1235「結婚についてサンデルの書から考えたこと」(125()晴れ)

 

改めて結婚とは何なのか、いまさらと言う感じもするが、もやっとした疑問を昔から持っていた。家制度のもとではひたすら家の維持が目的のように思えたが、今ではだいぶ違ってきている。そして同性婚だの、一夫多妻だの私の考えからはみ出したものも多く頭が混乱する。

いきなり、私事であるが私とガールフレンドのAさんの関係。年を取ったものとしての関係。もう十五年くらい付き合っており、結婚しておかしくない関係。しかし暗黙の了解でしないことにした。一つには子達の反対である。子にとって親は自分だけの者であってほしいと願うのか、二人の交際についてすらあまりいい顔をしない。もう一つは僅かばかりの遺産の問題。一方が亡くなれば他方に遺産の半分の権利が出る、と言う状況ではややこしくなり、子達の期待を裏切ることにもなる。実は私の友人も同じ関係。彼らは同居しているが、ご亭主によれば「結婚はしない。しかし私が先に他界した場合、彼女が困らないような対策は考えている。」

若いカップル。彼等は、当然法的な結婚を目標として、交際いるように見える。しかし老人の目から見ると、結婚によって自分がどのようなに幸福になるかのみを考え、@相手をどのように幸福にするか。A結婚が日本ではまだまだ家と家の結びつきである。この辺を軽く考えているカップルも時々見られるように思う。

マイケル・サンデルの「これから正義に話をしよう」のコメントは22日に書いた通りだが、その書にこれらの問題の答に迫ると思われる印象に残る部分があった。この書では日本ではまだなじみの少ない同性婚を認めるがいなか、からスタートし、結婚の目的を論じている。

まず彼が「国や州が結婚に対して取りうる方針は二つだけではなく、三つあると知ることが大切だ。」として@男性と女性の結婚のみを認める。A同性婚と異性婚を認める、これらのほかにBどんな種類の結婚も認めず、その役割を民間団体にゆだねる、と述べていることになるほどと思う。

考えてみれば、結婚は社会通念上、国家や州が認めて初めて意味がある。なぜ意味があるかと言えば、それが二人の男女にそれぞれの相手に対する権利と義務を認め、一方でそういう二人を社会的に援助しようとするからである。前者は、たとえば扶養義務や良き家庭を作る義務ありで、破局後の物事の処理の仕方まで規制される。後者は税金の減免など各種援助の形で表れている。

逆にその様な事が必要無ければ、勝手にやればいいのであってBのあり方になる。規制されることをお互いが嫌ったり、補助などないに等しいと考えて不要と考えれば事実婚のようなものが増えるのであろう。特に最近の世の中のように男女平等となり、扶養することなく独立するようになると助長される。欧米でもそうだが日本でもそのようになるのであろうか。

サンデンはここから同性婚カップルについてマサチューセッツ州最高裁判所、マーガレット・マーシャル裁判長の意見を引用し、まとめている。

同性カップルを結婚から排除するのは「法の下での自立と平等の尊重」と相いれない。問題は選択の道徳的価値ではなく、個人が選択する権利、つまり原告が「みずから選んだパートナーと結婚する」権利である。もしも州が「独占的な関わり合いを共有する相手を選ぶ自由を個人に与えない。」ならば、「結婚するかどうかを決めたり、誰と結婚するかを選んだりする」自由は、「有名無実となる」・・・・いかにもアメリカらしい考えだ。

しかし選択の自由を強調したにもかかわらず、マーシャルは一夫多妻と一妻多夫の結婚に道を開くものではない、とする。「我我のコミュニテイに最も有益で大切な制度」とし、結婚は二人の成人の同意による私的な取り決めと言うだけでなく、公的な証人と賛同の一形式であるとする。「真の意味では、すべての民事婚には三人のパートナーが含まれる。結婚の意志ある二人の配偶者と、それに賛同する州である。」結婚のこの特質から、名誉にかかわる側面が浮き彫りになる。「もう一人の人間との非常に個人的な関係であると同時に、相互依存、交情、親密さ、貞節、家庭の理想をきわめて公的に称賛することでもある。」

結婚の目的について、「結婚の本質は生殖ではなく、二人のパートナーの独占的愛情関係である・・・・二人が異性であっても、同性であっても。」・・・・確かに生殖が目的でないカップルも多くいる。一度も性交せず、結婚を完全なものにしていない夫婦、そうする予定のない夫婦も結婚を続けられるとする。死の床からはい出せない人でも結婚できる。ただゲイやレズビアンの婚姻関係も異性間のそれと同様に尊重に値する、としている。

彼女の考えはサンデルのコミュニテイ主義と共通で、アメリカと言う社会を前提に成り立っているように思う。同性婚を認めながら一夫多妻等を認めないのはいかにもプロテスタント国家らしい。然し教えられるところが多いと感じたのは私だけか。

 

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