1314「また友人と一杯」(121()晴れ)

 

荻窪で書道教室が終わり、私はぶらぶら歩きながら帰った。ガールフレンドのAさんはキリスト教関係の授業があり、今晩はわが家に来ない。魚屋で石持ちを買い、一人で焼いて食おうかと考えていた。我が家の玄関を開けようとしたときに気がついてしまった。

「今日はa君と魚耕で飲む約束をしてある!」610分、約束は6時、あわてて荷物を玄関に投げ出して、荻窪に向かう。「魚耕」につくとb君とa君は宴たけなわ?

「どうしたのだ。返事が無いから倒れたかと思ったぞ。」こちらはごめんを繰り返すばかり。

a君とは中学校時代からの親友。b君は高校同期でよく付き合うが、たまたま両君が同じゴルフクラブでプレイする中であったため、いつの間にか暮に3人が集まるようになった。

a君は貿易商社をリタイヤしたのち、英国系の戦闘機会社の日本代理店に勤めていたし、b君は電線や光ファイバーで有名なF電工の重役であったから話のレベルは中々に高い。

「株は多分選挙が終わるまでは上がり続けるだろう。しかしその後必ず反動が来るだろうね。その谷の深さがどのくらいであるか。」

今日の新聞に「ドル換算GDP中国の半分に」という記事が載っていた。

「円安が進んでいる。輸入品の価格上昇と輸出企業の業績改善でデフレ脱却に役立つはずだが、日本人は円安で豊かさを実感しているだろうか。外国人と同様にドル建てで日本経済を眺めなおすと、世界の中で縮んでいく日本の姿が浮かび上がる。」とある。

大きな理由は2年間で約5割も円のドルに対する価値が下がってしまったことに起因する。ただ交易損失は、シェールガス革命による石油を中心とする資源価格の下落に打ち消されてそれほど大きくなっていないことは救いではあるが・・・・・。」

そんな状況の中でa君は言う。

「中国の戦略はあらゆる地域で基礎資源を抑えることにあるのではないだろうか。日本では水資源を確保するために北海道の土地を買いあさっている。南沙列島などの領有権などで石油資源の確保に動く一方、アフリカでは希土類などの鉱物資源の確保に動いている。こういう問題で日本は勝者だけが動きなぜ**鉱山などの鉱物資源会社が動かないのだろう。中国の戦略は基本的には正しく日本は負けてしまうだろう。」

サムエル・ハンチントンの「文明の衝突」を思い出す。

・・・・・「ここでいう文明とは西欧文明、イスラム文明、ロシア正教文明、中華文明など八つの文明をさす。今まで世界を支配してきた西欧文明は衰え、他の文明が力をのばし、世界は多極化して行く。」・・・・・「その中で日本は独立した文明圏であることは誇ってよいが、所詮は小さな文明圏で、東南アジアでは中国に継ぐナンバー2である。仮想ストーリーでは中国と米国が戦争になり、日本は両者の間をふらふらし、結局は中国につき破壊される」

再び我我の会話。財テクの話も含めて・・・・。

「ここ当分ドルが強いだろう。OPECが減産を決定しなかったものだから原油価格が下がった。バーレル65ドルを割ったとか。実はこれは競合相手のシェールガスを意識したものだ。シェールガスの採算ラインは50ドルくらいらしい。米国の業者は中小事業者が多いから苦戦を強いられるものも続出するのではないか。それでもシェールガスは強い。ブラジルは、オリンピックやサッカーが終ったため、しばらく苦しそうだ。海底油田という話があったが、あれは意外にコストがかかり、危険性も大きいという事だ。ほかに石油価格の下落は、ソ連にとっては痛いだろうね。ようやく復興しかかったイラクにも不利とか。」

「昔は、石油は後数十年でなくなると言われたものだ。化石エネルギーの不足を補うには原子力しかない。原子力は核分裂しやすいウラン235を核分裂させて熱を取り出しているが、残りの97パーセント?をしめるウラン238等を主体とする高速増殖炉の開発が必要だと言われた。

しかし埋蔵量は石油の10倍近くあると言われる石炭の利用、海や砂漠まで用いた太陽熱の利用など別回答が見つかり始めてきた。地熱の利用もある。最近の新聞記事によれば宇宙空間に太陽熱パネルを打ち上げ、そこで発電し、電気を電磁波で地球に送りまた電気に戻すことまで研究しているそうだ。地上での電気の輸送も超低温まで温度をさげなくても可能な物質が開発されるかもしれぬ。そう考えれば人間の工夫によりエネルギー問題も解決できるのかもしれぬ。」

この辺はなかなか夢のある話であった。しかし実現の頃には我我は、この世にはおらんかもしれないなあ、と最後は少し悲しい話。

a君は大病を抱え込んでしまったらしい。少少今日は弱気に見えた。b君は奥様の調子が悪いとか。そんなことでカラオケもやめにし、帰路に就く。a君が「お前が倒れたかと思った。」との言葉を思いだす。無いとは言えぬ。師走、夜風が冷たい。

 

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