を驚かせ「後、10000日くらいしかないそうだ。」と笑わせることにしている。その10000日に何が起こるか読めぬこの頃。「我我の人生はついていた。」というのが皆の感想であったが、続けてもらいたい。
8時過ぎにお開きになった。帰りにC君がいたから「お茶でも飲んでゆこうか。」という事になった。彼は、会社を定年間際にやめ、某女子大の教授になった。最近は「腰痛に悩んでいる。」とか。「Facebookをやると言い。」という。「あれは訳の分からない人間からむやみにメールが入るのだろう。」というと「そうでもない。オレの場合は趣味のアルゼンチンタンゴ関係、学校の卒業生、ガス会社の思わぬ者からメールがくる。」と言っていた。
註 ご意見をお待ちしています。
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