1242「寒い朝」(217日(月)晴れ)

 

私は迷っている。今決行すべきか否か。平和な贅沢な世界。暖かく心地よい環境が自分をすっぽり包み込んでいる。母の胎内のようだ。それを人類の未来のことも、できない状況にある人たちのことも無視して、自分一人享受していていいのか、との意識もわかぬではない。理屈っぽい私はつまらぬことを考える。そもそも暖かい、と言うのは温度でいうとどのくらいの範囲を言うのか。摂氏25度くらいか、そこを中心としてプラスマイナス5度・・・。

昨日、友人がメールで面白いことを聞いてきた。0の0乗は1か。分からなかった。考え、検討したことを反芻する。ウエブサイトを調べた。0以外の数字の0乗は1である。乗数の計算を思い出す。36乗に33乗をかけると39乗になる。63を足して9乗。同様に36乗を33乗で割ると6から3を引いて3の3乗。同様に3の3乗を3の3乗で割れば3の0乗。一方で33乗、つまりは27を同じ27で割れば1になる。よって3の0乗は1。しかし0にこれが当てはまるのかどうか。検索結果では1とする説と不連続点で不定とする説、二つがあり、決まっていないとか。それぞれに学者がいろいろ考察しているようだ。不連続点・・・革命的なものかもしれぬ。何しろそこにプラス側からにしろ、マイナス側からにしろ、極限まで近づいても1、ところが極限をひょいと跳びこし、0になってしまうと分からぬ世界・・・。

中国語の教科書に載っていた話。農家に飼われている七面鳥の世界。彼等には毎日朝の10時に餌が与えられる。フィーダーを通して配られる。それを観察し続けた七面鳥の学者が言った。「毎朝10時に天から食糧が我我の世界に降ってくる、そういう真理を発見した。」みな一大発見と喝采を送った。しかしその日は学者の言う通りにはならなかった。感謝祭の日であったから、農場主が七面鳥を皆捕まえて肉にしてしまったからである。七面鳥の不連続点!

梶井基次郎と言う人の小説「檸檬」

「丸善の棚へ黄金色に輝く恐ろしい爆弾を仕掛けて来た奇怪な悪漢が私で、もう十分後にはあの丸善が美術の棚を中心として大爆発をするのだったらどんなにおもしろいだろう。」

小説であるから檸檬の爆弾を爆発させた結果、どういうことに成るのか彼は想像しなかったのだろう。彼は爆発した後、逃げ帰り、自分を関係ない第三者の立場に置こうと考えたのか。

爆発と共に彼は自分が死ぬことを考えているのか。誰かが人はこの世に生かされている、と言っていた。しかしこれを放棄してしまう前提なら、考え方はずいぶん替わってくる。世の中が自分の思うように変わったとしても自分が死んだあとのこと、関係がないではないか。墓や妻や子達の問題も同じではないか。生きている間と死後、そこに個人にとっては不連続点ができる。意識するだけでものの見方が替わる。逃げ出してしまおうと考えたのかもしれぬ。随分ずるい考えだ。しかしそういうことを人はよく考えるもので、ときにはかしこい人と呼ばれたりする。

又話を元に戻す。現状はとにかく心地よい、母の懐に抱かれているような気持ち。ここから不連続点を越えて極寒の世界へ?極寒は何度か。華氏50度は極寒と呼ぶべきか。仮に決行するとして私にはそれだけの体力と気力があるだろうか。手足の先端に力を入れてみる。腹をへこませて力んでみる。しかし極寒の地に私の体は耐えられるのか。脳や心臓は破裂しないか。内臓にどのような影響を与えるのか。素早くどのように防御するのか。

社会の不連続点。その不連続点突破に計算が必要だ。そういえば原発論議。原発を再稼働させるべきか否か。賛成、反対はともかく情動的な見解が多く数学的なアプローチが少ないように思う。地層が10万年前以後に動いた場合、活断層と定義し、そこには原発を建てさせない、なぜなら原発事故は二度と起こしてはならないから。しかし10万年の間に1度活断層が動くとすると、私が生きているせいぜい100年の間に起こる確率は1000分の1、もう人生の8割生きたから、生きている間に起こる確率は5000分の1、それなら私は起こらない方に賭ける。起こったらそれまでだ!世の中に絶対などと言う物はない。

絶対絶対と言って確率を議論しないのは間が抜けている!その確率なら隕石がふってくるかもしれぬ、北からミサイルが飛んでくるかもしれぬ・・・・。自然エネルギーや化石燃料に頼ったらどうか。どれも問題点が多い。どちらの考えも利点と欠点がある。それを自分の心の奥底に或る好みや損得だけで判断し、いかにも正当らしい意見を開陳する者が多い。どちらに転んでも大した影響をうけぬ連中が声だけ大きい。どうも七面鳥の世界の議論?不連続点と確率の議論はかみ合うところがあるのだろうか。

再び話を元に戻す。ぬくもりの支配する世界、平和すぎる社会、これもアベノミクスのおかげ様か?対して飛び込むべき極寒の世界!しかしやらねばならぬ。物事は進まぬ!不連続点の突破だ、君がやらなくて誰がやる。ラッパを鳴らせ、突撃だ!!!私は布団をがばとはねのけてすっくと立ち上がった。股引をはけ!ストーブをつけろ!

 

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