1248「「この世の偽善」を読む」(2月12日(火)晴れ)
PHP。曽野綾子、金美齢。二人の対談集である。
副題に「人生の基本を忘れた日本人」とある。書店で選んで本を買うとき、どのような基準で選ぶか。この本はぱらぱらとめくって、そうだ、そう思うと感じて読んでみたくなった。たとえば26ページ曽野綾子「自分以外の誰かを頼ることが当たり前になっていますね。でも大東亜戦争の頃は、戦災による国家補償と言う物は特殊なものを除いて一般人にはありませんでした。・・・・東日本大震災の被災者に私は深く同情しますが、被災直後から自衛隊、警察が動いて緊急に水や食料や毛布が届けられたり、避難所の指定がされたり、被災地から逃れるバスが用意されたりと、日本国家だけでなく外国のボランテイアグループまでが手を差し伸べてくれる状況はあの戦争の時の悲惨さとは比べ物にならない。」
29ページ曽野綾子、被災地の瓦礫処理「石原慎太郎知事は記者会見で「皆で協力しなければしょうがない。自分のことしか考えないのは日本人がだめになった証拠だ・・・・。」・・・。」
東北大震災については、今原発を含め、こういう問題にどう取り組んだらよいかいろいろ議論されている。しかし私はこの本の終わりの方に或る「絶対に」と言う言葉を使わぬことが大切としている(235p)点に興味をひかれた。
31ページ金美齢「日本を覆っているのは利己主義に暖衣飽食。基本的に私たちが生きていくうえでは「自助」「共助」「公助」という順であるべきと思いますが、「自助」を忘れて「公助」ばかりを求める風潮がどんどん強くなってきています。」
続いて第2章の「日本は夢のお国」はその原因を求める。「「なんでもある国」「夢のお国」が先人の血と汗の辛苦のたまものであると考えればまずそのことに感謝すべきです・・・・「希望だけが無い」などと言うのは誠に言語道断・・・・・」貧乏と言うのはまずは食う物が無いこと。そこで見つけるのははだしで歩く人間と乞食、ホームレスはいても日本にはそのどちらもいないではないか。これを理解するために「他者への感謝の心がなければ・・・・」「なぜ自国の良いところに目がいかないのか」「日本史を履修しないまま卒業する生徒」「母国語を軽んじると英語圏の人間に使役されるだけ」などのタイトルで、問題点を指摘する項目が議論されている。100%共感と言うわけではないが、日本の生きる道は職人国家とする考えも興味がわく。
第4章では巷でもささやかれる「生活保護者が多すぎる」の議論。
少し話が脱線するが、私は私の所有するアパートに生活保護者が入ることをできるだけ断っている。理由はこの章の考えと同じだからである。日本人なら、まず「他人の施しを受けるのは恥」と感じるべきと考え、それでもいいと考える人は考え方が違うと感じるからである。
「高齢者であれ、障碍者であれ、生活保護者であれ、社会的弱者とされる側が一方的に物事を押し通せる社会になってしまったら・・・・社会自体が持たなくなる」「手厚い福祉が人間を怠惰にさせかねない。」「(ところが現状は)弱者の拡大生産がおこなわれている」などの発言にも共感。年越し派遣村の湯浅氏の「自己責任論ではなく、社会のセーヘテイネットの整備こそ急ぐべきだ。」は甘えている、と感じる。118p金氏の「貧困が無いことで、日本の教育は輝きを失った。」との発言はなるほどと感じる。
しかし堀江貴文氏の「人の心はお金で買える」「金を持っている奴が偉い」「若くてきれいな女の子が好き」「「アメリカ」が「日本」がと言った発想は一切ありません」等には、著者たちと同様、倫理観や祖国に対する気持ちの喪失を感じる。生活保護者の側から見た社会への思いを強者の側から裏返して見ているように感じる。「身捨つるほどの祖国はありや。」と言う物もいるようだが、そこまで行かなくても祖国は祖国として愛したい・・・・。外国との関係において「平和な道ばかり歩もうとして多くを失う。」「物事の理非にかかわらず平身低頭する(ことに反対)」の思想にもその通りと思う。安倍首相の靖国神社参拝について拍手をおくりたい、と感ずる。
飛んで第6章の「ものわかりのいい人」の罪悪。此れも共感する。子供はまだまだ未熟であり、「最終的には私の言うことを聞け」と言う教育が必要だ、子供の権利条約などおかしい、としている。軽薄な人道主義に反対し、「力の行使なき「信念」は軽佻浮薄とする。そして人間は「辛いこと、嫌なことができたときに自信がつく。」
「人は何とかして生きていける。」先ずその考え方を持ち、技術をつけることが大切とする。そして今の平和な生活が誰にどのようにして守られているかを認識するかが大切だ、としている。
最後に人間が他者に要求してはいけないこと@「自分を尊敬しろ」という事 A「人権を要求する」こと B「自分に謝れ」と他人に言う事・・・・肝に銘じるべきことと思う結局、著者二人は、人として、またその中の日本人としてあるべき姿を議論していると言えよう。一読に値する。
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