昨日、ガールフレンドのAさんが
「明日、時間ある? T.R.Y.を見に行かない。」「T.R.Y.?何だ、それは・・・。」「最近封切られた映画よ。」
そういえば2,3日前に彼女がその本を借りて行ったことを思い出した。
「誰がでているんだい?」「織田祐二・・・・。」
それで敵の意図がわかった。彼女は織田祐二を見に行きたい、といっているのだ。何しろ彼女は織田祐二に首ったけである。余り肩をもつから、いつか「僕とどっちが大事だ。」とからかうと「あっちはあっち、こっちはこっち。」と官僚の答弁みたいに答えていた。
「そうだねえ・・・。」気乗りしない返事をする私に彼女は「じゃあ、ハリーポッター・・・。」
ハリ・ポタをお子様ランチと感じる私は歳をとったのだろうか。
「ハリ・ポタねえ・・・。ボーリングはどうかね。」などとぬらりくらりと交わし、明日の朝、きめようということにした。
ところが、新聞の批評を見て織田が「外国映画並みに楽しんでもらえる娯楽映画を作りたかった。」などと言っている記事をみつけ、私はにわかにゆきたい気分になった。
T.R.Y.は井上尚登という人の作品で平成11年の第19回横溝正史賞受賞作品。2年半ほど前に読んでおり、ホームページにあらすじ、感想等が掲載されている。
「辛亥革命の頃、伊沢修なる大陸浪人がいた。彼は天才的な詐欺師で、上海を根城に競馬の予想で外国人をだますなどでしこたまもうけていたが、とうとう捕まって刑務所生活を送ることになった。詐欺にあった被害者の依頼で秘密結社の仲間が暗殺しようと追ってくるが、関なる男に助けられる。ところが関のグループは、実は腐敗した清王朝を倒すために戦っていたのだ。伊沢は、棺おけに隠れて脱獄し、日本軍が外国に売ろうとしている武器を横取りする計画をたてる。同志と日本に渡り、新橋の喜春姐さんのもとに転がり込み、陸軍の東中将にペテンをろうして接触を試みる・・・。」
新宿コマ劇場近くの映画館に行く。客は以外に少ない。手に汗握ってまで行かぬが結構興奮して見終わった。痛快なだましあいの映画だった。
伊沢が女性闘志に「革命に命を掛けるつもりでなければいけない。」と言われ「詐欺師というものは仕事に命など賭けはしない。危なくなったら逃げだすのさ。」と言い返し、最後には手に入れた金の3割を手数料としてとったところが映画では印象に残った。
難をいえば日中友好を考えたのか、最後が変えてある。原作は品川港で終るのだが、場所を大陸に移し、しかも清王朝に対する民間の蜂起らしきものまで入れている。こちらは前半分にくらべて、どうも筋立てもセットもちゃちな感じがする。
しかし全体としては予想以上である。こういう映画は筋が結構入り組んでくるから余程うまく見せないと観客にわかりにくい。しかし全体を整理して、話をわかりやすくさせているし、話の進め方もきびきびしており、あきさせない。監督は大森一義。
つい最近ギャングオブニューヨークを見たが、こちらのほうが数等上の気がする。原作がまにあわせでなくきっちりつくられているからだろうか。
その上、上海の和平飯店やそこで活躍する楽団などが映し出されたが、私は数年前に滞在したことがあり、懐かしかった。
「ねえ、よかったでしょう。」と映画館をでると彼女は私に同意を求める。まあ、私の評価は上述のとおりだが、それで「面白かった。君の言うことを聞いてよかった。」と軍門に素直に下るのも、織田祐二が格好よすぎるのも、いまいましく感じる私は「昼飯を食いに行こうか。」とはぐらかす。
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