1355「迅速好好編・・・老人の繰り言集」(4月27日(月)晴れ)
古文書研究会は私と同年配の素人男女10人足らずが会員。a君の「日本人の書いたものが読めないのは悔しいではないか。」と江戸時代の古文書などを見よう見まねで読み始めたのが始まり。江戸時代の古文書のほかすでに芭蕉直筆と称する「奥の細道」を読んだ。
現在は伊勢物語を読んでいる。この本は江戸時代に大いに流行ったらしく、いくつもの写本が出ている。今日の話で今読んでいる者は古活字本だそうで印刷したものとか。ウイキペデイアによれば「古活字本は文禄より慶安ごろ(16世紀末から17世紀はじめ)までの間に日本で刊行された活字印刷本の総称である。
そろそろ新しいものもと皆が探したところ、新潟の庄屋さんの系統らしいb君が蔵の中から表題のような本を探し出してきた。字が大きくおもしろそうだと読み始め2回で終わった。どうも明治の初めに年寄りが書いた小言集?のようなものらしい。文中にお年貢という言葉とABCという言葉両方が出ている。もちろん本人は一家への戒めして書いているが・・・・。何かの参考になろうかと訳文の抜粋を載せる。表題の好好はどうやら「よしよし」と読むらしい。
「第一朝起き早いがよし。主人や親の命令があらば唯と敬承の早いがよし
去(れ)と言って主に居ぬという女房、猿と犬との喧嘩では、夫婦の道も立兼て、日々の稼(ぎ)も怠ります。一家和合、睦(ま)敷(く)家業出精早いがよし。
病気、煩い、きざしがあらば、灸治、服薬早いがよし。
人を待(つ)のが甚だつらい家に招かれ御出なら、時刻違えず早いがよし。
不忠不孝の名を取りては、鳩や鴉に劣ります。悔悟、発明早いがよし。
酒宴の席は格別じゃ。退去に大抵程がある。成丈切(り)上げ早いがよし。
悪いとお気がつかれたなら、断然お止めが何よりじゃ。善は急げじゃ、早いがよし
道中朝立(ち)早うして、晩の泊(ま)りは早いがよし。
大抵世間の通常で損することは御嫌いじゃが、品(所?)によりては、吝嗇せず、断然御見切り早いがよし。色や賭奕に御惑(い)溺(れ)ても、他の意見に御気がつき、改めなさるが孝道じゃ
莫邪の剣の切れ味で見事凛然早いがよし。
豊年満作歓ぶうちに、水旱二百十日の風、不熟が来ぬと請(け)合われぬ。粟、稗、籾の貯えぬからず用心早いがよし。怠懈するのが大敵じゃ。
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智慧が乏しく、技芸がなけりゃ、今時時勢に無用な人じゃ。農工商の稼ぎもなく可惜(あたら)月日をうかうかと暮らしてござる。お若い衆、文学、勉強早いがよし。
商人高利を貪りては、行末繁昌せぬものじゃ。掛値をいわば薄口銭品物捌(き)方早いがよし。
商人の仕入れ多くは借り金じゃ。買い物代を等閑(なおざり)て二年、三年引きずりては利分どころか損が立つ。払い成(る)丈早いがよし。
金銀出入つけ落としなくしめ、つけ勘定早いがよし。御年貢勘定勿論じゃ。親類間の差引でも等閑(なおざり)おくは公事の種、折々双方突合せ、立会(い)詰(め)の早いがよし。
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農業入精肝要じゃ。田畑草引き早いがよし。稲刈り、畑物引き、時節晴天はずさず早いがよし。
御布告ならば勿論じゃ。区長所よりの廻章も順村継立早いがよし。
至急御用の駕籠ならば足とり拍子肝要じゃ。へんようへんようで早いがよし。
歳暮の祝賀は遅うして、年始は成(る)丈早いがよし。
人情は他の為ならず、凶作または水難にて困窮飢饉の年がらは慈悲の心を先に立て、施行賑わして早いがよし。
身上許多の引込(め)ても黙検せねば知れぬもの、先祖の送録、支配の身分、其の年限り、棚卸し増減改め早いがよし
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虎、狼、豹よりもっとも恐いは借金じゃ。もし御他借りがありますなら、利息に払いに腰すえず、預り金に油断せず、諸道具売っても掛っても是非御返済早いがよし。
盥よりたらいへ移る五十年、必ず御油断なく疾く疾く早いがよし。
前の箇条に早いがよし。またも早いよしよしと書き連ねたる。よしよしは、畢竟我が身のいさめじゃ。万一多方の御目に触れよしとあるならもとよりよし。悪いとあってもそれでもよし。後漢の司馬徴が効をして愚案の挟気を広くして、世間の誹謗御称誉にもとんと構わずよしよしよし。」
勤勉な日本人の原型を見るよう。べらべらと随分書き綴ったものだが、何か教えられるところがあると感じませんか。
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