冬になると魚屋で幅を利かしだすものにアンコウがある。切り身と肝に分けて売られているから、一匹そのままを見かけない。しかし値段は結構高いし、うまいとの噂だから一度食ってみたいと考えていた。
料理方法は書籍や、魚屋のお兄さんに聞いた。
肝をすりこ木でつぶす。煮立っただし汁にあわせ味噌を少なめに、酒と一緒に加える。すりつぶした肝をだし汁の中に入れる。
全体をテーブルのガスコンロにのせた土鍋にうつした。
用意ができたころ、チャイムがピンポンとなってガールフレンドのAさん登場。テーブルに向かい合い土鍋が煮えるのを待ち、野菜、豆腐、魚肉の順にいれる。
以下アンコウについてインターネットで調べた薀蓄。
アンコウは水深200-400メートルの底引き網により漁獲されるが、30センチ前後のものは水深70-100メートル付近で漁獲される。超特大のえらつきオタマジャクシみたいな格好をしている。見るからに恐ろしい格好だから中国では「琵琶魚」などと優雅な名前でよばれているものの、ヨーロッパではシー・デビル(海の悪魔)、クラポー・ド・メール(海のヒキガエル)など散々な名前を賜っている。日本近くでは北海道以南東シナ海まで生息し、一般にキアンコウとアンコウの2種類がある。市場に出ているのは前者で少し黄色っぽい。後者は余りお目にかからない。
生態はよくわかっていない。産卵期は春と考えられているが天然の卵稚仔は確認されていない。帯状のゼラチン質に囲まれた卵塊をうむ。
全長1.5メートルになるものもあり、体がやわらかく、粘りがあるので、頭に鉤を引っ掛けて、宙につるしておろす、吊るし切りと言う方法が取られる。皮、エラ、ほほ肉(ヤナギ)、ヒレ(トモ)、肝臓(キモ)卵巣(ヌノ)胃袋(水袋)と肉などに分けられる。肝臓は「海のフォアグラ」と絶賛されるほど美味。しかしどうしてアンコウの肝臓だけがこんなに大きいのだろう。肉も脂肪が少なく、あっさりしていて美味。
一昔前、アンコウは売り物にならなかった。そこで猟師たちが考え出した料理がどぶ汁。本来のどぶ汁は、沢山のアンコウを使う。水を一切使わない。土鍋を暖め、肝を入れ、加熱して溶かす。焦げないように注意する必要がある。肝の油分が溶けてきたらアンコウの身、白菜などの野菜をいれ、味噌と酒で味付けする。
すごく値段がかかりそうだが、安い中国産のものが安く出回っているから、できないわけではなさそうだ。私が買った魚屋にも中国産のアンコウが並んでいた。「あちらではどうなのかね。」と聞いたところお兄さんは憮然とした表情で「種類が違う。こちらの方がうまい。」と言っていたが本当はどうかわからない。
今日の鍋、幸い味はものすごくよかった。Aさんも「体が温まる」と大変ご満足の様子であった。すりつぶした肝が味噌汁の中に浮かぶのだが、それが独特の風味と味をかもし出していた。
肉のほうは二人で300グラム買ったが少ないくらいだった。その上、白身の肉そのものがうまいが、前述の皮以下が結構入っている。何か、無理に増量している感じがしないでもない。でも一番うまいところは肝だ。この次買ってくるときは中国産でもよいから肝を多めに買ってくるべきだ、と考えた。
アンコウはほかにから揚げや薄作りにして刺身で食うことも人気があるそうだ。また魚屋では肝を蒸すらしい。これは酒をゆっくり味わうに最高の肴とか。一度挑戦してみたいものである。
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