1193「民主主義とシリア問題」(8月21日(水)晴)
(TBSニュース)
中国共産党機関紙の「人民日報」は20日、民主化後、混迷を深めるエジプト情勢について評論を掲載し、「民主主義という落とし穴に用心すべき」と訴えました。
この評論は20日付の「人民日報」に掲載されたもので、多数の死傷者が出ているエジプト情勢について、「民主化には準備期間が必要で、社会状況を顧みず西側諸国を真似しても、むしろ逆の方向に向かう」「早産の民主主義は、権力統治によって隠されていた民族や宗教の対立を爆発させてしまう」と分析しています。
そのうえで、「エジプト政治の激変の根本的な原因は経済問題にある」として、「発展途上国は民主主義という落とし穴に用心すべきだ」と強調しました。
民主化後、不安定な情勢が続くエジプトを引き合いに出すことで、中国国内での民主化の動きをけん制し、急速な経済発展を成功させた共産党による事実上の一党支配の正当性を強調する狙いがあるとみられます。
・・・・・この記事の言うことに反対するつもりはない。しかし「人民日報」のこの考え方は考えさせるところがある。民主化をめざし、西欧諸国が後押ししたアラブの春はなんであったか。1114で紹介した重信メイのいうとおり、うまくいっていないように見える。
そもそも民主主義は西欧が唱えながら西欧はそれを守っていない。民主主義の基本は個人の平等の権利だ。ところが国際連合は国家の平等に入れ替わり、しかも未だに先の大戦の残滓に従い、安保理で戦勝国が幅を利かせている。
国家という単位の中のみで個人の平等を要求する。しかしなぜ平等に取り扱われなければならないのか。金の問題を取り上げてみよう。ここに100人しかいない国家があったとする。ところがこのうちの一人が多額の金を稼いでいたとする。ほかの物は稼いでいない。すると選挙をやって議会ができたとして、彼等がやることは一人の人間が稼いだ金を残りの99人にばらまくだけではないか。
金を出す人間の人権も人格も全く無視されてしまう。
政治のかじ取りも同じだ。今は内政、外政、政治はいろいろな問題に対処せねばならぬ。そのすべてに一致する人間など二人としていない。それ故民主主義と言っても結局は誰かの意見、時には利益を他人におしつけ、強要することになる。
「皆が平等」など考えたこともないアラブ社会。そんなところに西欧が頭で考えたようなものを持ち込もうとしていること自体無理があるように見える。
エジプトはムバラク政権が追われて「ムスリム同胞団」を中心とするモルシ政権ができた。ところが経済面などでうまくゆかず軍が革命を起こしている。西欧の考える民主主義とはおよそ遠い位置にある両政権が皮肉なことに「国民が支持しているのは我我」と主張しているのだから驚く。
まだまだ混迷が続き、この先どうなるかわからぬ。
そして今またシリア問題。 シリア:日本の半分ほどの大きさの国、人口は2000万人強。宗教はイスラム教スンニ派が主体でイスラム教が90%、一部がキリスト教徒。アラビア語が話されるアラブ人の国。私にはその程度しかわからぬ。
アメリカが参戦するという理由がよくわからない。アサド政権側が化学兵器を使用したからだ、という。この証拠も挙がっていると力んで見せる。ここで使わなければ世界秩序が保たれぬ、アメリカの世界の警察としての機能が発揮できぬ、と考えているのかもしれない。しかしあのイラク戦争の時に誤った情報に左右されてしまったことは忘れたのか。その事の真実追及もされていないようだし、ましてや権力を奪われた者の命も復権もなされない。
今回オバマ大統領は@化学兵器を使ったことは明瞭に国連憲章に違反している。A周辺国の安全を脅かし、中東の危険をあおる。Bそれがひいてはアメリカの平和を脅かす。と言うのだが、いかにもパンチが弱い。世論はアメリカも、これと同一歩調を模索するフランスもイギリスも反対、後者はとうとう参戦しないことに成ってしまった。こういう国の国民にとって、自分たちが平和であればいいのであって、遠いアラブの国のことなど知らん、と言いたいのであろう。
日本はアメリカの攻撃の支持すら表明していない。西欧に比べさらに遠い位置にある日本にとって石油資源の確保をのぞけば関係のないこと。しかもアサド政権が倒れたとしてシリアがどのような国になるのか、全く予測がつかぬ。
アメリカはこの地域に穏健な回教の政権の出現を望んでいるらしい。それが中東の安定に寄与し、ひいては自分たちの利益につながると考えているのであろう。アメリカは軍事産業が強い。作った武器をどこかで使わなければ在庫の山になってしまう。それ故定期的に使うよう時の政権に圧力をかけているのだ、いううがった見方をする者もいる。実際はどうなることか・・・・。
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