1162「それなりに忙しい一日」(4月23日(火)晴れ)
リタイアしてしまい、70才も超えてくると一日一つの予定で十分と感じる。それ以上入っていると、しんどいと感じ、一つ一つをなんとなく流している感じになる。
今日は三本立て。11時に友人と食事をする。1時から詩吟の御稽古、4時から弟と一緒に御徒町の税理士事務所に行く。
最初の二つの話は省略。税理士との打ち合わせはアパートの決算資料の提出。こちらがすべて資料を整えたうえで、税理士事務所の税理士の卵みたいな男が計算、書類を作成、それをこちらの承認を得たうえで提出するという算段である。今日は決算資料の準備で出かけるまでだって忙しかった。領収書、現金出納帳、アパートの客の状況、今後の見通し等々。
今回から変わった卵は明治大学を出たという。打ち合わせは5分も立たずに終わった。「後わからなかったら、お電話しますから・・・・。」
ここの所長A先生は84才とか。会社創立以来だから、もう20年以上お世話になっている。前は大学でも教えていたらしいが今はこれ一本、しかし仕事は息子に任せている様子で、こちらが行くとよい話し相手が来たとばかり。
「やっぱり年とっても仕事を持っているのがいい。」という。今でも千葉の方らしい自宅から往復3時間くらいかけて毎日通ってくるという。「満員電車ですよ。席?譲ってくれるものなんかいませんよ。若いのは皆狸寝入り。珍しく譲ってくれると思ったら60代は越えている年配・・・・。」そんな様子は私自身も感じている。
A先生の娘さんらしい人がお茶を持ってはいってきた。この人は少し変わっている。蝶に大変興味を持っているらしい。弟も蝶のスぺシアリスト。卵をとってきて自宅で飼っている。さなぎになり、きれいな蝶にさせる。そこで弟は「一番美しい一瞬を迎えたところで、その姿を残すために標本にしてあげる。」のである。しかしそんなことで、二人はなかなか話が合うらしい。
「今日はお土産を持ってきました。」と弟。シジミチョウの一種の幼虫をどこかで捕まえてきて、それに合った植物の葉と共に、持参したのである。娘さんは大喜びで「私にとっては宝石よりいい。」という。わからぬ私が「くちなしの花につく青い芋虫を見つけて、地面に放り出して踏んづける。」と言えば「かわいそう、青いきれいな蛾になるのに・・・・。」という調子である。彼等は彼等で話し、私と先生は別の話を進める結果となった。
先生の家の大きな錦鯉が死んだ。塩を時々大量に入れるなど随分気を使っていた。16年も生きたもので70センチ以上10キロもあった。「面白くないから、県にどうして死んだのか問い合わせてみたのですよ。すると寿命という事の様でした。」先生の趣味は鯉と植物あたりらしい。虫よりはまだいい?
先生の実家は、新潟の方であったらしい。何代も続いた地主らしい。「友人が山を売りたがっている。100万円でひと山・・・・どうかな。冬は3m以上の雪にうずもれてしまうけれどとても見晴らしのいいところだよ。そういうところに小屋を建てて蝶々の放し飼いをすればいい・・・・。」先生、弟に売り込もうと、妙に熱心になってきた。「維持管理が大変だあ・・・。」若いころ、不動産ブーム。あのころはどこかに土地を持っていればそのうち値上がりでいいことがあるくらいに考えていた。この年になると身の丈に合ったものを持っていればいいくらいになっている。
ようやく終わって辞去。軽く一杯やろうという事になったが、弟が言うことに「武蔵はつぶれてしまった。」・・・・御徒町にある鰻屋である。経費を抑えるためか、従業員は婆さんばっかりという店だったが、鰻はそれなりの味で愛用していた。「さっき行ったらファーストフード店になっていた。向かいのしゃぶしゃぶ専門店は残っていたけれど・・・・。」しかしそう聞くと妙に鰻が食いたくなった。逃げた魚のように見えた。
ところが代わりの鰻屋がないのである。弟が知っていると言うので、神田に行ってみたが、駅前の登亭は英国風スナックに替わっていた。そのほかあてにしていた別の一軒も、電話で弟が知人に問い合せたが「廃業した。」という事であった。「売り上げが上がらないから商売が成り立たなくなってきているのだな。」「考えてみれば魚は切って出せばいい、肉は焼くか煮るか、すればいい。馬鹿でもできる。そこに行くと鰻は手間がかかる上、原価もシラスが不足とかどんどん上がっている。高くなりすぎて客が来ないのではないか。」と勝手な判断。
どうにも見つからなくて、新宿で適当なところで食って帰ろうと、小田急百貨店まで出かけた。13階にニュートーキョウ系の相模、その上になだ万がある、と考えた。しかしものはためしと12階で降りてみると「双葉」という鰻専門店があるではないか。ようやく鰻にありつく。値段の割に少々小ぶりだが味はなかなかよろしかった。ようやく満足しふらふらになって帰還。
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