1305「真っ赤な金魚を描く」(10月21日(火)曇り)
このごろ朝起きると「また一日を生きなければならないか。」と感じ、ため息をつくことが多い。それだけ年を取り元気がなくなってしまったのかもしれない。
一日やること一つ・・・・・それだけで十分に感じる。
それが昨日など12時半にa君に会ってお茶を飲む、2時過ぎに河北病院に行って眼の検診、3時から荻窪で書道。この間に己の食事を考えねばならぬし、荻窪まで歩かねばならぬ。習字は朝のうちにやっつけで作品を作らねばならなかった。河北病院に行く以外はいづれもやらなくてもいい事なのかもしれぬが、いつの間にかその世界にはめられ・・・・。
例のkyoyouとkyouiku(今日の用事と行くところ)がありすぎる。1週間くらい何かやることのある日が続いていた。今日はあいている。もっともその間、抜けていることのフォロウも大変。今日は荻窪に買い物に行った。日用品を買い集め、荷物が重たく、荻窪から歩いて帰るのに難渋した。
どうも何を見てもどうも感動が薄くなってきたような気がする。そんな中で、最近おやっと思った記事。NHK中国語ラジオ講座に乗っていた。教師は二人の中国人である。この話は創作であろうか、それとも実際にあった話であろうか。要約すればいいが真意を伝えにくいのでそのまま訳文を転載する。
「金魚の絵を描く
学校に半年ばかり通った頃、文化大革命がはじまりました。小学校でもいきなり天地がひっくり返るような変化が熾きました。まず変わったのは教科書です。一年生の国語の前期で教わったのは「日、月、水、火、山、石、田、土」と中国語のピンインや漢字の書き順でしたが、後期の教科書はこういった物は姿を消しました。どのページも毛主席の語録か革命歌ばかり。それだけでなく、カリキュラムもすべて変わりました。私が大好きだった図画や習字はみんな廃止されてしまいました。
図画の最後の授業の宿題は金魚の絵でした。夏休みに私は家の金魚鉢をよく観察して真っ赤で大きな金魚を描いて提出しました。私は後期の授業が始まるのを、図画の授業で赤い大きな字で「優」と付けられた宿題帳が帰ってくるのを楽しみにしていました。けれども私はその宿題帳を二度とみることはできませんでした。図画の先生が突然「反革命分子の現行犯」となって、授業ができなくなってしまったからです。」
文化大革命というものはこういう物であったろうか、と感じた。昔中国と日本がうまくいっていたころ出身会社に中国人が研修か何かできた。その時彼らが「あの文化大革命のおかげで、中国は10年進歩に遅れてしまった。」と言っていたのを思い出す。
なんとなく昔見た「蝶の舌」というスペインの映画を思い出した。1936年スペインの片田舎。人見しりをする主人公の少年に先生はやさしく、生徒を差別しなかった。先生は、少年が蝶に興味をもったこと知り、一緒に虫取りに行く。先生は、蝶の舌を見たいと願う少年に、顕微鏡で見せることを約束する。しかしスペインで内戦が勃発。ファシストは先生をとらえた。村人は収容所に送られてゆく先生に石を投げつけるのだった。
日本でも同じような話があり、軍部が強くなり、太平洋戦争に突入していったから、あまり大きなことは言えないが、香港のデモは気になる。香港の主張を決めるのに際して反体制派は最初から候補者にさせぬという方針に学生たちが反発している。「しょせん香港は中国の一部。全人代で決めた方針に逆らうことはできぬ」と当局。「話し合いには応じるが、受け入れるわけにはゆかぬ。」としているようだ。
1年近く前に読んだサンデル教授の「これからの「正義」の話をしよう」を思い出す。あの書の言わんとするところを、最近TV放送である大学教授が「サンデル教授は正義を自由主義に基づくもの、功利主義に基づくもの、共同主義に基づく物とし、共同主義に基づく物に軍配を揚げている。私は順に大規模社会、中規模社会、小規模社会に向いていると思う。」など語り、これからのネット社会ではどうあるべきかを論じていた。
香港のケースに正義を当てはめるとしたらどのようになるのであろうか。天安門事件のように最後は警察力を使って強引に解決しようとするのであろうか。しかし国際的に受けが悪かろうし、そうでなくても香港から海外に出て行くものが多いという。そのようになり、もぬけの殻にしては香港の魅力は無くなってしまう。ある人が「当局は立ち枯れをねらうのではないか。」と言っていた。こう着状態をつづけたまま放置する。するとやがて運動はしぼみ、周囲からも相手にされなくなる・・・・。この場合の正義はどのような方向であろうか。いづれにしろkyoyouとkyouikuでばたばたする時代など、なんと幸福な時代であることか。
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