1322「「新・戦争論」を読む。」(12月27日(土)曇り)
私は目が悪くなってきているようだ。それを一番意識したのは、運転免許更新の際に受けた高齢者研修の際、静態視力0.4、動態視力0.1と判定された。しかしその後の医者の検査では静態視力のみであるが0.7-0.9程度を記録している。従妹が眼医者なので聞いてみると「視力というのはその時によって大きく違うものよ。」とあっさり言われてしまった。眼鏡はかけると見やすくなるが、外した時に見えにくくなるように感じる、面倒くさく鬱陶しいと感じていまだに本だなの隅に飾ってあるだけ。流石に文庫本は少々苦しくなった。特に昔の文庫本は文字が小さい。新書版程度であればあまり苦労せず読める。しかしこの視力もいつまで続くであろうか。そのほかの症状も伝えたところ従妹は「老眼も入ってきている。」とのこと。疑いはあるもののまだ緑内障、白内障のご託宣を得ないだけ幸せというべきか。
前置きが長くなったが、そういう中でこの本を読んだ。大変興味深かった。
池上彰と佐藤優の世界情勢についての対談である。「地球は危険に満ちている」「まず民族と宗教を勉強しよう」「歴史で読み解く欧州の闇」「「イスラム国」で中東大混乱」「日本人がきづかない朝鮮問題」「中国から尖閣を守る法」「弱いオバマと分裂するアメリカ」「池上・佐藤流情報術5か条」「なぜ新・戦争論が必要か。」
各章のタイトルを並べてみたが、それだけで内容は分かろうと言うもの。しかしその視点はするどく目から鱗のように感じところが多い。日本に関係がありそうないくつかを揚げてみると
*1955年、毛沢東はダライラマを読んでささやいた。「あなたの態度はとてもいい。だが宗教は毒だ。第一に人口を減少させる。なぜなら僧侶と尼僧は独身でいなくてはならないし、第二に宗教は物質的進歩を無視するからだ。」(38p)
*「中国にとっては尖閣よりウイグル問題が重要。」「運動は、最初は「ウイグルの文化が失われることへの犯行」であったが最近の警察襲撃などは明らかに「イスラム主義」的行動。」(206p)
*「(在米韓国人たちがやっている運動は)「遠隔地(遠距離)ナショナリズムが働いている。・・・生真面目なものではあるがしかし根本的には無責任であるような政治活動を生み出す。活動の舞台としている国に税をはらうことはまずなしし、その国の司法制度から責任を問われることもない。・・・安楽かつ安全な場所に身をおき、金や銃を送りだし、プロパガンダを流布させ、コンピュータを使って大陸間の情報ネットワークを築く。」(81p)
*「(北朝鮮拉致問題に関し、向こうから)帰国希望者がこんなにいます、と言われたらそれ自体がカードになる・・・・「日本人」が大量に帰国することになったら日本政府も苦しい対応をせまられるでしょう。」(178p)
そして世界の情勢を俯瞰したあと、終章で、佐藤は今や時代は新帝国主義の時代になったとする。かってはイデオロギーの対立であった。しかしそれが姿をけし新帝国主義は
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帝国主義の特徴は全面戦争であったが、そうせずに局地戦争にとどめている。制約要因は核兵器である。
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植民地を獲得しようとしないこと。第二次大戦後植民地の経営にかかるコストが認識された。
その背景には資本の過剰がある。お金が儲かるような投資対象が国内にないから、金融を中心として外に対して外資で儲けようとする。外交面ではニュートン的な力学モデルである。相手国の立場を考えずに自国の立場を最大限に主張する。
池上はこれに「旧ソ連のクリミヤ半島における権益を守りたい。」「中国が南シナ海からインド洋にまで進出しようとしている。」「イラクのイスラム国は東はインド、西はスペインまで取り戻すと言っている。」「EUでは「地中海同盟を作り、トルコの加盟を拒否する」などの動きに現れている。それぞれが「過去の栄光を求める動き」をむき出しにしている、としている。
そして近代が目指した「自由」「平等」「平和」の負の側面を指摘する。
自由はおそらく資本の事であろう。資本尾自由な動きはとんでもない格差を生み出す。平等は力が無いと実現できない。力とはおそらく国家のことで国家機能によって平等を実現してゆく。これは時によって独裁制にも通ずる。イスラム国ですおそらくは「平等」の概念から出ている。友愛は「エスニシテイ」つまりエスニックな集団を意味することにならないか。
「自由」「平等」「平和」は資本主義社会の中に組み込まれているけれども、いずれかが出てきて強くなるとほかの物を抑えることになってしまう。
そして結論であろうか。佐藤は自分はかって「20世紀はソ連が崩壊した1991年に終わった。」としたが、実際は続いているのかもしれない。戦争と極端な民族対立の時代は当面続くのかもしれない。ウクライナ問題やパレスチナ問題が解決しないのは、まだ殺したりないから、流血が不足しているからかもしれぬと言う。
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