1284「結婚式参加のためにロンドン行」

 

720()晴れ)

私は73歳、一人だけの海外旅行、ひどく不安なのである。

24日から29日まで友人の娘さんの結婚式に参加するため英国に行くことである。

ご両親と彼女が結婚式の招待状をくれたのはごく普通。しかしイギリスまでの費用、宿泊料金、時間等を考えて最初は躊躇した。行かなくても失礼にはならないのではないか。しかし関係のない友人に話したところ「それは行くべきですよ。若い人が結婚式に呼んでくれるなんてことはそう簡単にあるもんじゃない。」決断を後押しした。たしかにこんな機会でもなければ、もうイギリスに行く機会はないだろう。

そのうえ、自分でもどうしてこういう気分になったかわからないけれど、詩吟を披露することにした。詩吟の先生に話したところ「いつも使っているBGMが無ければだめよ。」そこでICレコーダーに伴奏を録音し、スピーカを持ち込み、それで再生することにした。

今回は全くの一人旅である。うまく飛行機に乗れるだろうか。宿はパデイントン駅近くに取った。すると予約の内容を書いたものがe-mailで送られてきて金はしっかり銀行口座から引き落とされた。問題はないはずなのだが、向こうに行って何かの間違いで宿泊を拒否されたりしたらどうしたものだろう、と不安がよぎる。

またパデイントンからWindsor-eton-centralに行き、そこからタクシーを拾い会場のOakleyCourtホテルに行く。Windsor-eton-centralにはタクシー乗り場はなく電話で予約しなければならぬという。私の携帯電話は現状では海外では使えぬ。あわててスマホに乗り換え、これで向こうで仲間と連絡を取り合うこともタクシー会社に電話することもできることに成ったが、不安である。やったことが無いからである。

何かあった場合も不安。もちろん旅行保険は入ったけれども、事故の場合、団体旅行などと違い訴えるべき人がいないのである。国内連絡先は一応ガールフレンドのAさんの所にして、住所等渡しておいたが、連絡を取るものがいない場合もありうる。

しかし若いころはこんなことは何でもなかったように思う。今日のホテルすらないような状態でバックパッカーよろしく旅したこともある。大体何も起こらなかった。しかしそれが妙に不安に感じられるのは歳のせいであろうか。懸命になって「そういう弱気な心がいけない。」と自分を叱咤する。

 

730()晴れ)

未来は期待であり、不安である。そこにある案件が現在という壁を突き破ると経験となり自信となり自分の中に蓄積され、自分の変化となる。あの若いきれいな花嫁のこれからの幸せを願いながら今回の旅行の思い出にふけり写真等整理している。

不安や期待であった部分の第一はまずは無事な旅行であった。一人で、パデイントン近くの安宿に泊まり、列車でウインザーまで行き、車で所定のホテルに行く。そこで結婚式に参加する、それだけのことであるが気を使った。しかし案ずるより産むがやすし・・・・ウインザーが著名な観光地であったため列車もタクシーもウインザー城への観光客が多く簡単に見つけられた。

アベノミクスのおかげで円がずいぶん安くなったこともあり、ロンドンの物価はずいぶん高く感じられた。簡単な朝食付き13000円の宿QueenswayHotel3畳一間程度のまさにB&Bのそれであった。しかしロケーションが素晴らしい。ハイドパーク公園のすぐ近くであった。公園は5時から開き、朝食は7時半から提供されるのだが、滞在した4日間毎朝公園を散歩した。公園は渡り鳥の天国で、白鳥、おおきな野鴨、カナダギースなどがそれぞれ群れをなし餌場の芝生と水場を行き来している。この公園はローマ教会とイギリス教会が縁を切ることに成った宗教改革をおこなったヘンリー8世が土地を取得したことに始まる。池を挟んで隣のピーターパン像のあるケンジントンガーデンズと合わせて素晴らしい公園になっている。

第二は結婚式に出席してお祝いの詩吟を披露したがこれがうまく唄えるか、という事であった。BGMを流すためにICレコーダとスピーカを用意した。前者にBGMを録音し、それを現地で再生するのである。会場は花嫁、花婿、親族の座る正面雛壇と10人くらいのテーブルが10。声が通るか、聞いてもらえるかと心配したが司会のうまい誘導とスピーカの声を最大にし、声もマイクを使えたお蔭で問題なかった。

ホテルはテームズ川の上流に接している。レジャーボートなどが行きかっている。事前に私は大きな声を河の向こう岸に届かせるつもりで練習したことも効果があったかもしれぬ。周りの様子では評判は悪くなかったように感じた。

「妻となり夫となるは是宿縁 同心一体天に背かず 人生の航路豈容易ならんや 永久にたがうなかれ貞と賢と」  松口月城

後日、花嫁から感謝のメールが入った。異国の結婚式であるから「和」を少し出したかった。そのため和服も来た。あなたの詩吟も雰囲気を盛り上げた・・・。

第三はスマホである。今回タクシーを向こうで呼ばなければならぬことも考えて、結局従来の携帯電話からスマホに変えた。これがうまく使えるか、どうかが問題であった。

本当にあせったこと:スマホはすぐ電力が無くなるから充電しなければならないが差込口がイギリスのものは独特なのである。探し回ってようやく手に入れた。

しかしスマホの電話機能は役に立たなかった。タクシー会社に予約の電話を入れようとすると「機内モード×」と出てきて通じない。飛行機の中だから使えぬ、というのだ。撮影などいろいろいじっているうちに間違えて押してしまったらしい。

カメラ代わりになるだろうか。結論を言えば1100万あまりの画素はだてではない。きれいいな写真が取れる。私はデータをパソコンに写し、一番良いと思ったものをパソコンの壁紙に使った。十分使える美しさである。・・・・・しかし焦点が合わせにくく、手振れが生じやすいように感じた。小さい物だからどうしても簡単に動き、動きがあったり、対象が遠かったりすると合わせにくく、シャッターが切れぬし、スマホ画面では良く撮れたように見えてもパソコンで拡大すれば手振れが目立ってしまう。

スマホは分からないところだらけである。街をゆくとスマホに夢中の人が多い。そこに入り込み自分の世界を作り、他を寄せ付けぬ。よくレストランなどに親と子できて会話をせずそれぞれスマホに夢中になっているケースを見つける。まずいのではないか、と思うが、その議論は置くとしてなぜスマホが人をこんなに変えるのか。分からないところが多いこと、使えば使うほど独自の優越感の味わえる世界が広がるからかもしれぬ、など考える。

私自身について言えば、今更昔の携帯に戻る気はしない。嫌でも慣れねばならぬ。そういう意味では私の中に一つの革命を起こしたともいえる。

総合感想。結婚式は大変盛況で、新しいカップルの幸せを祈るばかりである。行ってよかったかと言えばその通り、あの世への良い土産になったかもしれぬ。行く前と行ったあとで少し自分が変わったようにすら感じる。

 

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