1330「アベノミクスは何処に行く?」(1月22日(水)曇り)
書店でまた迷った末、今日は「2015年 日本経済のシナリオ」(今井澂)を買ってきた。著者は証券マンだったようだ。サブタイトルに勃興する日本株、混乱する米国政治、序章には「断言しよう、日本株は買いだ」と威勢のいい言葉が並ぶ。
投資について、私は危険なことはできるだけ避けたい慎重派。ある人の話に今5000円の株がある。この株はいよろしい株で1年後に50%くらいの確率で10000円になると予測される。それなら現時点での価値は割引率を10%としても7000円近い値がついてもおかしくない。それが5000円なのは、人は失敗した時のことを恐れて、石橋を渡ろうとするからだ、とあった。その伝。
トレンドを知るために折に触れて書店に並ぶ経済学書を読む。ただし多読は嫌いだ。それに最近は目が疲れやすくなったこともあって、半月に1冊、それもその他の書物も読むから経済について読んでいる本の量なんて知れている。・・・・・でも大体の人間がこんなところではないか、と思う。
ここ2年くらいの間に読んだ本を並べ、少しその蘊蓄を書いてみたい。
結果から考えると、本当にみんなよく嘘をつく、予測は当たらぬものだ、と驚く。「2014年日経平均は9000円割れ」「1ドル50円時代が来る。」「金を買え、金を買え」「これからヨーロッパで20の大銀行が潰れる」「資本主義の終焉」・・・・よく言ったものだと思う。そしてそういう学者が臆面もなく新しい本を書き、今年もこれからの経済予測などしている。
1ドルなぜ50円の時代が来なかったか?日経平均が9000円にならなかったか。資本主義の終焉にならなかったか。ヨーロッパの20の銀行が潰れなかったか・・・・・。その理由追及の中に真実が見えてくるのではないか、という気がする。
「資本論」を読んだことがないくせに私は「いま生きる「資本論」」(佐藤優)を読んだ。「1867年、ちょん髷時代に刊行された本、21世紀の現在において何の役に立つのだろうか。」佐藤氏はその通りと断じると同時に「古典は危機の時代を読み解きその解決策を見出すために役立つ。」とする。
読み終えたが今更「資本論」を読む気にはならぬ。ただ、資本論の考え方が古臭くなった根本原因は中間層の台頭である、と考えている。著者が言及する公務員も含まれよう。労働者と資本家の中間に位置し、資本家にいつか這い上がろうと考えている連中の事。労働者、資本家どちらの側につくかは状況によって態度を変える。
何処で読んだか記憶していないが「教育が間違っている。覚えればいい、記憶力の大小を競わせる。大切なのは疑問を持ち自分で考える力を養わせることだ。」その通りと思う。そしてこれは書物にも当てはまると思う。「資本論」もその気持ちで読むのなら意味があるのかもしれぬ。
野口悠紀雄「金融政策の死」は少し難しかったが、アベノミクスに対する評価が印象的であった。「円安はアベノミクスの結果でなく、ユーロ危機一服の結果である、円安は僅かではあるが安倍首相の「無制限金融緩和発言」より前の時点で進んでいた、円安を予測した投機が発生した、株高上昇の期待を高めた、非居住者によるネット投資が増大し株価を押し上げた、安倍首相の功績ではない、とする書きぶり。「為替レート」や「株価」はあなた任せの状態にある。現在は国債を国家が買い支えてどうにか金利高騰を防いでいる。しかしこのやり方は輸入インフレと円安の悪循環に陥ればキャピタルフライトを招来する可能性がある。」
私自身は、たとえそういうシナリオが成り立ったとしても、あなた任せではない、海外の影響を大きく受けるけれども、政府の思う方向にかなり誘導することができる、と思う。円安について私は素直に「バカな経済論」(高橋洋一)のいうように「ドルの量と円の量のバランスによって為替レートはきまるのだ。」という言葉通りにそこを調整すると宣言し、みな円売りに走ったと考えたい。現在の状況についても悪いけれども経常収支はまだアカになっているわけではない。ギリシャと一緒にすべきではない、とも考える。
消費増税によって日本はひどい不況に陥るとしたのは「2014年日経平均は9000円割れ」(中丸友一郎)であったが、そうはならなかった。消費増税は家計から8%で9兆円、10%にすればさらに6兆円奪うという話であったが、それでも最近デパートの高級品の売り上げが伸びるなど回復の傾向がみられるという。なぜか。以下、素人考え。アベノミクスによる循環が回り初め、給与等が増加している、株や円安で利益を上げている者が多く出始めている、金持ち老人の所得を若い層にうつそうとする税制上の対策が取られ消費ブームを起こしているのではないか。
冒頭の書は野口氏に書に比較するまでもなく楽観論に満ちあふれている。日本にハイパーインフレは起こらない。岩盤規制の中にこそ大きな成長の芽がある・・・・観光、海洋開発、介護ロボット・・・・。2015年は「株買い」「ドル買い」だ。もっともこの書が出てすぐ後にOPECが原油は減産せぬと宣言し、スイスはスイスフランとユーロの固定交換比率を撤廃するなどまた波乱の芽が次々出てきているのだが・・・・・。
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