1264「ひじき」(5月13日(火)曇り)
鹿尾菜をひじきと読める人はまだボケていないのかもしれない。見た目が鹿の黒くて 短いしっぽに似ているところからきてい
ると、江戸時代に書かれた「本朝食鑑」に記載されてるとか。
野坂昭如の小説であったと思う。
終戦直後、アメリカさんが食糧不足の日本を救ってやろうと、飛行機から落下傘につるして食糧をばらまいた。その中に紅茶が入っていた。山奥の村ではそんなものを飲んだものはいなかった。「どうやって食べるのだろう。」と考えた末「西洋産のひじきであろう。」お湯につけるとお湯が茶色になった。お湯をすてて炒め物にしたり、味噌汁の具にしたけれど、ちっともおいしくなかった。西洋人はこんなまずい物を食うのかと評判になった。そんな話であった。
テレビで道行く若い女性にひじきを料理してもらう実験が紹介されていた。大抵の娘は食べたことはあっても料理の仕方は知らぬ様子。水で戻すことなどせず、其のまま炒めたり煮たりして見せた。中にはトマトケチャップで味付けしたものがいた。其れを年配のおばさんに食べさせたところ「おいしい。」と言ったが、味付けにトマトケチャップを使った、と聞いて絶句していた。
ところで私自身も実はこの番組の若い娘と同様。今まで料理をしたことが無かった。この番組の後半ではどこかの和食レストランの板前が出てきて「正しいひじきの料理」の仕方を紹介していたが、それと得意のインターネット料理サイトを利用して作ってみようと考えた。
スーパーの食品売り場に行くと片隅にひじきが売られていた。
茎ひじき、芽ひじき、長ひじきなどがあり、産地や包装にも違いがあり、どれを選んでいいかわからぬ。子供のころから優秀?であった私はさっと1グラムあたりいくらになるか計算する。結果一番安くて量のあるもの、85グラム入りで300円足らずの芽ひじきを選んだ。帰って台所で眺めると随分量がある。30グラム足らずを取り出し、水に20分ほどつけて戻し、これに千切りにした人参、油揚げをくわえ、ごま油で炒める。これに水に醤油、砂糖、みりんを混ぜたものを投入して煮詰めて行く。本当は水ではなくてだし汁がいい。その補充に味の素を少し入れる。10分くらいでフライパン一杯のひじきの煮物が出来上がった。
ガールフレンドのAさんと一緒に夕食。メインはかつおのたたきにしたが、サブはこのひじきの煮物にした。彼女はいたく満足した様子で「これ、自分で作ったの。此れなら外で食べるものに負けないわ。」と持ち上げる。もちあげておいてこれからも作らせようという彼女の魂胆は、分かっているが、悪い気はしない。どんな女性でも美人、若いと言われればうれしがるようなもの・・・。
インターネットでひじきを調べる。
今日作った煮物はひじきの料理では代表的と思うがクックパッドには1000種以上のひじきレシペが掲載されている。そういえば放送でももう一品とひじきのハンバーグをつくっていた。
ひじきは波の荒い海岸近くの岩場の低潮線付近に繁茂する。春から初夏にかけて胞子嚢をつけて成熟する。これを細長い茎の部分と芽のように出ている胞子嚢ぼ部分を分離して製品化する。茎の部分だけにしたものを長ひじき、茎以外の部分、あるいは芽の部分だけにしたものを芽ひじき、姫ひじき、米ひじきなどと言う。
ひじきとよく似た植物に丘ひじきというものがある。砂地に生えるがこれも食用になるとか。
ひじき講座というサイトが面白かった。www.kurakon.jp/ency_hijiki/ - キャッシュ
「伊勢物語」第3段に「男(在原業平)」 が恋人に当時まだ珍しかった「ひじき藻」 を、和歌をそえて贈る場面が登場する。 「思ひあらば葎(むぐら)の宿に寝もしなんひじきものには 袖をしつつも」もっとも相手が後に皇后(二条の后)になったほどの人だから、恋は成就しなかったらしい。このひじき藻がどのような状態であったかは分からぬ。
食用としてのひじきは、有るサイトによれば効率よく食物繊維が摂れる、ミネラルが豊富、ノンカロリー食品故、ダイエットに最適などと宣伝する。
ただし最後にちょっと気になる記事。ウイキペデイアより
「2001年10月カナダ食品検査庁は、発がん性のある無機ヒ素率が、ヒジキにおいて他の海藻類よりも非常に高いという報告を発表し、消費をひかえるよう勧告した。これは複数の調査によって裏付けられ、イギリス・香港・ニュージランドなどの食品安全関係当局も同様の勧告を発表した。
一方、日本の厚生労働省は2004年7月、調査結果のヒ素含有量からすると、継続的に毎週33g以上(水戻しした状態のヒジキ。体重50kgの成人の場合)を摂取しない限り世界保健機構(WHO)の暫定的耐容週間摂取量を上回ることはなく、現在の日本人の平均的摂取量に照らすと、通常の食べ方では健康リスクが高まることはない、との見解を示した。また、海藻中のヒ素による健康被害があったとの報告はないとした。」
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