1194「婚外子差別違憲判決に思う」(9月4日(水)曇り)
最近の出会い系サイトと言うのはものすごいらしい。GPS機能までつけてどこで出会いを待つ人間がいるか瞬時に表示してくれる。そして見知らぬ者同士が知り合い、女性の多くはすぐにホテルに行くことも辞さない、と言う。もちろんそれを利用した犯罪も起こる。援助交際希望とかけばスクリーニングに引っかかるから○希望、円しない?などの隠語でやり取りする。すると女性の方も「楽にお金が稼げるからいいではないか。」と簡単に応じる。こういう男女が好き勝手に子を作り、「出来た子の権利は同じであるべきだ。」など言うのか。私たちには想像のできない世界だ。家のことはおろか、親たち、自分たちの将来まで無視した「今が良ければそれでいい。」という刹那的な考えが支配しているのではないか。
(時事ドットコムより)結婚していない男女の間に生まれた子(婚外子)の遺産相続分を結婚している夫婦の子(嫡出子)の半分とした民法の規定が、法の下の平等を定めた憲法に違反するかが争われた2件の家事審判の特別抗告審の決定で、最高裁大法廷(裁判長・竹崎博允長官)は4日、「家族形態の多様化や国民意識の変化などを考慮すると、親が結婚していないという選択の余地がない理由で子に不利益を及ぼすことは許されない」として、規定を違憲とする初判断を示した。
・・・・・つまり今まで婚外子は婚外子として届け出て、相続に際しては非嫡出子として相続に際し嫡出子の半分の権利しか認められなかった、それが憲法違反だ、と言うのである。
この記事のように生まれた子が差別されるべきでない、という理由は分かる、しかしこの先を見据えればたとえば相続時点で、婚姻していない女性も妻と同等の権利を求めるようなことに成りはしないか。まさに一夫一婦制の崩壊につながらないか、と言う疑念が伴う。
極端な言い方をすると、江戸時代まで、日本は家を中心に考え、親や子、或いは先祖を大事にすること、目上を大事にすることという儒教的な道徳観が支配していた。そこに明治になってキリスト教によってかなり厳格な一夫一婦制と言う考え方が導入された。日本の戦前までの道徳観はこれらの混合物が根本となっていたように思う。
何故一夫一婦制がいいのか。この問題にあるサイトでは「キリスト教系の西欧先進国は「民主主義」と「資本主義」をベースとしています。「民主主義」であるためには、「民衆」が平等的に安定していることが肝要です。ほぼ半々で生まれる男女に、安定した婚姻(家庭)を社会的に保障する制度としては「一夫一婦制」が最適です。」つまり人間の生活の知恵で、動物の社会では必ずしもこのようになっているわけではない。
ところが戦争が終わって、日本に本格的に西欧の民主主義が導入された。個人が平等で皆同じ権利、義務を有するという考えである。この考え方は言ってみれば中世の身分制社会に対する反発、或いは革命に根差している。二つの考え方の間に齟齬がある。そして時代が勧めに連れて、後者が前者を圧倒してきている。そして、それはともすれば極端になり、究極のところ自分さえよければ、と言う考えにつながってゆく。その流れを踏まえて、冒頭のような現象が起きていると解釈するべきか・・・・。
友人が相続のことで悩んでいる。土地や家をどのように処理したらいいのか。彼は旧家の出である。しかし昔のように調子に相続させるというわけにはいかぬ。そんなことをすればほかの兄弟姉妹が黙っていない。銀行と相談した。自分の立場を維持しながら、家を守ることはできないか。しかし彼は銀行に「いくら考えても子達は相続した家も土地も売り払って現金にしてしまうかもしれませんよ。」と言われて愕然としたそうだ。おなじようなケースは別にもある。
人は何のために働き、何のために蓄財をするのか。多くはこの世で夫婦中心の楽な生活をし、合わせて子達に財を残すためではないだろうか。しかしこんな風潮の世の中になり、人は歳とともに権利を奪われ、死とともにその存在すら忘れられてゆく。最近よく同じ年齢の者が言う。「元気なうちに、金と暇のある間に楽しまねば損だ。子達に頼れぬ。彼らの世代になれば彼らはまったく彼らの都合しか考えぬ。」裏を返せば、子達との縁が薄くなり、絶望した結果の行き着く先ではないのか。かくして日本人は預貯金に回す率をへらして使ってしまおうという気分になり、アベノミクスはそれをあおり、景気を良くしようとしている・・・・・・。
後記 この前のなんでも鑑定団。結婚した相手のお父さんから茶碗をもらった。そして「古唐津というもので家一軒建つくらいの価格だ。大事にしろ。」と言われた。若夫婦は信用できぬし、家のローン返済の金もほしい。「一度放したら戻らぬ。」と相手のお父さんは言う。そこでいくらか鑑定してもらおうと出してきた。相手のお父さんは「100万円以内なら勝手にしろ。それ以上なら保管しろ。」と言った。結果は1500万円であった。最初の取り決めでは売らぬ、と言うことに成るのだが、私はどうなるかわからぬ、と感じた。もう所有権は子達に移っているのである。
註 ご意見をお待ちしています。
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読者から次のようなメールをいただきました。
家庭裁判所のお手伝いを長くしてきたものとしては、今回の最高裁の決定には賛成です。
やはり、生まれてきた子供にはなにも責任はなく、すべては親の問題であり、世の中には、「夫婦」というのは戸籍上のことで、
現実には、故人は新たな女性と共に暮らし、そこでできた子供(すなわち非嫡出子)の方が近い関係だったという例が多いのです。
それなら、なぜ、きちんと離婚の手続きを踏まないのかと思うでしょ?
そこには、妻の「意地と打算」が強く働くのですネ。
そして、民法には明文化されていませんが、有責配偶者(すなわち、家庭を壊す原因を作った側)からの離婚申し立ては、
長い間、原則としては認められず、(最高裁判決で変わったのがなんと昭和も終わる頃!)
その後も、離婚裁判では、有責配偶者の申し立ての場合、「最低7年間の別居」というのが前例主義の暗黙知となっています。
(これも、今回の判決の影響で変わってくるでしょう)
貴君の言うような、いい加減な交際の結果できた子供は、ほとんどの場合「認知」されていないので、(これは、また別な大きな問題ですが
・・・)今回のような相続問題には上がってきません。