1211「○に近い△を生きる、動物と人間の世界認識」(10月27日(日)曇り)
今日の日記、変なタイトルだと思う。
2冊の本のタイトルを並べただけで、2冊の間には縁もゆかりもない。
○に近い△を生きる 鎌田實 ポプラ新書
動物と人間の世界認識 日高敏隆 ちくま学芸文庫
何故並べたか、と言えばどちらも読み終えたばかり、どちらも本の内容に全面的に教えられる、と言うものではないが、私のそうだ、と思うことが書かれていたからである。
一冊目:著者はTV等でも有名なお医者さん。鎌田先生のように苦労して医者になり、チェルノブイリに行き、長野では医療制度改革に取り組み大成功、などと言うことは凡人には到底真似できぬ。しかしタイトルに共感を覚える。世の中に「正解」なんてない。つまり○はないが、その○を目指して、△の評価であってもいいから、失敗を恐れずにやってみるという考え方に賛成する。またその△を見つけるために別解を探す、と言う考え方にも賛成する。ずっと昔「水平思考」と言う本がヒットした。一つの穴をいくら掘り進んでも成功するとは限らない。穴をいくつもほって見たらいいではないか。其のうちに正答にぶつかるというような内容であった。あれと同じである。
頚椎損傷で車いすの花嫁を迎えた夫婦の話。花婿はそんな花嫁を助けてきたという。そして花婿は「世話を焼く相手がいるという事はとても大事なことのように思えた。・・・・世話を焼く生きがいがあった。」などとしている。・・・そして先生は「癌があったらダメとか、生涯があったらもうだめとかそんなことはないのだ。・・・・△の生き方をすると人生が面白くなる。」などと書いている。私にはそんな経験もないし立派な人間でもないからそんなことは言えない。
しかし長野県の話などは参考になった。脳卒中等で死ぬ人の多い県で医療費がかさんで健康保険が赤字で仕方がない。この問題に先生は別解を考えた。医療費を増大することも大事だが、県民を健康で居続けさせる方がもっと大事と講演で呼びかけるなどした。具体的には@血圧安定のため塩分を減らす。A抗酸化力を増やすため野菜をたくさん食べるB繊維の多いキノコや海藻やコンニャクを食べ、発酵したものを食べ、腸を整え、免疫力を揚げるC魚、エゴマ、クルミ等「オメガ3系」と呼ばれる油を取るD運動をする。
またもっと大きな政治的な問題についても全体の中からたとえば原発反対、賛成、TPP反対、賛成といろいろ仕分けする声が強いけれど、其れでは二項対立として終わるだけであり、その中間に何かある、と考え、努力するべきだと言う考えには大賛成である。
2冊目:著者は先日紹介した「人間とはどういう動物か」を書いた人。学者。
我我は周囲を我我の目で見てそれが当たり前である、と思っている。しかし環境全てを本能によって即物的にとらえているわけではない。モンシロチョウは赤が見えない。その代わり紫外線が見える。モンシロチョウのオスはメスの羽が紫外線域のひかりを出しているのを見て追いかけるのである。彼の世界は黄色から紫外線まで、赤外線は存在せず黄外線が存在する。みな環境の中のいくつかの物を抽出し、それに意味を与えて自ら世界認識を持ち、その世界の中で生き、行動している。「その世界」を生物学的には環世界と呼んでいる。
ちいさな杭に結び付けられたひな。親鳥はその鳴き声を聞いて何とか助けようとする。しかし雛をガラスの蓋で覆ってしまうと音が外に漏れない。親鳥は雛の苦しむ様子が見えないのか、無関心なのである。これもまた鳥と人間の環世界の違いを示す話と言えようか。
環世界から感じるだけのものをイリュージョンと呼ぶが、人間の場合、他の動物とは違って時と共に、科学の進歩と共に変わってくる。電子も放射線もニュートリノも最初はイリュージョンと呼ぶべきものであったが、それがコンピューターや携帯電話の顔面に現れてくるともはや現実となってくる。
イリュージョンがどのようにしてできるのか、これは科学によっても裏付けられている。世界を認識しながら自分自身のイリュージョン、あるいは情報等により形成されたイリュージョンをもとに生きている。イリュージョンは時代と共に、言い方を変えれば世代と共に変わってゆく。そして人々はそのときそのときのイリュージョンに基づく世界を認め、それに対応して生きて行く
ここから先は私の感じ。多くの人が政治でも宗教でもそれぞれのイリュージョンでものを見、そして本音をオブラートしながら、自分の意見を金科玉条の如く唱え、こうあるべきだ、と主張する。
しかし見方は人によって違う。おおくは「群盲、象をなでる」で、全体も見えていないのではないか。案外答えは、正しいことと間違ったことの中間あたりにあり、それを見つけるためによってたかって鎌田先生のいうような別解を求める努力が、必要なのではあるまいか、などと考える。
註 ご意見をお待ちしています。
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