1220「静岡の幼馴染を訪問」(1114()晴れ)

 

ごく親しい友人と新幹線で静岡へ。ひかりを使えば1時間。費用も往復二人で2万円くらい。ずいぶん便利な世の中になったものである。11時過ぎに着く。二人の共通の幼馴染で眼科医のA子さんが待っていた。私が昭和16年、友人が20年、A子さんは21年。歳は争えぬが皆元気でなにより。

この訪問、別の親しい友人の死などで、老い先考え、少少弱気になっていた私が、呼びかけたもの。まずは由比に行き、サクラエビの天ぷらと共に昼食。玉鉾屋という評判の店。煎餅のようにカリリとうまく揚げている。A子さんがサクラエビを毎年送ってくれるので、かき揚げの作り方もずいぶん経験した。衣をまぶした海老を注ぎ足すように少しづつ入れることがコツのように思う。A子さんも「私もかき揚げは得意!」と言っていた。それでも遠くおよばぬ。

由比漁港は、昔は東海道の宿場のあったところで海を見、風光明媚と記憶しているが、今は東名高速と東海道本線に挟まれた場所に船溜まりをつくりひっそりとした小さな港。漁船がひしめいている。直売所や天ぷらを食わせるところまである。もっとも静岡は、豊かなせいか、商売人に競争意欲が乏しく、物価は東京に比べてさえ高いとか。

それから三保の松原に行った。記憶をたどればA子さんの所に6年前に車で来た。その時帰りにここによったがひっそりしていた。ただの松林、時折犬の散歩やジョギングする人を見かけた程度であった。それが今や世界遺産である。多くの人が押しかけ、駐車場や宿泊施設など急きょ増設中。「だからみな世界遺産と言うレッテルを欲しがる。」と感心。しかし名物羽衣の松はすっかり枯れ、新しいものが植えられていた。あいにく曇り空で富士が見えぬのが残念。続いて日本平。清水港が一望。帰りに日本平ホテルで喫茶。その清水港の風景を楽しみながら、子供の頃の話をした。

登呂遺跡を横目で見た後、芹沢美術館。芹沢鮭介、旅を愛した芸術家、型染めが素晴らしい。それから宵闇迫る中を駿府城公園。市民の素晴らしい公園であるが、ここに駿府城を復元できたらいい、そうしたら多くの人を呼べるであろう、とだれもが考える。しかし図面が残されていない、とのことであった。また自由に出入りできるから夜遅くなどちょっと怖い、ともA子さん。

出発間際にまた夕食をごちそうになった。鰻・・・・柔らかく中なかおいしい。

ここでは現在の生活、これからのこと等話した。彼女の病院は、今改装中とのこと。そのためホテル暮らし、炊事、洗濯に困っているとのこと。もっとも後1か月くらいの辛抱とか。眼医者さんをまだ続けるのか、と聞くと「静岡に来て20年あまり、病院一筋。しかし体力的に苦しくなり人を雇うようになった。引退したい、と言う気持ちはある。しかし私から医者の仕事をのぞいた時何が残るだろう、と考えると完全にやめられぬ。」

こういう風に考える人は多いようだ。私の女性の友人Bは原発反対など社会運動をしている。周囲はこの年になってなぜあんなことを、と考えるが別のサイドからは「彼女にはあの世界しか残っていない。」との見方も・・・・。キリスト教徒の別の友人はキリスト教に疑問を持ちながら、最近神学大学のキリスト教育の講義を受けている。能力のない私は、昔の友人など尋ねたりしてキョウヨウ、キョウイクが不足しないように努めている。

生きがいとはなかなかに難しい物であるが、贅沢を言ってはいけない。蝶々が生きがいになっている友人が、ラオスに行った時の写真を見せてくれた。社会主義体制の国、少数民族が特に苦しい生活を強いられているとか。路傍で売っているトカゲの写真。生の物がいいらしく、トカゲの後ろ脚を縛って動かないようにしている。蝙蝠も同様。コラーゲンが沢山あるとか。こちらは飛んで行かぬよう数羽一緒にくくってある。ほかにラオスではコオロギなんかも炒めて食うとか。そんな目に合わず、生きがいなど語る我我人間族は、なんと幸せ・・・・・。

これからの日本はどうなるのだろう。親や先祖のことなど考えぬ、つつしみなど自己発展の阻害と考える人たちばかりになった、と感じる。民主主義、個人の権利を唱える反対行為としての家族制度の崩壊、儒教思想の教育の排除の結果かもしれぬ。誰のことを言っているのであろうか、A子さんの発言。「まな板のない家、お茶がほしいと言うとペットボトルのお茶が出てくる・・・・信じられない」。もう若い世代が違う人種みたいに見える。

結局我々としては先のことなど考えず、残り少ない余生、やりたいことを元気なうちに思いきりやることだ、と言う結論。珍しくA子さんと私の考えが一致した。3人で来年もあいたいと言うとみな賛成した。今回は随分気を使ってくれたA子さんに感謝!

 

註 ご意見をお待ちしています。

e-mail address   agatha@ivory.plala.or.jp

ホームページ    http://www4.plala.or.jp/agatha/