1240「家庭と家族はどのくらい大事か(2月月11日(火)晴れ)
ガールフレンドのAさんが、めまいで調子が悪いのだ、と言う。「教会の仕事でパソコンに向かいすぎたのがいけなかったのかしら。」土曜の夜の大雪以来、陽気はよくなったが道路がひどい。彼女は家に閉じこもってばかりであったらしい。
「こういう時、息子(二世帯住宅でそれぞれ住んでいる)がいて助かる。ゴミをだしてもらった。家族と言うのは大事だと思う。」と言う。「そうだね。」と相槌を打ちながら、私は自分が倒れたときはどうなるか、つい考えてしまう。
電話口での彼女との議論が発展。「欧米は今の日本に比べて不思議に家族のことを重視するように見える。一体どうしてそういうことになるのかしら。」
実は私も不思議に思っている一人。20年以上前になるが、イギリスに派遣され下宿したが、隣室は、語学習得のためにスイスから来た女性であった。また職場でフランスから来た女性が私の所に派遣され、一緒にNOxという公害物質の実験を行った。彼等に「今、何を一番気にかけているのか。」と言うようなことを聞いた。当然将来の進路であるとか、結婚であるとかそんなものを予想した。ところが答えは二人とも「家族のこと、家のこと」であった。びっくりしたことを覚えている。
カラオケで、さだまさしの「亭主関白」と言う歌を練習中。時代は変わったものだなと思う。いまどきこんな歌を歌ったら怒り出す女性がいるだろう。
「俺より先に寝てはいけない、俺より後に起きてもいけない、めしは上手くつくれ、いつもきれいでいろ・・・忘れてくれるな、仕事もできない男に家庭を守れるはずなどないってこと・・・お前は俺のところに家を捨ててくるのだから帰る場所はないと思え、これから俺がお前の家・・・」
まさに戦前の家制度の面影そのものだ。
戦前の家制度:家は長男がつぎ、次男以下は外に出る。女性はもちろん嫁として他の家に嫁ぐ。とにかく家を守ることが大切であった。妾腹まで考えられた。跡継ぎの男子を産めない女性は非難された。「嫁して3年、子なきは去れ。」財産は長男が大体ついだ。その代り長男は家を守り、親を守る義務がなんとなくあった。
それが戦後の民主主義導入のおかげで一挙に崩れた。子達の権利はみな平等である。家制度は封建制度の名残のように非難された。さらにこれに時代の流れが追い打ちをかけた。
「関白宣言」ができたのが1979年、このころが転換点であったような気もする。やはりイギリス時代、中国からきている女性がいた。毎日研究室にちいさなリュックサックをしょってくるまじめな女性であった。その彼女がしきりにこの歌のことを気にしていた。「日本の男性は押しなべてこういう考えなのか。」戦後、都会ではサラリーマン家庭が当たり前であり、稼ぎ手が亭主、主婦は専業となった。しかしこのころから日本では共働きが主流になってきたのだ。そういう状況ではこの歌は成り立たぬ。現在「関白宣言」などしようものなら・・・。
それぞれが自立する:結構なことかもしれないが問題も多いようにも思う。
人々はタガが取れたようになり、自分の利点を中心に動くようになったように見える。一番はっきりしているのが相続問題ではないか。娘も次男も三男も平等の権利とみな手を出す。多勢に無勢か。法の定めるところか、平等に分配される。しかし親の面倒は誰が見るのだろうか。墓はどうするのだろうか。それは長男、は虫が良すぎる。その可能性があるから娘の亭主選びの条件に「婿は長男でないこと。」など条件を付ける者が現れる。嫁いでも女性は「帰る場所は実家がある」と考える。是を実家の親がけしかける場合もある。出世が思うように行かぬ亭主を無能扱いし、娘を味方に引き入れる妻もいる。さらに最近では亭主も子も放り出して入りから出直そうという者も出る。そのようであるから自分の親ならいざ知らず、亭主の親など知らぬ、と言う手合いも多い。つい最近も結婚はしたものの、亭主の親が病気で他界、その最後の面倒見が厭であったのか嫁が逃げて行ったという例を聞いた。
一方国家は、平等、民主主義を唱えながら、不思議なことに家制度を利用しようとしているようにも見える。老人の介護はできるだけ家庭で行え!そういう者が家庭に拒否された結果、独居老人が増えて行くことに成る。そうなれば倒れればオシマイ、最後にたよりになるのは金、と老人たちが考えても不思議ではない。
個人個人が勝手に羅針盤なしにふるまうのは結構だが、その結果、国家のないがしろ、という物が続いているような気もする。各人が家を中心に動き、家が村や町、つまり地域共同体を中心に動き、さらにそれが国家を中心に動く。それが無くなり、勝手に動くと極論は「人は皆平等、国際主義が大切。」などとなってくる。民主主義、各人が自由で平等の権利を持つ・・・これが欧米の考え方であったはず。それなのになぜ欧米では家族に家庭が一番大切と考えるのか、その辺がよくわからぬ。分かる方教えてください。
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