1171「A君倒れる」(5月8日(水)晴れ)
高校同期で親しいA君が倒れた。脳梗塞という事だ。朝、A君に久しぶりに飯でも食おうかと電話したところ、A君の彼女が出てきて分かった。練馬の順天堂病院に入院しているが、誰にも来てほしくない、という事でまだいっていない。ただ重くはないというから、いづれ退院してくるのであろう。後遺症が残らないことを祈る。
彼とはなんとなく気が合う。彼には彼女に加え、病気のおふくろがいる。こちらも結構埋まっているから、最近は火曜日と金曜日の昼に、お互い時間が空いていれば会うことにしている。荻窪周辺のレストランで食事を詩、お茶を飲んでしばし歓談、それだけである。
昔話であったり、景気や株の話であったり、しかし基本的には大して話すこともない。
それでいてお互いの無聊が慰められる。
しかしこういう状態になってはそれがかなわぬ。なんとなくさびしく感じる。
A君は言っていた。「1日4人以上の若い女性と話さなければならぬ。」
極端であるが、人は毎日他人と会話をせねばならぬ。年取ってくると相手がいなくなる、するとたまに話しかけると、機関銃みたいに、あることないこと話し出すものがいる。会話は空気みたいなもの。私の場合は最近は1日の会話のベースはガールフレンドのBさんと彼であった。
彼はなかなか健康に関して頑固であった。「医者が病気を作る。」として、健康診断を受けぬし、少し悪くなっても「自然に治すのがいい。」と容易なこと医者に行かぬ。運動は「無駄なエネルギーを使わぬ。」としてしない。不健康に見えるわけではないが随分太っている。ビヤ樽みたいだ。今になって彼女が言う。「1週間くらい前に同じ現象が起こったが、其の時は1時間くらいぼんやりしていたら治った。あの時病院に行けばよかったのだ。」
親しいものが倒れる・・・・・もうこの年になってくると結構出てくる。
一昨年であったかは会社同期のC君が倒れた。会社同期のしかも荻窪周辺の仲間という事でしばしばあった。能力の高い男であった。合唱部に入る腕前でこのブログでも音楽についていろいろ教えてもらった。一緒に高井戸のスパに行ったが彼の裸に圧倒された。筋肉隆々、しまっている。ゴルフが趣味だという。秘書部にいたから今でも昔の当社のお偉いさんなどとゴルフに行くという。そんな男が突然倒れ、一時は意識が亡くなったとか・・・・。
その替わった姿を見せたくないのか、以後誰も来てくれるな、と言っているそうだ。リハビリに励んでいると言うが必ずしも経過が順調というわけではないようだ。
人はわからぬ・・・・・そんな思いを新たにする。西友の出口で詩吟の仲間のD氏が下を向いてとぼとぼ歩いている様子を見かけた。しかしA君の話があるのに声をかける気にならなかった。彼は、かってK大学の柔道部の選手で、後にC製薬に勤め重役になった。しかし柔道の影響か、脊椎菅狭窄症や脳梗塞を起こし、随分元気が亡くなった。対照的に奥さんが元気。最近奥さんの主導で自宅を建て替え、長男さん一家と住むことになった。もう自宅は更地になり、御夫婦は近くのマンションに住まわれている。なんとなく、もうやるべきことを終えたという風情で、元気が無く見えるのだ。この前も詩吟の帰りにお茶を飲み、政治談議にふけったが、関心がなく眠い様子であった。
人は変わるものと感じる。結局私は一人で、飯を食い、お茶を飲み、一人カラオケに行ってきた。一人カラオケ・・・・つまり聞くものの自分しかいないカラオケ、カラオケ道を研究するにはよろしいが、一面ではつまらぬ。
追記 (6月8日)A君の脳梗塞は、幸いに比較的軽かったようだ。その後順天堂病院から西荻窪に或るリハビリ専門の病院に移った。リハビリの方は順調のようだ。右が麻痺し、箸がうまく握れぬが、会話、歩行などその他は問題ないという。しかし少々むくみ、麻痺のせいか表情がだいぶしまりがなくなった。「結局切れた神経を迂回して周りの筋肉の力を借りてそれらしい運動をさせる。そのため力はもとの半分にもならぬ。張子の虎だよ。人ごみを歩いていると、何かの拍子に躓いたり倒れたりしそうだ。」と言う。
自分自身のことを考える。倒れたら、ガールフレンドのBさんは一緒に住んでいるわけではないから、誰が病院に連絡を取ってくれるだろう。病院で治療を受けるには金がかかるであろう。誰が私の預金などを操作して金を用意してくれるだろう・・・・。
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