1221「もう一度楓橋夜泊」(11月21日(木)晴れ)
中国語の授業があった。先生は毎回「今週何をやったか。」と言うようなことを聞いて、生徒に話させる。私はこの前の「吟剣詩舞のつどい」で「楓橋夜泊」を吟じたことを話した。詩吟と言うのは日本独特の文化で、あのように中国で詩を吟じることはないらしい。話が進んで吟じてみたところ、先生初めみな感心した顔をしていた。
今回はこれを日本語でやったが、来年新年会がある。そこでの余興にこれを中国語で吟じてみたい、と言ったらいろいろ教えてくれた。私が詩文を言うと先生が漢語に治すのだが、私の発音がひどいのか先生はずいぶん苦労していた。
「月落ち烏啼いて霜天に満つ 江風漁火愁眠に対す 姑蘇城外の寒山寺 夜半の鐘聲、客船に到る。」
この漢詩はなかなか思い出が深い。
この詩文に出てくる姑蘇、寒山寺、楓橋はウイキペデイアによれば
「姑蘇 = 春秋時代(呉)の蘇州の古い呼び名。」
「寒山寺は、南北朝時代の梁(南朝)の天監年間(502-519)、武帝時代に「妙利普院塔院」として創建されたとされる。」
「楓橋は、現在も寒山寺の北100メートルのところにかけられた石造の太鼓橋である。もと「封橋」と書いたが、張継の詩が有名になったので「楓橋」に改められたといい、自動車での通行は不可能である。今でも景勝地として知られており、また楓江と京杭大運河(北京と杭州を結ぶ800㎞にわたる大運河、隋の煬帝の時610年に完成)とが交わる交通の要衝でもある。現在、周辺は「楓橋風景名勝区」として整備が進んでいる。」
楓はカエデ、この辺カエデが多かったのでそう名付けたのであろうか。江風の「江」は揚子江のことである。この辺は揚子江の河口近くで水郷地帯になっているのだ。
2年前、まだ日中関係が良かったころ、「7泊8日、上海と江南8都市をめぐる旅行、29800円」に参加してこの寒山寺も訪問したし、またガイドとやり取りなどでも話題にした。その時の日記の抜粋。2011:6:25 蘇州 ホリデイイン
朝:「ロビーに馬さんの助手をやっている徐さんがいた。彼女は小さいが、それが利点で、動きがよく楽しい。ちょっと子供みたいに見える。「早上好」と言ってみたが通じない。紙に書くとようやく「おはようございます。」4声が違うと発音を治してくれた。しかし寒山寺、風橋夜泊になるになると進展。彼女も最後の方は覚えていないらしく、私に聞いて書き、ついでに発音訂正。最後は彼女自身が勉強している本を見せてくれた。何と日本語の教科書。お互い語学では苦労する。」
寒山寺にて:「雨が相当に降ってきた。雨の中を楓橋夜泊の詩文説明、三蔵法師、弘法大師、鑑真和尚三体像の説明等あった。自由になって教えられた堂に行くとキンキラキンの寒山拾得の像。円満の神様と言うことになっているとか。五重塔に登ればこの寺の全貌が見渡せるとの事だが時間がなかった。」
運河の畔あたりに立つ寒山寺を想像していたが、船着き場など見ることができず、観光客の群ればかり、ちょっと残念であったことを思いだす。
寒山拾得は唐時代の隠者、詩人。寒山の農家に生まれたが本を読んでばかりいて,村人にも妻にも疎まれ,家をとび出して放浪の末に天台山に隠棲したという。森鴎外の作品に同名の小説がある。
元に戻り、楓橋夜泊の作者は張継と言う人。
「中国唐代、中唐の詩人。字は懿孫。湖北省襄州(襄陽市襄州区)の人。天宝12年(753年)に進士に合格、安史の乱(注:楊貴妃が殺された反乱、唐王朝はこれで力をなくす。)にさいして江南に逃れ、越州(浙江省紹興市)・杭州(浙江省杭州市)・潤州(江蘇省鎮江市)・蘇州(江蘇省蘇州市)などを歴遊する。初めは節度使の幕僚となり、のちに塩鉄判官となった。766年(大暦元年)ころ朝廷に入り、侍御史、検校祠部郎中に任じられた。770年、洪州(江西省南昌市)の地方官として転出、同地で没した。博識で議論好きな性格で、政治に明るく、公正な政治家だという評判があった。道士のような風貌であったという。」
ところで寒山寺にはこの詩の石碑があり、その拓本が売られている。兪樾(ユエツ?)と言う人の書いたもので、ウイキペデイアによれば、清時代の書・画家・光緒32年(1906)歿、86才とある。日本の中華料理店などでも時々飾ってあるから注意してみるといい。
私の高等学校同期のA君は私同様詩吟をやっているが、寒山寺に行って楓橋夜泊を吟じて来たそうだが、どのような機会に吟じたのだろうか。
後記 その後の中国語の仲間がNHKの放送で楓橋夜泊を中国人が中国語で吟じていた、という。機会をとらえて是非聞いてみたい。寒山寺の宗旨を知りたいと思う。中国のお寺に日本の浄土真宗だの法華経だのないのだろうから、そもそもどのように分類し、僧はどのように修業しているのだろうか?
註 ご意見をお待ちしています。
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