1268「高血圧とジェネリック医薬品」(5月27日(火)曇り)
詩吟のメンバーはそれぞれの世界では優秀な人が多い。そのため話題も豊富。今日も練習後1時間半ほど会話を楽しんだが薬の話が面白かった。
「先ごろ高血圧の基準値が130から140に切り上げられた。
病気とは言えぬ段階でも病気という事にし、次々を薬を投与させる・・・・これが日本の製薬学会が今まで取っていた戦略だ。
血圧について、そこまで気にしなくて良いのではないか、という声はあった。しかし「血圧降下剤は飲むな。」という医者が現れたり、年を取れば血圧が上がるのはごく正常と認識され始めたり、血圧降下剤の副作用により、肝臓障害や脳障害を起こした、と訴えられるケースが出てきた。従来から厚生労働省は規準を緩めようとしてきた。高齢化が進む中、医療費がかさんで保険が持たないからである。仕方なく基準を妥当な値まで下げ、医者や製薬会社に非難の矛先が向かうのを避けようとしたのである。
よくWHOの基準を持ち出すが、あちらに対しては、先日悪名をはせたノバルテイス等欧米の大手製薬会社が桁違いの金を使って工作している。決して彼らの言うことも信頼できない。」
医者の言うことをどこまで信じていいのか。
血圧降下剤のほかにも抗がん剤など多くの薬に疑問が呈されるこのごろ。
わが家に戻って調べる。血圧については日本高血圧学会が、「高血圧治療ガイドライン2014」を発表している。
「JSH2014案では、降圧目標を整理する。若年・中年患者では、140/90mmHgに引き上げる。以前のガイドラインでは、高血圧の診断基準を140/90mmHg以上としながらも、降圧目標は130/85mmHg未満としていた。そのため、130〜140mmHgに降圧できた場合、基準を満たさなくなったのに目標は達成していないという“矛盾”が生じていた。これを解消するため、基準値と目標値を一致させた。」などとしている。さらに
「前期高齢者はそのままだが(140/90mmHg)だが後期高齢者は(150/90mmHg未満)(忍容性があれば(140/90mmHg未満))」としている。
ずいぶんあっさり変えるものだと思いながら、当分上が130前後の私は心配しなくて済みそう、と胸をなでおろす。この分だとメタボリックシンドロームなどもあまり気にしなくてよいかもしれぬ。少少太り気味の方が体力はある。
もう一つはジェネリック医薬品(後発医薬品)についてだった。
A氏は某製薬会社の重役だった人、しかし脊椎菅狭窄症で脳溢血にかかって倒れたことも何度か。薬にはずいぶんお世話になっているはずだが、彼は「ジェネリック医薬品は使わない。」という。
ジェネリック医薬品は、先発医薬品の特許が切れた後販売される。開発費がかからぬからから当然安くなるわけで、従来は先発医薬品の原則7割となっていた。これを来年4月から6割に引き下げるというのだ。厚生労働省は5割を主張したが、妥協した。
実は後発薬の使用率を現在の40%程度から、2017年度末までに60%に引き上げる目標を掲げている。後発薬の価格引き下げは、この目標達成が狙いだ。
後発医薬品の効き目は同じというが本当だろうか。
実は特許が切れたのは物質特許であり、薬の本体のみ。薬の特許には物質特許以外にも、例えば「製剤特許」が存在する。 もし、製剤特許が切れていなければ、同じような添加物を加えることができない。添加物が変われば薬がどのように溶けていくか、どれくらいの速度で吸収されていくかが変わってしまう。 同様に、製剤特許が切れていなければ、同じ剤形を用いることができない。同じ錠剤だとしても、コーティングの仕方や内部構造などでそれぞれ異なってしまう。その結果が「薬の効きすぎ」や「効果が出にくい」という結果になってしまう。 前者は、その分だけ副作用も出やすいということである。後者は、薬を服用してもほとんど意味がないということになる。
そもそも、ジェネリック医薬品の試験に「有効性の試験」は存在しても「安全性の試験」はない。ジェネリック医薬品は先発品と比べ、その製品に対する情報量が極端に少ない。
しかも、有効性の試験といっても「完全に有効性が同じである」とは言い切れない。これは 統計学的には±20%の範囲(正確にはバラつきを含めて80〜125%の範囲)であれば差がないと判断される。つまり、先発品と比べて多少なりとも効果が強かったり、その逆に効果が弱かったりしても「有効性は同じである」と判断されてしまう。 これもまた、薬の効きすぎや薬の効果が出にくいという結果となってしまう。
註 ご意見をお待ちしています。
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